雪山ガイド講習―12月11~13日 谷川岳周辺

12月11日から3日間、かながわ山岳ガイド協会の雪山ガイド講習を受講しました。講師は武川俊二ガイド。10月のガイド講習(無雪期)でもお世話になっていて、だいぶお人柄ものみ込めたところです。
ガイド講習というのは、ガイド資格認定を兼ねた講習のことです。受講生がガイドとして必要な技術を身に付けているか確認して、足りない部分は講習してもらえます。それも、できるまでくり返し教えてくれるので、最終的には高い確率で合格できるしくみになっています。実技試験をダイレクトに受けるより、受講料がかかるけれどもお得です。

1日目。1人がガイド役、3人がお客さん役になって、本番のガイド登山をシミュレーションしながら歩きます。コースは、宿泊地の土合山の家から旧道をマチガ沢出合、一ノ倉沢出合までです。私のよく知っている道でもあり、へたですが比較的楽にできました。
この旧道沿いはブナのきれいな森で、温帯広葉樹の原生林に近い植生と思われます。東北地方の白神山地のような有名どころにも負けないほど美しいところです。大量の積雪が作った地形や植生が見られるので、そのことをお話しすればいい感じです。あまり詳しすぎるのも飽きられるので、ほどほど、短めの解説がコツです。

P01: マチガ沢

マチガ沢に着くと、谷川岳東面の異様な岩壁群の風景になります。今は特別なスキーヤーでなくても、この谷をスキーで滑り降りています(もちろん上級者です)。左に見えるスカイラインは谷川岳を代表する西黒尾根ルートです。登山を続けられるなら、ぜひ1度は登ってほしいルートです(できれば積雪期に)。というように、話題はいろいろあります。

P02: 一ノ倉沢

一ノ倉沢はさらに異様な景観が展開します。どんな場所がルートとして登られているか、ルートを少し解説してみるのもいいかもしれません。クライマーとはすごい所を登れるものだと感嘆するでしょう。しかし、旧道に沿った岩壁には、犠牲者を慰霊する多数のプレートが埋め込まれていて、この場所の重い歴史を語りかけています。
一ノ倉沢旧道出合から湯檜曽川近くに下りて、新道を歩いて戻ってきました。この日はガイディング実技だけで終わり、夜にはショートロープのセット方法を教わりました。

2日目。ロープウェイで天神平に上がり、スノーシューで稜線まで登ります。けっこう斜度のある斜面を登るように指示され、そのときに雪崩を避けるラインを考えているかテストされました。問題があると止められて、何が悪かったのか講習されます。「自分が登れるかどうか」ではなく、お客さんを「安全に登らせられるかどうか」が視点になります。でも、講習生は息を切らせ、自分が登るのでせいいっぱい……みたいな様子でした。
稜線に出て、熊穴沢方面に少し進み、下りになったところで固定ロープのセットを指示されました。固定ロープは無雪期の講習でもやっているので、説明なしで講習生が各自セットします。ちなみに、ただ固定ロープをセットすればよいのではなく、ガイディングしている状態から、あらかじめザック上部に入れて用意してあったロープを末端から引き出して、支点の木にロープ末端を結び、次の支点のカラビナにロープ中間を固定、第3の支点のカラビナにロープ中間を固定、最後の支点にロープ(中間または末端)を固定、これぐらいでセット完了になります。
しかし、全員が雪を考慮していないと指摘されました。支点が細めの木の場合、雪の上に出た部分にセットするのは危険です。雪を掘り下げて、しっかりと効いた部分を出して、そこにセットするのが正解です。

P03: オートブロックのセット、スリング右の結び目は長さ調節のためのもの

さらに先へ進み、天神平からのトラバース道が合流する地点から、右折して天神平へ戻ります。その途中で、ロープによる1/3引き上げをやりました。これは滑落などで歩けなくなった人を、安全地帯まで引き上げるシンプルな方法で、ロープ、スリング、カラビナだけを使って引き上げます。手順の都合上、ムンターヒッチでの引き下ろし技術と、次のように組み合わせて行います。
(1)アンカーを作り、セルフビレイをセット
(2)ロープ末端をお客さんに結び、アンカーにムンターヒッチをセット
(3)お客さんを下ろす。一定距離を下ろしたら安全な場所で停止し、ミュールノットで仮固定、オーバーハンドノットで本固定する。お客さんへ待機するよう指示を送る
(4)1/3引き上げシステムをセットする(下部クレムハイスト、上部オートブロック)
(5)ムンターヒッチの固定を解除し、お客さんを最初の地点まで引き上げる
この一連の実技は、登山ガイドの検定試験の中では、最も複雑な項目のひとつといえます(ショートロープは試験科目に入っていません)。ここではピッケルアンカーを作ったうえで、1/3引き上げの実技をできるまでやりました。しかし、できない人も残ったので、あとでまた講習してもらえることになりました。

スキー場に戻り、かつて雪崩事故があったという斜面を靴だけ(アイゼンなし)で登りました。悪場の歩行かキックステップ(またはカッティング)が試されていたと思います。講師は指摘しませんでしたが、ガイドとしては、お客さんが安全かつ楽に登れるように、キックステップやカッティングで安定した足場を作りながら登るべきだったと思われます。講習生のかたは自分が登るだけでせいいっぱいのように見えました。
途中で、左側の灌木帯の木を使って、ツエルトを張るように指示されました。ここはかなり条件が悪かったです。ガイド講習でのツエルトの張り方は決まっています。
(1)ロープを2つの支点(ここでは木)間に張り渡す
(2)ロープの2点にスリングをフリクションノット(クレムハイスト)で結ぶ
(3)そのスリングに、カラビナでツエルトの頂点を連結する。スリングを動かしてツエルトを張る
(4)中の空間を広げ、底のシートを整地してできるだけ平らにする
フリクションノットはクレムハイスト以外の方法でも可と思います。また(4)の居住性は、実技試験でどの程度問われるか不明ですが、底から枝が突き出てないか、大きな石がないかなど調べられるようです。これを一定時間(15分程度と思われます)で完了することが要求されます。ツエルトはすぐ張れるように常時準備しておくこと、張るときに強風で飛ばされない工夫(カラビナで身体にツエルトの一端をかけておくなど)が必要です。
この日も夜に1時間ほど、ショートロープと1/3引き上げをやりました。

3日目、またマチガ沢出合へ行きました。途中まではガイディングの実技です。前夜はけっこうな量の雪が降ったので、山は美しい雪景色が見られました。
マチガ沢で3つのことをやりました。厳剛新道を少し入ったところで、ビバーク用ツエルトのセットです。昨日よりも条件のよい場所で張りやすかったです。講習生の1~2人用ツエルトはコンパクトで小さく、お客さんが3人入ることができないか、ガイドが入ることができない、と指摘されました。私の1~2人用ツェルトは旧タイプで、4人が窮屈でなく腰を下ろすことができます。ただし、軽量化された現代のツエルトの2倍以上の重量があります。ともあれ、1~2人しか入れないツエルトはガイド用には使えません(しかし、そのことは実技試験で要求されず、結び方が正しければ試験は通るらしいです)。

P04: ザック搬送のためのセット

ザックでの背負い搬送をやりました。要救助者はハーネスをつけている前提です。
(1)空にしたザックのショルダーベルトにスリング+カラビナをセット
(2)そのスリングをクロスさせたうえで、要救助者のハーネスのウエスト~レッグベルト連結部にカラビナをかける
(3)ショルダーベルトを一度緩めて、救助者が肩を入れ、背負う態勢になってからショルダーベルトを締め直す
(4)立ち上がる際に、お客さん1~2人に補助してもらう。補助をお願いする際には、わかりやすく明確に指示をする必要がある
以下は講習されたものではなく、私自身の考えた方法のメモです。
 ・1人は背側に回り、要救助者のヒップベルトに手をかけて持ち上げる
 ・1人は救助者の前で、ショルダーベルトに手をかけて持ち上げる
次に、アイゼンを装着し、岩場の通過のシミュレーションをしました。短い岩場の通過で、お客さんをどうガイドするかという問題です。しかし、雪が少なすぎるため、アイゼンで通過するのが難しすぎて、うまく実技できなかったと思います。予定していた支点がなくなっていて、固定ロープも張れませんでした。以下は講習されたものではなく、このテーマについての私個人の整理です。
(1)固定ロープをセットする
(2)あらかじめ足場、手がかりの位置を示し、通過のしかたと注意点を説明する
(3)1人ずつ、通過する際の動作をアドバイスしながら、通過してもらう
(4)通過し終えた人に待機場所を指示する
※全員分のハーネスはないので、待機してもらう場所は、セルフビレイがなくても安全である必要があります。

