朝3時半に起きて、自炊室でラーメンを作って食べました。小屋内はまだ寝静まっています。私以外にはもう1組3人がすでに起きて出発準備をしていて、4時15分ごろに出ていきました。私は計画通り5時に出発しました。
行者小屋までは夜道(ライトが必要)、阿弥陀岳分岐でうす明るくなりライトがいらなくなりました。文三郎尾根を登っている途中で、赤岳西壁を登る2組5人が私を追い越して行きました。たぶん学生さんの合宿でしょう。
とんでもない快晴になりました。薄明の中から薄紅に色づいた北アルプスが姿を浮かべています。隣にある山脈のように近く見えます。八ヶ岳から北アルプスがこんなに近く見えるのは初めてです。
昨日登っているので、文三郎道の難所は気が楽でした。そして、私にとっては体力的な核心が文三郎道を登り切って赤岳山頂に立つまでと考えていました。あとは大きな標高差の登りはどこにもありません。
赤岳山頂で会った人は1人だけでした。皆さんこれから登ってくる時刻です。阿弥陀岳、権現岳、富士山、北・中央・南アルプス、乗鞍・御嶽、全部すばらしかったのですが、写真だけは撮って、ほとんど休まずに出発しました。
地蔵ノ頭に来ると、青いアウターの人(けっこうオジサンでした)がいて、この人と前後しながら最後まで歩くことになりました。
二十三夜峰は不安定そうなトレースが見えましたが、うまく弱点をつきながら登っていました。この次に日ノ岳のルンゼ登りがあります。何も難しくはないですが、雪崩への警戒心を持つ必要があると、いつも意識しています(自分以外に指摘する人はいません)。ここは横岳の第1の難所です。
ルンゼから稜線へ登り、反対の西側へ鎖場を下ります。ここは鉾岳の西面を巻く所で、けっこう長いトラバースになります。西壁へ切れ落ちた急斜面の中ですが、雪が安定してついているので難しさはありませんでした。ここが第2の難所。
稜線へ戻ってしばらく平凡な(というか、普通に歩ける)箇所になり、三叉峰で杣添尾根を合わせます。さらに10分ほどで横岳最高点の奥ノ院に着きます。
奥ノ院の先に最後の難所があります。雪稜を下り、右(東側)へ階段を下ってバンドに立ち、岩稜を左(西側)へ越えて鎖場を下り、岩のバンド(ここも鎖)を伝い岩稜基部へ抜けます。雪が少ないからでしょう簡単でした。雪稜に設置された手すりが埋まり、岩稜の階段が埋まり、鎖場も埋まるほどの雪になれば、ここの難しさはまったく変わるはずです。
難所がすべて終わり、すっきりした気分で硫黄岳へ向かいました。硫黄岳もまた個性的なピークです。阿弥陀岳、赤岳と、越えてきた横岳が、妙にナマナマしく見えていました。
[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正事項
本文P172上段21行目
「二十三夜峰の小さなハシゴを過ぎると、岩峰の基部を右へ回り込み・・・」
→ 「二十三夜峰の東側を巻き気味に登り、右へ回り込んで日ノ岳の・・・」
※横岳の最初のピークである二十三夜峰は、東側斜面を稜線近くまで巻き気味に登っていきますが、ルートのとり方が複雑です。やや足場の悪い箇所もあるので要注意です。