1年間合計の遭難発生数は2583件・3111人、過去最悪

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[6/19~25の遭難関係ニュースから]
2017年度の山岳遭難統計が発表されました。警察庁のこの統計は、1961年から続けられています。
表1 概要(発生件数・遭難者数の推移):10年間
表2 都道府県別状況
表3 目的別山岳遭難者:5年間
表4 態様別山岳遭難者:5年間
表5 年齢層別山岳遭難者:5年間
表6 年齢層別山岳遭難者(死者・行方不明者):5年間
表7 単独登山者の遭難状況:5年間
表8 通信手段の使用状況:10年間
このうち一番基本的なものは、表1(全体)、表4(態様別)、表5(年齢別)だと思います。以下、解説します。

過去10年間の山岳遭難発生状況(原本の表1)

[表1からわかること]
発生件数、遭難者数とも過去最多(最悪)になりました。死亡・不明者数354人も最多です。いわゆる「無傷救出」で発生数が膨れ上がっているだけかというと、そうではありません。死亡・不明・負傷者が1562人(50.2%)にのぼります。遭難して実被害を受けた人数です。実は、昨年度はわずかに減少したので、遭難減の流れに変わるのかと思いました。しかし、そうではありませんでした。

年齢層別遭難者数(原本の表5)

[表5からわかること]
遭難の一番多い年齢層は60代、次が70代です。しかし、3年前と比較して増減を検討すると、増加率の高いのは70代・80代です。10代も大きく増加していますが、これは3月に起こった那須雪崩遭難(1件で48人が遭難)の影響です。
高齢登山者への遭難対策は、登山界での一番の課題だと思います。
20代、40代、50代は、平均的な増加幅です。
30代と60代は減少しています。遭難が全体に増加している中での減少ですから、何か理由があるはずです。(1)登山人口減、(2)遭難対策の効果が表れた、のいずれかでしょう。

態様(原因)別遭難者数(原本の表4)

[表4からわかること]
「態様」とは、遭難の種類というような意味です。
この比率は毎年だいたい同じです。多い順に「道迷い」「転・滑落」「転倒」「病気/疲労」となります。登山というのは、これだけ多くの危険の中で行われるものだとも言えます。これらの危険をどうやって回避すればよいか、登山雑誌、山の本、TVなどのマスコミは、もっとそういうテーマを取り扱う必要があるでしょう。

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