P07: 旧道を歩く

帰りの途中で、もう1度、1/3引き上げをやりました。このときが一番本格的な設定で、10mほどの長い引き上げはきつかったです。これまでの反復練習のおかげで、講習生全員がだいたいできるようになりました。
しかし、積雪期安全管理技術の実技試験を受験しなければ、1/3引き上げの試験はありません。私はまだ予定を決めていませんが、ほかの3人は日本雪崩ネットワークの認定講習を受けるので、そうすると上記試験は免除されることになっています。
雪崩講習を受ければ、雪崩関係だけでなく、ロープワークその他の安全管理技術の試験まで免除されるとは、何か変だなあ?と疑問を感じます。これでは、ロープワークや雪上ビバークのできない、または苦手な登山ガイドが送り出されてしまうのではないでしょうか?(とはいえ、受講生の身分でよけいなことは言わないほうがいいでしょう)

P05: ツエルト担架のセット1。とても簡単にできる
P06: ツエルト担架のセット2

講習の全日程が終わり、武川ガイドは最後に次のようにアドバイスしてくれました。
「皆さんはステージ2の資格を取れたら、ガイドの仕事を具体的に始めてがんばられるとよいと思います。ステージを上げる方法もありますが、これ以上のステージは相当厳しいので、甘くは考えないほうがいいです。ステージ2は、十分にガイド業を展開できる資格ですので、まずはガイドとしてよい仕事を目指してください。上級を目指すよりも、そちらに労力を注がれるほうがお勧めできます」
自分に言われているような気がしました。
何のためのガイドかといえば、山が好きだがうまく山へ行けないでいる人がいて、その人の手助けをしながらいっしょに登り、気持ちよく山の時間を過ごすのが目的です。よいガイドの仕事をするのが目的で、上級の資格に挑戦して突破することが目的なのではありません。
講習内容の多くの部分は、以前からやっていたことと同質のもので、少し安心しました。ひさびさに登山技術を使い、考え、チェックするような作業を楽しんでいました。具体的な目標をもって山とかかわろうとしている3人(男性2人、女性1人)は前向きですがすがしく、彼らと3日間、とても気持ちのよい時間を過ごすことができました。

[10月4週]道迷いから死亡にいたった遭難事例

[10/22~28の遭難関係ニュースから]
(遅くなりましたが)10月第4週の遭難まとめです。

高山では紅葉シーズンが完全に終わりました。雪のシーズンである12~1月までは比較的入山者は少なく、それにともない遭難も少なくなる可能性があります。それとは別に、道迷いから死亡にいたる遭難事例がいくつか見られ、注目されました。
これからは最も日の短い季節となり、登山にはリスクの高い状況となります。きちんと計画性をもって、時間の余裕を十分に保ちながら、登山に出かけることが重要です。
富士山では、自分の登山の様子をライブ送信中に滑落遭難してしまうという異様な事例が、マスコミなどで注目されました。登山準備が不十分なようですし、登山のやり方が誤っているとしか言いようのない事故でした。

10/22(火)奥秩父・鶏冠山から下山中の男女(45・33)が道に迷う。西沢渓谷(西沢山荘の北西1800m)で発見救助
10/22(火)傾山地新百姓山へ杉ヶ越から入山した男性(64)が行方不明。10/28山菜採りの男性がおもち谷で発見通報
10/22(火)由布岳で男女(62・58)が16:20「道に迷った」と通報。10/23熊本県防災ヘリが救助
10/24(木)三才山(松本市)の山林でキノコ採りの男女(73・71)が道に迷い行動不能。10/25松本署が救助
10/25(金)野地温泉から安達太良山へ入山した男女(70・69)が悪天候などで動けなくなる。10/26心肺停止で発見
10/26(土)南アルプス仁田岳南東の山中で男性(55)が滑落負傷して救助要請。10/27静岡中央署が救助
10/26(土)南アルプス前衛七面山で男性(79)が下山中に足を滑らせ転倒して左足首骨折。防災ヘリが救助搬送
10/27(日)塩原・八方ヶ原歩道で男女(60・59)が登山道から外れて道に迷う。警察・消防が救助、同伴下山
10/27(日)妙義山奥ノ院鎖場で男性(55)が岩場をトラバース中に滑落した模様。防災ヘリが搬送、死亡確認
10/28(月)大菩薩峠から小菅村へ下山中の男女(76・64)が高指山付近で道に迷う。上野原署・消防らが救助
10/28(月)富士山須走ルート山頂付近で男性(47)が登山をライブ配信中に滑落。動画を見た複数の視聴者が警察に通報した。10/30七合目(3000m)で遺体発見
10/28(月)大山・甲ヶ山で男性(49)が仲間と別れ1人で下山したまま行方不明。10/29登山道を外れた沢で遺体発見
10/28(月)熊本県美里町の山中で女性(79)が伐採作業の立ち会い後、1人で下山中に行方不明。警察・消防が捜索中

気にかかった遭難事例

●新百姓山の遭難男性、遺体で発見
10月22日、九州・傾山地の新百姓山へ登った男性(64)が戻らず、行方不明になりました。23日、同居する妹が警察に届け出て、昼前に杉ヶ越登山口付近で、遭難男性のオートバイが見つかりました。その後、杉ヶ越登山口から山頂までのルートを中心に捜索しましたが、発見されませんでした。
10月28日14時30分過ぎ、新百姓山の西2kmにある「おもち谷」で、山菜採りをしていた男性が、倒れて死亡していた遭難男性を発見、通報しました。

新百姓山の西2kmということから、重内(おもち)谷本流に近い位置まで下っていたと思われる
原本:yamareco – 2017年5月4日 yamaumihitoさんの山行記録より

発見場所の詳細は不明、死因も把握できていません。おもち谷は新百姓山のすぐ西側にある谷で、地形図を見ると、新百姓山~杉ヶ越間のルートからいくつかのポイントで、おもち谷に迷い込みやすいことが推測できます。このことを逆に考えると、迷ったら素直に引き返せば、もとの正規ルートに戻りやすいことを意味します。
10月23日に発見されなかったことが不運でした。23日午後から24日にかけて雨になった可能性が高いです。谷を強引に下って抜け出そうとするのではなく、なるべく尾根に近い位置にとどまってビバークしていれば、発見されやすかったと思います。

●大山山系甲ヶ山でも、遭難男性死亡
10月28日、友人と4人で甲ヶ山などに登った後、午後から別のルートを1人で下山した男性(49)が、夕方になっても戻らず、携帯電話でも連絡がつかなくなりました。友人が警察に通報し、29日朝から捜索が開始されました。13時30分ごろ、消防ヘリが登山道近くを流れる沢沿いに倒れている男性を発見し、救助しましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。
男性は28日18時30分ごろ、家族に電話で「道に迷ったので帰りが遅くなる」と話していました。大山山系で今年初めての遭難死亡者になりました。

前事例同様、道迷い時の対応に失敗した結果、滑落または低体温症で死亡してしまった事例と言えます。インシデント(遭難寸前の状態)が起こったとき、サバイバル状態の中でも生き延びられる知識と装備を持つことが、この時期の登山には重要だと思います。「軽量化」で緊急用装備まで省略してはいけません。
※上記事例のかたがそうだったという意味ではありません。

[10月3週]黒部川下ノ廊下で遭難事故多発

[10/15~21の遭難関係ニュースから]
(遅くなりましたが)10月第3週の遭難まとめです。

黒部川下ノ廊下で遭難事故が多発しました。10月19~21日の3日間で4件の事故が発生(遺体発見を含む)、すべて死亡事故となりました。また、前週にも2件の事故があり、1人が死亡しています。下ノ廊下ではこのように、事故多発になる年が、数年に1度の割合で現れるようです。
下ノ廊下は、黒部峡谷が3000m級の山脈に最も狭められた部分にあります。絶壁の中に一筋刻まれた水平歩道を歩きますが、一歩踏み外すと数10m以上の致命的な転落・滑落となってしまいます。例年、雪のブロックが完全に消えて、ルートの点検が終了する9月上旬以降からしか入山できません。

