川苔山の雪山登山 2019年2月1日

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川苔山北面の雪山登山ルート

関東地方に雪が降ったので、奥多摩の川苔山へ行きました。
神奈川方面から奥多摩は遠く、電車・バスで3時間ほどかかります。始発電車で向かい、奥多摩駅8時過ぎのバスに乗り、川乗橋バス停で降ります。女性2人と男性1人が川乗林道を歩いて行きました。私は遅れて出発し、さらに途中で写真をとるので(足も遅い)、この日は後から追いかける関係になりました。
最初は遠くの山に雪が見える程度でしたが、竜王橋からは雪景色になり、細倉橋から山道に入ると完全に雪道になりました。積雪10cmくらいです。

01:川苔谷上流、右上に登山道

道は谷を何回か渡り返して行きます。最初は右岸(上流から下流に向かって右側)つまり南面を行きますが、すぐに左岸つまり北面に渡ると、道に雪が斜めについたり、傾いた桟道を歩く箇所は緊張しました。
もう一度木橋を渡り、小さな尾根を越して、塩地谷と名前を変えた本流を渡りました。谷から山道へ登る所に危険表示の黄色い看板がありました。ここから百尋ノ滝入口を経て地図上の962mピーク西~南側を巻き上がって行く区間が危険箇所です。ここでは転落・滑落事故が多発していて、死亡事故も起こっています。

02:塩地谷徒渉点、ここから上部が危険地帯
03:危険表示の道(振り返ったところ)、右下は岩壁が谷底まで

昔(若かったころ)はまったく感じませんでしたが、この日は非常に緊張して通過しました。自分がベテランだから、登山の専門家だから、事故が起こらないという考え方は私にはありません。ベテランであれ専門家であれ、遭難事故の危険性はかならずあります。そういう現実を私は見てきました。
アイゼンはつけませんでした。アイゼンをすると足裏感覚が変わって失敗するような気がして怖かったのです(通常はアイゼンをしたほうが安全度が増すのは確実でしょう)。
962mピークを巻き上がって尾根上に乗り、それから横ヶ谷に沿う植林地の道になりました。最大の危険個所が終わったので心を解き放ちました。本当にうれしかったです。

04:冬の百尋ノ滝
05:危険区域上部(振り返ったところ)、左に危険な斜面が落ちる

これから先、横ヶ谷源流は道迷いの多い所なのです。川苔山の東の肩へ至るまでのルートは複雑です。積雪は登山道をおおい隠していて、先に行った3人はルートを見つけるのに苦労しているでしょう。
地図上の1150m地点でトレースは進路を変え、対岸の斜面に取り付いて、60mほど登った所から植林地の中をトラバースしていました。明らかにルートを外していたので、私は引き返して、道標のある所から正しいルートの形跡を見つけて沢沿いに進みました。
しかし途中で、登山道の跡が完全にわからなくなりました。

06:火打石谷を渡り横ヶ谷上部へ
07:先行者のミス地点、正規ルートは木の右を進む

だいたいの位置はわかっていて、南方向へ進めば川苔山の稜線に出るという関係も確信できました。そこで、コンパスで目前の尾根が南へ延びていることを確かめ、そこを直登しました。私が登ったのは、正しいルートのひとつ西側の尾根でした。山頂の100mほど手前でトレースに合流しました。
先行していた3人は、狼平(1286mピーク)付近に出たと思われ、遠回りで川苔山に到達していたもようです。

08:川苔山直下に出た
09:山頂から西側の遠望、中央の円頂が天祖山、その右に芋ノ木ドッケと白岩山、左遠方に雲取山

時刻も遅くなり、早々に下山にかかりました。南側で陽の光を浴びる登山道にも、前夜からの雪がたくさんありました。奥多摩としては最上の雪山登山を楽しむことができました。

10:鳩ノ巣への下山もきれいな雪道
11:間伐地の雪風景

[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正です
(1) 地図中、花折戸尾根(本仁田山~鳩ノ巣)の破線記号を削除。
(2) 地図中、平石尾根(本仁田山~平石山~大沢)の破線記号を削除。
なお、難易度を「技術★★」としていますが、特にトレースのない状況ではルート判断が難しくなると思いますので注意してください。

12:鳩ノ巣集落の上にある「大根の山の神」