バックカントリー遭難3件、死亡事故が多い

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[3/5~11の遭難関係ニュースから]
3月第2週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。把握できた遭難事故は5件でした。うちバックカントリーは3件で、死亡事故が多くなっています。

●3月8日の事故は日本雪崩ネットワークに調査速報が掲載されています。発生現場は乗鞍天狗原への登路となっている尾根のひとつ西側の沢、標高2050m地点でした。単独滑走の危険性とともに、滑走時にポールのリストバンドをしないこと(体が雪の中に引き込まれる)が勧められています。

●3月9日のボーダー滑落事故は、標高2300mというと「上ノ樺」付近の北面、八方沢源頭の斜面で発生したものと思います。死亡した48歳男性は数百メートル滑落、重傷の32歳男性は数十メートル滑落したそうです。事故は午前中に発生し、目撃者が12時20分に通報しました。数百メートル流されるとは、それほど雪質が危険なものだったのでしょうか。

八方沢源頭の斜面、上のピークは丸山(2019/2/24)

●南アルプスの大岩山は、日向山から鋸岳三ツ頭に至る長い稜線上にある山です。古い地図にはこの稜線に破線記号がついています。現在は廃道でしょう。フランス人とチュニジア人の2人が、なぜこのような無名のピークに登ろうとしたのでしょうか? 廃道ルートの登山(しかも雪山)が流行しているのでしょうか? 謎ですが、現代の山岳遭難を読み解くカギのひとつが隠されているような気がしています。

3/5(火)長野県消防防災ヘリ墜落事故から2年、松本で追悼式が行われた
3/6(水)ナンガパルバットのママリールート(未踏)に挑んでいた登山家2人が、2/24以降行方不明になっていると報じられた
3/8(金)谷川岳の危険地区での登山が3/16から4/26まで禁止される
3/8(金)白馬乗鞍岳でバックカントリーの男性(40代)が雪崩を誘発し埋没。事故に気づいたガイドらが救助するが意識不明の重体
3/9(土)尾瀬・燧ヶ岳でバックカントリースキーの男性(44)が遭難し、3/10山頂付近で雪に埋もれた状態で発見、のち死亡確認。雪崩の可能性が高い
3/9(土)八方尾根でスノーボード滑走中の男性2人が標高2300m付近から滑落。男性(32)は右脚骨折などの重傷、男性(48)は全身を強く打ち死亡、3/10収容
3/10(日)南アルプス聖岳に単独で入山した男性(56)が下山せず、警察に届け出。3/11自力下山
3/10(日)南アルプス大岩山に登っていた外国人男性2人(30代、フランス人、チュニジア人)から「寒さと疲労で動けない」と連絡あり。3/11自力下山中を発見救助

[2019/03/21追記]
メッセージにてUさんよりご指摘いただきました。――南アルプス・大岩山に関して、地図には載っていないものの、日向山から大岩山~烏帽子岳~三ツ頭間は登山道として整備され、黒戸尾根と結んで周回できるようになっているそうです。

詳細な情報は、ネットにいくつもありました。
・尾白川流域をぐるっと囲むこの周回コースは、距離にして24-25km。一般の登山地図では三ッ頭から大岩山までの間はルートが書かれていませんが、実際にはよく整備されており、問題なく歩ける状態でした。
・甲斐駒ヶ岳に黒戸尾根から登って日向八丁尾根を下るワンデイ周回コース(中略)プチバリエーション志向の山屋の間では近年人気のルートのようです。
(以上「塾長の参考記録」2018年9月17日の項 https://juqcho.jp/climbing/2018/20180917.html)

トレランブームの影響を受けて、黒戸尾根~甲斐駒~烏帽子~大岩山~日向山の周回コースを1日で歩く(一部走る?)ことが挑戦されているようです。しかし、さすがに積雪期に1日では難しいと思うのですが……。
現在は登山行為の幅が拡大すると同時に、メディア上で多くの情報が拡散され、そこに年齢・性別・実力・経験もさまざまなタイプの登山者が関わるようになっています。そういう背景のもとで遭難事故多発の状況が起こっていることがわかりました。