10/15(火)那須・茶臼岳で女性(64)が下山中に石につまずいて転倒し左脚骨折など。消防・警察らが救助
10/16(水)男鹿山塊黒滝山で男性(57)が「遭難した」と110番通報。地上とヘリで捜索し、防災ヘリが救助
10/16(水)雨飾山で男性(78)が仲間と2人で下山中、ハシゴ場でスリップして滑落負傷。10/17大町署が救助
10/16(水)北アルプス槍ヶ岳で女性(48)が槍ヶ岳山荘を出発後しばらくして転倒、左足首骨折。県警ヘリが救助
10/17(木)朝日連峰祝瓶山で女性(70)が下山途中に登山道から30m滑落し左足を負傷。小国署が背負い搬送
10/18(金)北アルプス白馬乗鞍岳で男性(57)が天狗原付近を下山中、転倒負傷し行動不能。大町署・遭対協が救助
10/19(土)北アルプス下ノ廊下十字峡付近1000mで男性(70)が河原に倒れているのを防災ヘリが発見。体に複数の傷あり、死亡確認
10/20(日)蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅付近で男性(63)が友人らと離れ道に迷う。3km離れた坊平高原近くで救助
10/20(日)守門・青雲岳山頂付近で男性(70代)が転倒して腰を打ち行動不能。別の登山者が通報、防災ヘリが救助
10/20(日)北アルプス下ノ廊下蜆谷付近で男性(41)が狭い道ですれ違う際に転落。防災ヘリが100m下で遺体発見
10/20(日)北アルプス下ノ廊下で男性(52)が帰宅せず家族が通報。白竜峡付近の登山道から20m下の河原で遺体発見
10/21(月)日光白根山・五色山から湯元へ下山途中の男性(26)が道に迷う。日光署が国境平東方で発見救助
10/21(月)奥秩父・西沢渓谷(西沢山荘の西650m)で男性(59)が写真を撮ろうとして足を滑らせ転倒、右足首骨折
10/21(月)奥秩父・小川山の岩場で男性(48)がロッククライミング中に転落して負傷。佐久署・消防が救助
10/21(月)北アルプス下ノ廊下白竜峡付近で女性(66)が黒部川近くへ20m転落。防災ヘリで搬送後死亡

[その他のニュース]
●登山者見守りシステムに5Gドローン活用
10月16日、信州大学、駒ヶ根市、KDDI、プロドローン、中央アルプス観光は、5Gを活用したドローンによる登山者見守りの実証実験を、中央アルプス千畳敷で実施しました。
実験に使われたドローンには、5Gタブレット、4Kカメラ、拡声器などを搭載。遭難者をドローンが検出すると、自律飛行で現場に飛び、遭難者の身体の状況などを確認して救助隊本部に伝送します。一方、拡声器により、救助隊本部から遭難者を呼びかけを行うことができます。これにより、救助隊員の負担が大幅に軽減されるそうです。

気にかかった遭難事例

●黒部川下ノ廊下で遭難多発

  • 10月10日14時10分ごろ、東谷吊橋付近(標高約900m)で、女性(71)が約60m転落しました。防災ヘリで病院に運ばれましたが、全身を強く打っており、約3時間後に死亡が確認されました。事故が起こったのは同行者と2人で阿曽原温泉小屋に向かう途中、現場は急勾配で幅の狭い下りの登山道でした。
  • 10月19日9時ごろ、十字峡付近(標高約1000m)の河原に男性(70)が倒れているのを防災ヘリが発見し、死亡を確認しました。男性は15日から入山しており、帰宅予定の18日になっても戻らないため、19日から捜索していました。約100m滑落したと見られ、死因は外傷性ショックでした。
  • 10月20日8時ごろ、蜆谷付近(標高約950m)で男性(41)が滑落し、防災ヘリが約100m下の岩場で発見、救助しました。病院へ搬送後に死亡が確認されました。男性は水平歩道を単独で下山途中でした。
  • 10月20日14時ごろ、白竜峡付近(標高約1050m)の河原に男性(52)が倒れているのが発見され、防災ヘリが収容しました。約20m転落したと見られます。17日に黒部ダムから入山の予定で、同日遭難したと推定されます。
  • 10月21日8時45分ごろ、別山谷出合付近(標高約1080m)で、7人で欅平に向かっていた山岳会グループの女性(66)が、登山道から約20m下の河川敷に転落しました。近くにいた別グループの男性が、携帯電話の通じる所まで移動して通報しました。防災ヘリで病院へ搬送、死亡が確認されました。

[10月2週]森吉山麓小又峡でツアー客とガイドが遭難死

[10/8~14の遭難関係ニュースから]
(遅くなりましたが)10月第2週の遭難まとめです。

中部山岳エリアの高山帯や東北地方の山では、10月1週が紅葉のピークです。その時期を過ぎて遭難発生件数が急減しました。入山者が減ったことを示しているのでしょう。
しかし、印象に残る遭難が起こっています。秋田県森吉山麓の小又峡で、ツアー登山の女性客と男性ガイドが、増水した流れにのまれて水死しました。また、北アルプスの黒部峡谷で転落・滑落事故が起こっています。黒部峡谷の「下ノ廊下」はこれからが紅葉シーズンとなり、翌週にかけて多くの事故が連続して発生しています。

10/8(火)森吉山小又峡で増水した沢に男性ガイド(73)と女性(74)が流され死亡。男性は10/11下流で遺体発見
10/8(火)北アルプス下ノ廊下黒部別山谷付近で女性(70)が徒渉時に流されて歩けなくなる。10/9防災ヘリが救助
10/8(火)北アルプス黒部源流登山道で女性(40)が濡れた石に足を取られて転倒し左足甲を骨折。11/9防災ヘリが救助
10/10(木)岩手山七滝ルートへ入山したと見られる男性(62)が帰宅せず、家族が届け出る。七滝登山口に車発見
10/10(木)古賀志山(宇都宮市)で女性(32)が登山道から6m滑落して顔や左膝に打撲傷。防災ヘリが救助
10/10(木)中央アルプス宝剣岳から千畳敷へ下山中の女性(69)が転倒して負傷。駒ヶ根署・遭対協が救助
10/10(木)北アルプス下ノ廊下東谷吊橋付近で、女性(71)が急勾配かつ幅の狭い登山道で足を滑らせ60m転落死亡
10/11(金)北アルプス奥穂ザイテングラードで男性(70)が下山中にバランスを崩して転倒。県警・遭対協が救助
10/11(金)北アルプス常念岳から下山中の男性(67)が前常念岳において道に迷い行動不能。安曇野署が救助
10/13(日)中央アルプス大川入山から下山中だった女性(53)が転倒して足首を負傷。静岡県防災ヘリが救助
10/14(祝)大雪・愛別岳で男性(38)が行方不明となり、10/21山頂の南1km、登山道から20m離れた斜面で遺体発見

気にかかった遭難事例

●森吉山小又峡でツアー登山の女性客とガイドが水死
この週に起こった中で、最も大きな遭難事故でした。
10月8日午後、森吉山麓の小又峡遊歩道で、女性ツアー客と男性ガイドが増水した川に流されました。女性(74)は死亡が確認されました。男性ガイド(73)は行方不明になりましたが、3日後の11日10時ごろ、事故現場から約50m離れた三角滝近くで遺体が発見されました。
首都圏からのツアー登山は、秋田駒ヶ岳と森吉山に登る1泊2日の行程で、20~70代の18人が参加していました。当日は16人が仙北市の宿泊地から森吉山に向かう予定でしたが、悪天候のため、添乗員とガイドが相談して目的地を小又峡に変更しました。小又峡への変更は、このツアー会社では初めてだったそうです。
小又峡は、平常であれば地元住民や子どもでもレジャーで訪れる場所です。しかし、急激な雨が降ったときには、増水が危険と指摘する地元の人もいます。男性ガイドも、当然、そのような事情に精通していたと思われます。
11時ごろ、遊歩道を歩き始めたときは小雨が降る程度で、沢の水深もそれほどではなかったそうです。しかし、途中でアーチ状の橋を渡ったあとで雨が強くなったため、ガイドの判断で引き返すことにしました。
戻ってアーチ状の橋を渡ると、橋げたで15段ほどの階段から岩盤に下ります。その階段の下1~2段が水流に浸かった状態になっていました。岩盤が濁流でおおわれ、膝下まで水に入って渡らなくてはならない状況でした。ガイドはツアー客の手を取りながら、横歩きで1人ずつ、水に浸かった場所を渡らせました。9人が渡り終え、10人目の女性が渡るときにバランスを崩して転倒し、ガイドも転んで、2人はあっという間に流されました。
橋の上には添乗員を含め7人が残っていましたが、4人は自力で下流の遊歩道まで渡り切り、3人は水位が下がるのを待って渡ったそうです。

