スマホを利用した登山者自動位置確認システム、実証実験中~2020年末まで

Pocket

[6/12~18の遭難関係ニュースより]
6月3日に夏山開きがあった中国地方の大山で、スマートフォンのアプリで登山者の位置を確認するシステム「MAPS」(マップスと読む)の実証実験が行われたそうです。実際にそのシステムを使って大山登山をした記者の体験記が、毎日新聞6月15日付に載っていました。

このシステムは、日本山岳ガイド協会の登山届管理システム「コンパス(COMPASS)」と連携しています。
まず、コンパスの会員になって、あらかじめ登山届をしておきます。
それから、スマホに「コンパスアプリ」をインストールしておきます。

記事によれば、実際の登山では次のように使います。
(1)スマホのアプリにログインし、提出中の登山計画から「登山スタート」ボタンを押します
(2)スマホのGPSとBluetooth機能をONにしておきます
(3)登山中に「スマート道標」近くを通過すると、
・システムのサーバーに、登山者のIDと通過時刻が記録されます
・登山者のスマホに、付近の画像や気象情報、安全情報などが表示されます
(4)下山したら、「下山通知」ボタンを押すと、下山届をしたことになります
・下山予定時刻を3時間過ぎても下山届がない場合、本人に安全確認のメールが送られます
・下山予定時刻を7時間過ぎても下山届がない場合、「緊急連絡先」にガイド協会から報告されます
大山の場合、「スマート道標」は夏山登山道三合目、七合目、行者谷別れ、九合目、行者谷1200m地点、烏ヶ山新小屋峠、烏ヶ山南峰、以上7カ所に設置してあるそうです。

スマート道標の情報表示(毎日新聞より)

このシステムは、富士山、浅間山、那須岳に続いて、大山が4例目になります。
実証実験をしている「全国山の日協議会」は、スマート道標の設置数をさらに増やしつつ、2020年末まで実証実験を続けて、実用化をめざすということです。

このように、整理して説明すると有望な遭難防止システムと思えるかもしれません。でも、ネックはスマホそのものにあるような気がします。
「コンパス」というSNSの会員になること自体が、いやだという人もいるでしょう。スマホとかSNSというものは、ある種の人々にとっては近寄りがたいハードルです。
そして、コンパスで登山計画を作って、登山届をするという操作は、それほど簡単ではありません。PCでもそう感じますから、スマホだといっそう困難ではないでしょうか。