[1月1週]クリスマス~年末年始の遭難発生状況

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[12/25~1/7の遭難関係ニュースから]
12月第5週と1月第1週の山岳遭難まとめです。

●クリスマス連休(12/22~24)には西から冬型気圧配置が強まり、24日は9日ぶりの冬型となりました。連休中に入山していた大雪山系オプタテシケ山、剱岳北方、甲斐駒ヶ岳で、大きな遭難が発生しました。
オプタテシケ山では室蘭工大ワンダーフォーゲル部学生4人が遭難し26日に救助されました。
甲斐駒ヶ岳ではアイスクライミングの2人が行動不能となり、七丈小屋にたどり着いて救助要請しました(ルートがどこなのか確認できていません)。
剱岳北方の遭難は大きく報道されました。大窓ノ頭付近で長期ビバークのすえ31日にようやく救助されました。

●28日からは年末寒波が襲来して強い冬型が続き、北海道・東北地方を中心に記録的な大雪となりました。
31日に寒波は峠を越えましたが、元日以降も冬型は続き、ようやく緩んだのは正月明けの4日でした。
このような気象状況でしたが、年末年始期間の遭難は少なかったように見えます。悪天候が予想されたので、北・南・中央アルプス、八ヶ岳、富士山のような本格的雪山への入山者が少なかったものと推測されます。
しかし、近ごろの遭難多発状況は生やさしいものではありません。本格的な雪山プランはあきらめても、登山者たちは別のエリアへ流れます。最終的にはけっこうな数の遭難事故が発生しています。

●警察庁は1月10日に年末年始の山岳遭難発生状況を発表しました。
それによると、12/29~1/3の6日間に全国で30件の遭難が発生し、遭難者数は40人、死者・行方不明者は1人(負傷者12人、無事救出27人)でした。
遭難件数で見ると、過去5年間では2017年(49件)の次に多く、過去10年間では2017年(49件)、2013年・2014年(各31件)に次いで4番目に多いという結果でした。また、遭難者数で見ても過去10年間で4番目に多い結果でした。
テレビ・新聞などのマスコミ報道が少なかったのは、大規模遭難がほとんどなかったからです。しかし、軽度の遭難事例はそれなりに多発していたのでした。

12/25(火)大雪山系オプタテシケ山で室蘭工大WV部男子4人が遭難、1人が低体温症となる。12/26救助
12/25(火)南ア・甲斐駒ヶ岳でアイスクライミングの2人が八合目へ向かう途中で行動不能。七丈小屋から通報
12/25(火)北ア・剱岳大窓ノ頭付近で男性(51)が両足指に凍傷を負い行動不能。悪天候でヘリが飛べず12/31ヘリ2機で救助
12/26(水)妙義・金鶏橋で女性(47)が倒れており目撃者が通報。12/27崖下30mで遺体発見収容
12/26(水)祖母山系二ツ岳に単独で入山した男性(65)が行方不明。12/31遺体発見
12/28(金)上毛・子持山獅子岩の南方で女性(45)が30m滑落、背中の骨を折るなど重傷
12/28(金)南ア・甲斐駒ヶ岳仙水峠付近で男性(56)が道に迷ったうえ両手足に凍傷。12/29救助
12/28(金)八ヶ岳・阿弥陀岳南稜で男性(56)が同行者のアイゼンに当たり足を負傷
12/29(土)奥武蔵・長瀞アルプス万福寺コースで男性(56)が滑落し、病院へ搬送後死亡
12/30(日)徳瞬瞥山(北海道伊達市)でスキー登山の男性(20代)が下山方向を見失い迷う
12/31(月)富士山富士宮口元祖七~六合目で下山中の男性(33)が道に迷い行動不能
12/31(月)八ヶ岳・柳川南沢登山道を下山中の男性(41)が転倒し左足捻挫
1/1(祝・火)北ア・白馬乗鞍岳1900m付近を滑走中の外国人男性5人(20-21)がルートを迷い翌日救助
1/2(水)十勝・三段山から吹上温泉へ滑走中のベルギー人男性2人と日本人女性がホワイトアウトのため行動不能
1/2(水)奥秩父・大嶽山那賀都神社付近の山中で女性(53)が迷ったうえ斜面から20m滑落し肋骨骨折
1/2(水)北ア・槍ヶ岳北鎌尾根3000m付近で男性(43)が滑落し鎖骨骨折など。4日救助
1/3(木)北ア・唐松岳八方尾根2000付近で男女(45・48)が悪天候のため行動不能。4日自力下山