当日の天気図、阿仁合では8日9~11時に13mmの雨が降った(出典:気象庁・日々の天気図)

目の前の状況判断は、現場にいる人しかできません。遭難事例を語る場合、現場を見ていない第三者が批評的なことを言うのは慎重でなくてはいけません。
男性ガイドは、サポートしながら何とか渡れる状況だと考えたのでしょう。しかし、1人の女性が渡れずに失敗しました。ガイドは、引率する全員(この場合16人)の歩行能力、技術レベル、体調などの身体状況まで、観察のうえ把握していなくてはならないのです。
自分の立場に置き換えたら、事故を防げたでしょうか?
登山ガイドという仕事のきびしさを思い知らされる遭難事例でした。

[10月1週]椿荘キャンプ場の捜索で二重遭難頻発

[10/1~7の遭難関係ニュースから]
(遅くなりましたが)10月第1週の遭難まとめです。

北アルプスなど3000m級の高山エリアでは、例年どおりなら紅葉の最盛期になっています。登山者数のデータは取れませんが、多数の登山者が北アルプス、南アルプスを訪れ、それに伴い遭難事故が多くなっているものと思われます。さらにこの時期は、キノコ採りで入山した人の遭難も加わっています。
また、丹沢・道志エリアの椿荘キャンプ場で行方不明になった女児の捜索活動に加わっていた関係者が、複数回にわたって二重遭難事故を起こしています。

10/1(火)古賀志山滝コース付近で男性(78)が登山道から30m下に倒れているのを登山者が発見。病院へ搬送後死亡
10/1(火)行方不明女児の捜索に加わっていた男性(55)と妹が、丹沢・大室山山中で道に迷う。10/2朝自力下山
10/1(火)北丹沢・椿荘キャンプ場付近で、遭難捜索ボランティアの男性(40代)が捜索中にクマと遭遇し、逃げる際に転倒して右足首骨折
10/1(火)南アルプス尾白川渓谷千ヶ淵付近で男性(68)が足を滑らせ転倒し左脚骨折の疑い。防災ヘリが救助搬送
10/1(火)長野県木曽町の山林でキノコ採りの男性(84)が滑落して行動不能となる。木曽署などが救助
10/1(火)北アルプス大日平登山道で男性(67)が濡れた木道で足を滑らせて転倒し左足骨折。県警ヘリが救助搬送
10/1(火)北アルプス白馬鑓ヶ岳で男性(44)が仲間と下山中、疲労により行動不能。10/2遭対協が救助
10/2(水)栗駒山登山口から2km地点で女性(34)が日没で行動不能となり、弟が下山し救助要請。翌日ヘリで救助
10/3(木)富士山吉田口一合目からキノコ採りに入山したと見られる男性(88)が行方不明。10/19三合目で遺体発見
10/3(木)北アルプス下ノ廊下半月峡付近で男性(53)がクマに襲われ鼻、胸、左腕を負傷。自力下山して病院へ
10/4(金)八ヶ岳・編笠山~観音平で女性(74)が下山中に木の根につまずき転倒、左脚骨折。防災ヘリが救助搬送
10/4(金)北アルプス槍沢で男女2人(77・75)登山中、疲労と体調不良により行動不能。遭対協が救助
10/5(土)岩手県大槌町の山林でキノコ採りの男女(70代)が体力を消耗したため山中泊。翌日、下山中を発見救助
10/5(土)上州武尊山で男性(51)が下山中に滑落して肋骨骨折など重傷。警察・消防が救助搬送
10/5(土)奥秩父・木賊山南東で女性(55)が西沢渓谷へ下山中に急斜面のガレに迷い込み動けず。県警ヘリが救助
10/5(土)北丹沢・椿荘キャンプ場付近で、TV局カメラマンの男性(36)が女児捜索を取材中に林道脇で足を踏み外して5m転落、鎖骨骨折の重傷
10/5(土)北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根で男性(43)が滑落、同行の男性(48)と衝突し2人とも負傷。翌日ヘリ救助
10/6(日)北海道釧路町の山中で男性(82)がキノコ採りに出かけたまま戻らず。10/7警察が発見救助
10/6(日)尾瀬・燧ヶ岳御池ルートで女性(80代)が午後「道に迷った」と親族に連絡。22:10消防隊員が発見救助
10/6(日)奥秩父・瑞牆山で女性(70)が転倒し頭に軽いけがを負う
10/6(日)房総・無実山山中で男性(72)が仲間と別れて以後行方不明。10/7登山道から400m離れた沢で遺体発見
10/6(日)富士河口湖町の山中で男性(59)が午後からキノコ採りに出かけて戻らず。10/7斜面に倒れた遺体発見
10/6(日)上記男性を捜すために入山した父親(87)が連絡不通となり母親が通報。崖下に倒れて発見、死亡確認
10/6(日)南アルプス北岳で男性(57)が下山途中に転倒して左足首を骨折。県警ヘリが救助
10/6(日)南アルプス北岳で女性(75)が下山途中に足を滑らせ5m滑落、腰椎圧迫骨折。10/7警察・消防が搬送
10/6(日)南アルプス西農鳥岳で男性(71)が滑落して右足を負傷
10/6(日)北アルプス剱沢平蔵谷出合付近で男性(78)が登山中にふらついて転倒し顔を負傷。防災ヘリが救助搬送
10/6(日)北アルプス横尾谷で女性(77)が家族2人で涸沢から下山中、疲労により行動不能。県警・遭対協が救助
10/6(日)北アルプス西穂山頂付近で男性(44)に直径30cm大の落石が当たり左手骨折の模様。県警ヘリが救助
10/6(日)鈴鹿・仙ヶ岳白谷道で、男性(66)が頭部を負傷し登山道の15m下に倒れているのを発見、のち死亡確認
10/7(月)北アルプス剱岳に向かった男性(71)が、当日宿泊予定の山小屋に到着せず行方不明。10/14捜索打ち切り

気にかかった遭難事例

●椿荘キャンプ場女児捜索で二重遭難
丹沢・大室山北麓にある椿荘キャンプ場で、9月20日に女児(7)が行方不明になり、大規模な捜索が続けられました。捜索活動に加わるボランティアも多くいたようですが、二重事故の発生が4件報じられています。
9月27日、男性(27)が捜索中に崖から転落して重傷を負い、110番通報しました。29日朝、自力で林道を下山中のところを発見、保護されました。10月1日、早朝から妹と2人で捜索に加わった男性(55)は大室山で道に迷い、翌2日に自力下山しました。同1日、別の40代男性は捜索中にクマと遭遇して、逃げる際に転倒して右足首などを骨折しました。10月5日、取材中の民放テレビカメラマンの男性(36)が、林道から足を踏み外して沢に転落し、機動隊に救助されました。
その他、報道に出ていないトラブルもあったもようです。

山岳遭難捜索は専門的なレスキュー技術が必要な業務で、アマチュアがやるべきことではありません。専門技術を持っていない人には、可能な範囲での活動を指示して分担してもらう必要があります。きちんとした指揮系統(安全性の判断ができる)のもとで捜索救助活動を行わないと、大きな二重事故を起こしてしまう危険性があると思います。

●房総の低山で山岳会男性死亡
10月5日、「房州アルプス」の通称がある無実(みなし)山で、男性(72)が行方不明になりました。男性は同じ山岳クラブの男性と2人で、下見のために入山していました。日帰りの予定でしたが、周囲が暗くなってきたので、「家族から懐中電灯をもらってくる」と言って1人で先に下山しました。そのまま戻らず、携帯電話もつながらなくなりました。
仲間の男性は道に迷い、その夜は山中に泊まって、翌6日10時10分ごろ消防に通報しました。11時55分ごろ、仲間の男性は山中で発見、救助されました。
行方不明の男性は翌7日10時25分ごろ、登山道から400m離れた水のない沢で発見されましたが、すでに死亡していました。死因など詳細は不明です。富津署は「台風15号による倒木などで危険な場所もあるので、山に入るのは控えてほしい」と呼びかけています。

地形図を見ると、尾根筋は分岐が多いものの明瞭で、道迷いで引き返せなくなる地形ではないように思えます。また、登山ルートはすべて稜線上にあって、そこから400m離れた場所はほぼ沢底になってしまいます。薄暗い中を急いで歩いている際に滑落して、自力で動けなくなるような状態に陥ったのではないでしょうか?
マスコミ記事は検証の視点から書かれているわけではないので、遭難の状況がよくわからないものが多いです。特に山名、地名、沢名などを明記していないのは残念です。

[9月4週]紅葉シーズンに入り、また遭難多発傾向

[9/24~30の遭難関係ニュースから]
(遅くなりましたが)9月第4週の遭難まとめです。

北アルプスでの遭難事故がかなり多いです。3000m級のエリアでは紅葉が始まり、しだいに最盛期へと向かう時期です。そのためか、夏山シーズンに準じて遭難発生が多くなっています。よく目立つのは、「転倒して負傷」「疲れて歩けない」「体調を崩して行動不能」のような事例です。
9月末には首都圏の低山で遭難が続発しています。扇山、滝子山、不老山というような「やさしい山」で、道迷い遭難や滑落事故が起こっています。夏の暑さがなくなって、近場での山歩きが楽しめる季節になりましたが、登山者が移動するのにともなって、遭難事故の起こり方も変動していくようです。

9/24(火)北アルプス白馬大雪渓で男性(57)が下山中にスリップして転倒負傷。大町署・遭対協が救助
9/24(火)北アルプス焼岳で男性(64)が上高地へ向けて下山中に転倒して負傷。遭対協が救助
9/24(火)北アルプス・常念岳烏帽子沢で渓流釣りの男性(77)が日没のためビバーク後、疲労等により行動不能
9/24(火)屋久島淀川休憩所近くの沢から300m下流で、岩に挟まれた男性の遺体発見。年齢・身元不明
9/25(水)日光・小真名子山で男性(70)が知人に「山で迷った」とメールを送り不明。9/29民間捜索隊が発見救助
9/25(水)日光白根山中ツ曽根登山道で、男性(60)が国境平経由で下山中に道に迷い通報。県警ヘリが発見救助
9/25(水)北アルプス三俣蓮華岳を下山中の女性(67)が岩につまずき転倒、左手首骨折など。9/26防災ヘリが救助
9/25(水)北アルプス奥穂ロバの耳付近で男性(41)が50m滑落し右足骨折など。別の登山者が通報、県警ヘリが救助
9/25(水)西中国山地聖山の南西方で男性(76)が「道に迷った」と連絡後不明。9/27ボランティアが赤川谷で発見
9/25(水)広島県三原市で児童16人・先生4人が学校東側の山林で自然学習中オオスズメバチに襲われる。20人軽傷
9/26(木)苗場山で女性(70)が仲間と登山中、疲労と体調不良により行動不能。飯山署・遭対協が救助
9/26(木)北アルプス奥穂ザイテングラードで男性(70)が下山中に足を滑らせて滑落し負傷。県警ヘリが救助
9/26(木)宝満山(福岡県筑紫野市)で男性(68)が登山道を外れた脇道から足を踏み外し18m滑落。崖下で遺体発見
9/27(金)志賀高原裏志賀山で男性(69)が仲間と登山中、疲労により行動不能。県警ヘリが救助
9/27(金)戸隠連峰高妻山から下山中の男性(78)が、大洞沢で道に迷い行動不能。9/28長野中央署が救助
9/27(金)奥多摩・扇山から百蔵山へ縦走中の女性(29)がルートを外れて道に迷い12:05通報。防災ヘリが救助
9/27(金)北丹沢・椿荘キャンプ場付近で、遭難捜索ボランティアの男性(27)が捜索中に崖から転落し右腕・右手首骨折。9/29自力下山中を救助
9/27(金)北アルプス白馬岳で男性(65)が宿泊中の山小屋で何らかの疾患のため行動不能。県警ヘリが救助
9/27(金)北アルプス横尾谷で男性(77)が横尾に向けて下山中、体調不良により行動不能。県警救助隊が救助
9/28(土)磐梯山で男性(54)が下山途中に転倒して右足を骨折、歩けなくなる。県警ヘリが救助
9/28(土)長野市鬼無里日影の山中で男性(63)がクマに襲われて負傷
9/28(土)北アルプス前穂重太郎新道で男性(61)が下山中に足を踏み外して滑落負傷。県警・遭対協が救助
9/28(土)大菩薩・滝子山で女性2人(24・24)が夕方「道に迷った」と110番通報。2.5H後大月署が救助
9/29(日)道志・不老山(神奈川県上野原市)で男性(55)が下山途中に5m滑落して耳に軽いけが。防災ヘリが救助
9/29(日)奥多摩・浅川峠(山梨県大月市)で男性(46)が「道に迷った」と110番通報。県警ヘリが救助
9/30(月)北アルプス三俣山荘~雲ノ平間で男性(43)が岩で足を滑らせ転倒、右足首骨折。10/1県警ヘリが救助
9/30(月)北アルプス上高地で9/27ごろからホテルに宿泊していた男性(71)が9/30以降行方不明。家族が届け出る

気にかかった遭難事例

●ボランティア男性が遭難者発見
9月25日15時ごろ、広島県の高岳に1人で登った男性(76)が、親族に「登山ルートから外れてしまった。帰りが少し遅くなる」と電話連絡がありました。その30分後、登山仲間にも「道に迷った」と連絡して、その後連絡がとれなくなりました。登山仲間の男性は26日早朝から高岳周辺を捜しましたが見つからないため、8時50分に119番通報。この日、消防と山県署員が30人体制で捜索しましたが、発見できずに捜索を終了しました。
翌27日はボランティアも含む70人体制で、8時30分から捜索が開始されました。広島・島根両県の警察や消防、男性が所属している登山グループのメンバーも捜索に加わりました。9時45分ごろ、高岳と尾根続きの聖山から南西1kmの赤川谷で、遭難男性は発見されました。発見したのはボランティアで入っていた呉市の海上自衛隊員男性(34)でした。遭難男性が登山仲間に電話した際に話した峠の名前などの情報を元に聖山方面へ向かい、林道から沢へ入ると、男性が岩の上へ仰向けになっていたそうです。衰弱しているもののけがはなく、意識もはっきりしていました。携帯電話が圏外のため、林道に戻って10時15分に消防隊に伝えられました。最後の連絡から約43時間ぶりに救助された遭難者は、ヘリと救急車で病院へ運ばれました。

遭難者の男性は経験豊富なベテラン登山者のようですが、よく知っている山でも、ほんのちょっとしたきっかけで道迷いは起こっています。沢にいるときは焚火ができれば、発煙によって容易に位置を知らせることができます。非常用燃料、ライター、ツエルト(orレスキューシート)を、いつも持つようにするといいですね。

[9月3週]秋深まり、全国で多様な形態の遭難発生

[9/17~23の遭難関係ニュースから]
9月第3週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

21日から23日にかけて大型の台風17号が東シナ海を北上し、3連休はその影響を考えて登山を控えた人が多かったと思われます。週の前半には北アルプスで数件の遭難がありましたが、週末の連休時には、登山者の遭難は非常に少なくなっています。キノコ採りや山仕事中の事故が発生しているほか、山梨県道志川沿いのキャンプ場で女の子の行方不明事故がありました。捜索が難航しており、現在(9月28日)も見つかっていません。

9/18(水)北アルプス涸沢で女性(64)が滞在中の山小屋で体調不良となり行動不能。遭対協が救助
9/18(水)北アルプス焼岳でツアー登山中の男性(73)が足を滑らせて転倒し負傷。県警救助隊が救助
9/19(木)=発見日/北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根で行方不明者を捜索中の県警ヘリが身元不明の遺体を発見収容
9/19(木)北アルプス蝶ヶ岳で男性(51)が単独で下山中、階段を踏みはずして転倒負傷。県警ヘリが救助
9/19(木)三重県伊賀市の山林で男性(86)が倒れているのを発見、病院で死亡。全身にハチに刺された跡あり
9/20(金)11:30に望岳台から十勝岳へ入山した男性(50)が、15:00「吹雪で道に迷った」と通報。9/21グラウンド火口付近で発見されるが、病院で死亡確認
9/20(金)丹沢・大室山北麓のキャンプ場で水遊びに行った子供らを1人で追った女児(7)が行方不明。9/28未発見
9/22(日)北アルプス焼岳で女性(61)が仲間と4人で登頂後、単独で下山中に道に迷い行動不能。県警ヘリが救助
9/22(日)長野県木曽町の山林でキノコ採り中の男性(54)が何らかの疾患により倒れる。消防が救助後死亡
9/22(日)長野県木曽町の山林でキノコ採り中の男性(44)がクマに襲われる。肩を噛まれ軽傷
9/23(祝)=発見日/八風山(長野県佐久市)でキノコ採り中の男性(92)が何らかの原因により滑落死亡

[2019/11/10]追記
9/19(木)御坂・黒岳から下山途中の男性(65)が道に迷い110番通報。県警ヘリが山頂の南東600m地点で救助
9/19(木)北アルプス剱沢三ノ沢出合付近で男性(69)がつかんだ岩が崩れて右足に当たり負傷。防災ヘリが救助
9/20(金)鈴鹿・雨乞岳で男性(58)が家族に「迷子になった」と連絡し行方不明。9/21山中で無事発見
9/21(土)北アルプスカベッケヶ原付近で女性(69)が木道でつまずいて転倒、右足首骨折。県警ヘリが救助

[その他のニュース]
●御嶽山噴火の教訓伝える手ぬぐい
9/18=毎日/5年前の御嶽山噴火災害のときに、火口から350mの場所で被災しながら自力で生還した小川さゆりガイドが、安全登山を伝える手ぬぐいを自作して、実費販売しているそうです。登山初心者に「最低限この準備と装備があれば、万一の際に助かる可能性が高まる」というものが、手ぬぐいにイラストで描かれています。手ぬぐいを持っている間は記憶が反すうされますね。いいアイデアです。描かれているものは、登山届、ヘルメット、地図、コンパス、時計、雨具、ヘッドライト、ダウンジャケット、ツエルト、食料と水、でした。

手ぬぐいはこんな感じ

●クマに襲われ負傷
9/22=長野県警/9月22日、長野県大町市で男性(64)が自宅近くの路上で熊に襲われ、尻を噛まれました。また、長野県木曽町の山林でキノコ採りをしていた男性(44)もクマに襲われ、肩を噛まれました。2人とも軽傷でした。どこまでを「山岳遭難」または「山岳事故」ととらえるかですが、住宅地で遭遇したものは除き、山地・山林内でのものは山岳遭難と考えてよいと思います。ただし、長野県警が発表している山岳遭難の「週報」では、上記2事例とも含められていませんでした。

気にかかった遭難事例

●吹雪の十勝岳で遭難死
9月20日15時前、十勝岳を登山中の男性(50)が「吹雪が強くなり視界が悪い。登山道を外れたかもしれない」と、警察に通報しました。警察が夕方から救助に向かいましたが見つからず、21時前に捜索を中断しました。翌21日6時30分から道警ヘリと救助隊で捜索を再開し、12時5分ごろ、標高1800mのグラウンド火口付近に男性が倒れているのを発見しました。病院へ搬送後、死亡が確認されました。

発見時、男性は登山道から約120m離れた場所に、あお向けに倒れていたそうです。20日当時の視界は100mほど。通報時、男性は山頂から20分ほど下りた斜面にいると言っていますので、登頂後に下山する途中で風雪が激しくなり、下山ルートを迷いかけていたと推測されます。19時過ぎからは携帯電話の呼び出し音が鳴るものの、連絡がつかなくなったそうで、この時刻までに何らかの異変が起こったのでしょう。
首都圏からやって来て、望岳台から11時半ごろ登山開始しています。遅い時刻ですが、前日まで低気圧の悪天域にあって、天気は回復に向かっていました。時刻が遅いほうが好天になるだろうとの読みがあったかもしれません。
不利な場所にとどまり続けるよりも、地図読みや携帯GPSの知識を駆使して下り続けていれば助かったかもしれないと、考えさせられる事例でした。

9月20日12:00の地上天気図(出典:気象庁) 低気圧が通過して天気は回復に
向かっているものの、北海道中央部にはまだ薄い雲がかかっている状態だった

●道志のキャンプ場で女児行方不明
9月21日、山梨県道志村のキャンプ場で、小学1年の女の子(7)が行方不明になりました。女の子は家族・友人ら約30人でキャンプ場を訪れていて、21日15時半ごろ、先に遊びに行った子供たちを追いかけて1人で山に向かって以後、行方がわからなくなりました。大規模な捜索が連日行われていて、マスコミでも大きく報道されています。9月28日現在見つかっていません。

[9月2週]連休を中心に多くの遭難が発生

[9/10~16の遭難関係ニュースから]
9月第2週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

9月14~16日は3連休でしたが、中部~東日本では好天に恵まれました。南・北アルプスで多くの遭難が発生しましたが、死亡事故はなかったもようです。槍ヶ岳北鎌尾根、南アルプス北岳で、少なくともそれぞれ3件の遭難事故がありました。また、北アルプス槍ヶ岳方面と、四国山地の国見山では、行方不明事故が発生しています。

9/12(木)鈴鹿・御在所岳で女性(34)が下山途中の14:00「道に迷った」と通報。四日市西署らが救助
9/14(土)奥秩父・西沢渓谷で男性(78)が疲労のため両脚がけいれんし歩行困難となる。防災ヘリが救助
9/14(土)=発見日/奥秩父・中ノ沢方面へ8/26に入山した男性(51)が行方不明。9/14遺体発見、死因は多発外傷
9/14(土)北アルプス大日岳で男性(41)が下山中にバランスを崩し左足首をひねって骨折。県警ヘリが救助
9/14(土)白山・美濃俣川で男性(20代)が沢登り中に2~3m滑落して足首骨折の疑い。防災ヘリが救助
9/15(日)山寺の岩場(山形市)で女性(33)がクライミング中に5m転落して左側頭部にけが。防災ヘリが救助
9/15(日)早池峰山小田越ルート五合目で男性(55)が下山中に転倒して右足腓骨骨折。防災ヘリが救助
9/15(日)谷川連峰大源太山七合目付近で男性(66)が下山中に手足がしびれ動けなくなる。県警ヘリが救助
9/15(日)妙高山で女性(49)が下山中に転倒し右手首骨折。黒沢池ヒュッテまで下山後、防災ヘリが救助
9/15(日)奥秩父・瑞牆山の岩場で男性(30)が滑落し右肘などに軽傷。防災ヘリが救助搬送
9/15(日)三ツ峠山で女性(73・57)が16:20「道に迷った」と110番通報。県警ヘリが救助
9/15(日)北アルプス剱沢小屋に滞在中の男性ガイド(63)が胸の痛みを訴え、防災ヘリが救助。肺気胸の疑い
9/15(日)北アルプス剱沢2630mで男性(30)が下降中に浮石を踏んで転倒し右足骨折。9/16県警ヘリが救助
9/15(日)=認知日/北アルプス黒部川東沢谷で男性(59)が転倒負傷後7日間ビバーク。通った登山者が救助要請
9/15(日)北アルプス黒部五郎岳カールで女性(75)が登山道上で石につまずいて転倒し額に軽傷を負う
9/15(日)白山奥長倉避難小屋付近で男性(72)が転倒して歩行不能。9/16防災ヘリが救助。右足首骨折の模様
9/15(日)天杉山(広島県安芸太田町)で女性(69)が「下りる道がわからない」と通報。9/16消防ヘリが救助
9/16(祝)北アルプス剱岳前剱付近で男性(36)が下山中に滑落、肋骨骨折などで行動不能。9/17県警ヘリが搬送
9/16(祝)北アルプス黒部川赤木沢出合付近で男性(69)が道に迷い、9/18家族が通報。山岳警備隊員が救助

[2019/11/10]追記
9/11(水)北アルプス前穂重太郎新道を登山中の男性2人(21・21)が疲労などにより行動不能。県警・遭対協が救助
9/14(土)日光白根山で女性(35)が山頂100m下を下山中に転倒して左足首骨折。県警警備隊員らが救助
9/14(土)群馬県上野村の山林でキノコ採りの男性(54)が足を滑らせ沢へ20m転落、胸骨骨折など。消防らが救助
9/14(土)南アルプス八本歯コル~大樺沢二俣間で男性(61)が下山中に砂地で転倒し左脚骨折。県警ヘリが救助
9/14(土)南アルプス八本歯コル付近で男性(76)が左俣ルートから岩壁方向に迷い込み行動不能。県警ヘリが救助
9/14(土)北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根でガイド登山の女性(57)が疲労と体調不良により行動不能。県警ヘリが救助
9/14(土)=認知日/北アルプス上高地から槍ヶ岳方面へ9/8に入山した男性(61)が行方不明。9/14認知、捜索中
9/15(日)南アルプス鳳凰・白井沢で男性(67)がバランスを崩し20m滑落、左膝靭帯損傷の疑い。県警ヘリが救助
9/15(日)中央アルプス南越百山で男性(68)が登山中に滑落負傷、その後自力下山中に道に迷う。県警ヘリが救助
9/15(日)北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根で女性(58)が仲間4人と登山中に転倒し負傷。県警ヘリが救助
9/15(日)北アルプス岳沢周辺を単独で登山中の女性(60)が転倒し負傷。県警ヘリが救助
9/15(日)御嶽山でツアー登山中の女性(74)が転倒して負傷。県警ヘリが救助
9/15(日)四国山地・国見山に上野登山口から入山した女性(70代)が、山頂到着後に行方不明。9/17捜索打ち切り
9/16(祝)南アルプス北岳大樺沢で男性(65)が下山中にバランスを崩して転倒し左足首骨折。県警ヘリが救助
9/16(祝)南アルプス雨乞岳で男性(75)がキノコ採り中に30m滑落、背骨を折るなど重傷。防災ヘリが救助搬送
9/16(祝)南アルプス日向山で男性(23)が落とした携帯電話を拾おうと崖を下るが戻れなくなる。県警ヘリが救助
9/16(祝)北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根で女性(49)が登山中に脱臼骨折により行動不能。9/17県警ヘリが救助
9/16(祝)北アルプス燕岳で男性(51)が単独で登山中に転倒して負傷。安曇野署・遭対協が救助

[その他のニュース]
●剱立山のキャンプ場で盗難
9/10=富山テレビ/9月6日14時ごろ、剱沢キャンプ場へ登山を終えた人が戻って来たところ、1人用テントとザック、シュラフなど一式がなくなっていたそうです。また、9月7日、雷鳥沢キャンプ場でも1人用テントなど一式がなくなる盗難被害が起こりました。この事件はSNSでも拡散されましたが、その後、同様の被害があったとは聞いていません。登山も油断がならない時代になったと思いました。

●山梨県側の富士登山者5.6%減少
9/11=テレビ山梨/富士山は9月10日で夏山シーズンが終わりました。山梨県側からの登山者数は18万5807人で、昨年より1万867人減少し、世界遺産登録後では過去2番目に少なくなりました。昨年秋に山頂付近の石積みが崩れて、今年のシーズン当初に山頂まで登れなかったことと、天候不順が重なったことが、登山者減少の要因とみています。

●富士登山鉄道の構想
9/12=テレビ山梨/9月12日、富士山麓と五合目とを結ぶ富士山登山鉄道の検討会が、東京都内で開催されました。この検討会は山梨県知事が中心となって設置され、鉄道や火山研究の専門家、国会議員などが委員になっているそうです。10月に現地視察を行い、年明けに中間報告をまとめるスケジュールになっています。登山鉄道は、しっかりとした環境保全の考え方のもとに運営されれば、自動車道路よりもエコな環境を実現できると思いますが、どうでしょうか?

気にかかった遭難事例

●槍ヶ岳北鎌尾根で遭難3件
この週であげた遭難18件のうち、9件は長野県内で発生しており、そのうち3件は槍ヶ岳北鎌尾根で起こりました。具体的な状況は不明ですが、14日は女性(57)がガイド登山中に疲労と体調不良により行動不能、15日は女性(58)が5人パーティで登山中に転倒し負傷、16日は女性(49)がやはり5人パーティで登山中に脱臼骨折しています。3件とも県警ヘリで救助されました。

北アルプス槍穂高連峰の北鎌尾根、前穂北尾根、北穂東稜は人気がありますが、一般登山者向けのルートではなく、クライミング技術を駆使して登攀するバリエーションルートです。上記遭難事例の詳しい状況はわかりませんが、北鎌尾根を登るための体力・技術が追い付いていなかったのでは?と推測させるものでした。
北鎌尾根のようなバリエーションルートを、「たいしたことない」「思ったよりカンタン」などと言うベテラン登山者もいるかもしれません。遭難しないためには、北鎌尾根の難しさや危険性をよく理解しているリーダーや先輩と行くことが大事だと思います。

[9月1週]南北アルプスや富士山で再び遭難多発

[9/3~9の遭難関係ニュースから]
9月第1週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

9月6日(金)から8日(日)にかけて、中部山岳地域などでは好天に恵まれ、シーズン終盤の夏山登山を楽しんだ人が多かったのではないでしょうか。北・南アルプスや富士山で再び遭難が多くなっています。悪天候などで条件の悪いときよりも、好天になったほうが遭難が多いというのが、残念ながら現代の遭難発生の特徴です。

9/4(水)=発見日/日高山脈カムイエクウチカウシ山1180m付近で登山者が男性の遺体を発見。死後数日から数週間
9/4(水)=発見日/六甲・烏原大橋の真下で脚・顔などを骨折して倒れた男性(63)の遺体発見。大橋から転落か
9/5(木)谷川連峰万太郎山で男性(40代)が沢登り中に滑落して頭部や右膝を負傷。2H後防災ヘリが救助
9/5(木)御坂・三ツ峠登山口から天下茶屋を目指した男性(71)が登山道を外れて迷い16:35通報。大幡山で救助
9/5(木)八ヶ岳・赤岳で男性(71)が美し森へ下山中に道に迷い17:20通報。9/6北杜署が救助
9/6(金)吾妻・天元台高原で親子行事の山歩き集団がハチに襲われる。先頭グループ男女5人(中1)が刺され軽傷
9/6(金)尾瀬・燧ヶ岳で男女2人(60代)が登山中に道に迷い、下山しないため宿泊施設が通報。9/7朝自力下山
9/6(金)苗場山で男女2人(40代)が登山届の下山日を誤って1日早く記載。最終日に妻の弟が通報し遭難騒ぎに
9/6(金)富士山御殿場口下山道太郎坊付近で男女2人(30代)が負傷および疲労により救助要請。県警救助隊が救助
9/6(金)富士山御殿場口下山道大砂走り付近で男性(30代)が足を負傷して動けなくなる。夜、県警救助隊が救助
9/6(金)八ヶ岳・夏沢峠~硫黄岳間で男性(62)が登山中に同行者とはぐれ行方不明。9/8時点で未発見
9/6(金)南アルプス高嶺付近で女性(59)が下山中に岩場でバランスを崩し転倒、左足首骨折。県警ヘリが救助
9/6(金)北アルプス槍ヶ岳から槍沢を下山中の男性(70)が疲労により行動不能。遭対協が救助
9/7(土)面白山で女性(28)が濡れた登山道で滑落すると思い動けなくなって通報。山形署・消防が同伴して下山
9/7(土)平ヶ岳鷹ノ巣ルートの台倉山で、男性(40代)が下山中に脱水症などで動けなくなる。防災ヘリが救助
9/7(土)富士山富士宮口五合目宝永山下山道で男女2人(年齢不明)が道に迷い救助要請。県警救助隊が発見救助
9/7(土)富士山須走口八合目付近で男性(年齢不明)が足の痛みを訴え救助要請。防災ヘリが救助搬送
9/7(土)八ヶ岳・赤岳の文三郎尾根を下山中の男性(41)が足を滑らせて転倒し右足骨折。県警ヘリが救助
9/7(土)八ヶ岳・権現岳から下山中の男性(58)が足を滑らせ右脚骨折の重傷。防災ヘリが救助
9/7(土)南アルプス鋸岳で男性(71)が下山中に道に迷い日没となったためビバーク。9/8林道を歩行中に救助
9/7(土)南アルプス栗沢山で男性(54)が下山中にバランスを崩し転倒、右足首骨折。小屋関係者などが救助
9/7(土)北アルプス剱岳八ツ峰で男性(22)が岩登り訓練中に10m転落し頭・右手などに重傷。県警ヘリが救助
9/7(土)北アルプス焼岳で女性(38)が新中尾峠から上高地へ下山中に転倒して負傷。県警ヘリが救助
9/8(日)鳥海山で仲間から1人だけ遅れた男性(69)が、登山道に倒れているのを発見される。病院で死亡確認
9/8(日)奥秩父・瑞牆山のカサメリ沢で女性(52)がクライミング中に25m滑落、全身を打ち死亡。防災ヘリで搬送
9/8(日)南アルプス大樺沢二俣で男性(66)が転倒時に額を岩に打って負傷。小屋を通じ通報、県警ヘリが救助
9/8(日)北アルプス剱岳・前剱登山道付近で女性(19)が下山中に稜線から150m滑落死亡。8/12県警ヘリが2650m地点で遺体発見、収容
9/8(日)北アルプス東沢岳で男性(77)が餓鬼岳から東沢を下山中に足を滑らせ滑落して負傷。県警ヘリが救助
9/8(日)鈴鹿・御在所岳で男性(47)が登山に出かけたまま帰宅せず。9/12防災ヘリで遺体収容
9/8(日)白滝山(広島県尾道市)八合目駐車場付近で観光客ら4人がスズメバチに刺され軽傷。登山道は一時閉鎖
9/9(月)=通報日/南アルプス鳳凰三山へ向かった男性(82)が下山せず。9/12県警ヘリが地蔵岳南東170mで発見

[その他のニュース]

●富山県の夏山遭難最多
9/5=毎日など/富山県内で発生した7~8月の夏山期間の遭難事故は80件(速報値、前年比+12)、遭難者数は84人(同+13)となりました。これまで最も多かった2002年の71件・76人を上回り、過去最悪記録を更新しました。遭難者のうち60歳以上が43人で半数以上を占めています。態様別では多い順に、転倒22人、病気(高山病、熱中症など)20人、転落・滑落10人、疲労7人、道迷い4人となっています。※「態様」とは遭難事故の形態、表われ方のことです。

●長野県の夏山遭難は減少
9/3=信越放送など/長野県内で7~8月の夏山期間に発生した遭難事故は99件(前年比-18)、遭難者数は106人(同-15)、死者・行方不明者は9人(同-9)でした。過去最悪だった昨年から減少したのは、悪天候や梅雨明けの遅れから登山者が減少したのが原因とみています。年齢別では60代以上が60人(57%)、40代以上では総数の87%を占め、中高年ないし高齢者の遭難が目立っています。転倒・転落・滑落が63件で、全体の66%を占めました。

●全国の夏山遭難は606件・669人
9/6=時事通信など/警察庁は9月6日、7~8月に全国で発生した山岳遭難件数が606件、遭難者数は669人だったと発表しました。過去最多だった昨年よりも115件、124人減少しました。死者・行方不明者は54人(前年比-17)でした。「7月に天候の悪い日が多かったことが影響しているのではないか」とみています。

気にかかった遭難事例

●11日後遺体発見、9日後に身元特定
9月3日、南アルプス署は南アルプス間ノ岳の東側斜面で8月25日に見つかった男性遺体の身元を、DNA鑑定により特定しました。男性(63)は8月11日に単独で長野県大鹿村から入山。同13日に熊ノ平小屋に宿泊し、翌朝出発してから行方不明になっていました。同25日に上空をパトロール中の山梨県警ヘリが発見し、翌日収容されました。男性は稜線から約300m下の斜面に倒れ、死因は滑落による多発外傷でした。

●前剱で19歳女性が滑落死亡
9月8日から単独で剱岳に登山に出かけた女性(19)が行方不明になり、同12日9時ごろ、前剱~一服剱間の標高2650m地点で倒れているのが発見されました。女性は心肺停止の状態で、県警ヘリで搬送されましたが、病院で死亡が確認されました。死因は報道されていませんが、滑落による多発外傷と推定されます。

行方不明だった同11日の夜、女性のお兄さんがツイッターで情報提供を呼びかけ、本人の顔や登山姿が写った写真、簡単な服装リストなどを公開しました。発見後にもお兄さんから簡単な経過報告がされたことから、私たちも一部分ではありますが、この遭難事例の状況を知ることができました。
剱岳のルート中、前剱の南側斜面は事故発生が最も多い場所の一つです。本事例と同じパターンの転落・滑落事故がここで何度も発生してきました。あらかじめその危険性を知っていれば、意識の持ち方も変わっていたのではないでしょうか。登山者の皆さんに遭難情報、危険情報を伝えてゆくことは重要だと思います。

前剱南面の登山道。15年前に撮ったものなので、現在は変わっているかもしれません

[8月5週]北アルプスで高齢者の遭難続く

[8/27~9/2の遭難関係ニュースから]
8月第5週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

夏休み最後の週、山岳遭難はかなり少なく、現在のところ把握された事例は10件ほどです。北アルプスでは4件の遭難があり、どれも高齢登山者によるものです。死亡事故が1件、行方不明事故が1件発生しています。停滞前線や寒気の影響で局地的な大雨もあり、全般に登山の天候には恵まれない週になりました。登山者が少なかったために、遭難発生も少なかったものと思われます。また、秋田県仙北市ではキノコ採りでの死亡事故が、長野県小谷村では地質調査作業中の転落死亡事故が起こっています。
9月上旬に長野県、富山県での夏山遭難のまとめが報道されています。長野県では昨年よりも減少、富山県では遭難増加となりました。詳しい内容は次回掲載します。

8/27(火)秋田県仙北市の山林で、8/18にキノコ採りで入山後行方不明になっていた男性(79)の遺体発見
8/27(火)北アルプス穂高連峰岳沢に向けてツアー登山中の男性(69)が滑落負傷。県警ヘリが救助
8/28(水)8/27北アルプス徳本峠へ向かった男性(79)が行方不明。松本署などが捜索中
8/28(水)白山で男性(30代)が下山せず行方不明。8/31左足首を骨折し間名古ノ頭付近で発見、防災ヘリが救助
8/29(木)北アルプス大天井岳で女性(74)が疲労・体調不良により行動不能。遭対協が救助
8/30(金)北アルプス穂高・奥又白谷で男性(71)が増水した沢を渡ろうとして流される。8/31300m下流で遺体発見
8/31(土)台高・大杉谷、桃の木山の家勤務の女性(38)が携帯電話の通じる場所に向かったまま戻らず不明。9/2午後無事発見、全身に打撲痕あり
9/1(日)近畿八幡山(滋賀県近江八幡市)で女性(29)が下山中、日没のため道に迷い行動不能。山頂150m下で救助
9/2(月)浦川砂防堰堤(長野県小谷村)で男性(53)が地質調査作業中に15m転落、川に流される。9/3遺体発見
9/2(月)南アルプス地蔵岳から薬師岳へ向かう途中、女性(76)がグループからはぐれ道に迷う。9/2早朝救助

[2019/09/18追記]
8/27(火)白山黒ボコ岩付近で登山中の女性(69)が足首を捻挫して行動不能。福井県防災ヘリが救助搬送
8/29(木)南アルプス聖岳で女性(67)が登山初日に低体温症を発症しツアー関係者が通報。8/29救助隊が救助
8/29(木)竜爪山(静岡市葵区)から道白山へ登山中の女性(39・39)が道に迷い16:15通報。消防ヘリが発見救助
8/31(土)大菩薩・小室川谷で沢登り中の男性(24)が手をかけた岩が崩れて滑落し、右足を負傷。防災ヘリが救助
8/31(土)富士山富士宮口元祖七合目下で男性(31)が下山中に転倒して足を負傷。県警・消防救助隊が付添い下山
9/1(日)南アルプス北岳大樺沢左俣ルートで男性(57)が下山中に持病の腰痛を発症し行動不能。県警ヘリが救助

[その他のニュース]
●岩殿山の鏡岩が一部崩落、メインルート通行止め
8/28=テレビ山梨/8月27日、岩殿山(山梨県大月市)の登山道に落石があると、登山者から連絡がありました。市で調べたところ、山頂直下にある鏡岩の一部が幅5m、高さ3mにわたって崩落し、流れ落ちた岩が登山道を塞いでいました。市は落石のあった強瀬ルートを通行止めにしました。27日0:00過ぎに神奈川県西部を震源として発生した地震が、崩落の原因と見ています。同ルート復旧のめどは立っていません。

●富士山吉田口の登山者1割減少
9/2=テレビ山梨/富士吉田市が吉田口登山道六合目で集計した登山者数は、7~8月の2カ月間で16万655人になりました。昨年の同期間よりも約1万9000人、率にして9.1%減少しました。山頂付近の石積みの崩落により登山道が一部通行止めの時期があったこと、お盆の時期に台風10号が接近したことなどが、減少の原因ではないかと、富士吉田市は分析しています。

気にかかった遭難事例

地理院地図(レベル16)に加筆

●奥又白沢で増水した沢に流され死亡
8月30日午後、奥又白谷の標高1900m付近を登っていた5人パーティのうち、先頭で沢を渡ろうとしていた男性(71)が流され、行方不明になりました。31日7:20ごろ、事故発生現場から約300m下流に倒れている男性が発見され、死亡が確認されました。

8月28~29日は九州北部で大雨が降り、長野県中部も停滞前線が横断していました。この間の雨で各地の沢は増水していたのでしょう。ふだんはごく細い流れや、涸れ沢であるものが、急な大雨によって増水し徒渉できなくなることは、森林限界以上のエリアが広大な山ではよく起こることです。涸沢へ行くのに、難路である奥又白谷を経由せず、より安全な横尾回りのルートで入山すればよかったと思います。