3月中にもう1回雪山へ行きたいが、1泊以上の日程だと週刊ヤマケイの投稿に間に合いません。日帰りルートで『雪山登山』掲載のものは、上州武尊山と木曽駒ヶ岳しか残っていませんでした。積雪量が多いのを確かめて木曽駒に行くことにしました。
前夜、菅ノ台駐車場で車中泊。駒ヶ根インターの近く(駒ヶ根駅側の最初の交差点)に新しいセブンイレブンができていて、夜中の買い物に便利でした。
千畳敷から木曽駒に登るには、車の進入規制がありますので、菅ノ台駐車場(バス停名は「菅の台バスセンター」)からバスに乗ります。バス+ロープウェイ+駐車場代でとてもコストが高いです。本音を言うと、日帰りでこのルートは行きたくありません。
翌朝、始発バス(8:15)に乗り、始発ロープウェイ(9:05)で千畳敷へ上がりました。
千畳敷では晴れ上がって山々が全部見えました。宝剣岳はすぐそこに見えます。乗越浄土へのルートは、宝剣の右側の鞍部へまっすぐに上がるのですが、本当に雪崩が危険なラインです。こんなルートに雪崩ビーコンも持たない初心者・初級者がたくさん登っているのですから、どこか大きな誤りを犯していると思えます。
今日は100%近い確率で雪崩はないと思いますが、心理的な意味で、ヤッケの下に雪崩ビーコンを装着してスイッチをONにしました。
トレースは何条にもついていますが、右側の岩稜末端をめざしてまっすぐに上がり、末端の真下あたりで一度止まって休憩しました。いちおう雪崩道の中心を外しました。ここまでは先頭でしたが、何人もの人が目の前を登っていきました。千畳敷に泊まって早朝出発したのか、下りてくる人も交差しました。
ポールをしまい、ピッケルに持ち替え、それから約30分で乗越浄土に出ました。最も危険な区間はこの30分間ということになります。
南アルプスがきれいに見えますが、雪が少なく黒い部分が多いため迫力に欠けます。厳冬期の1~2月はもっとすばらしいでしょう。しかし、南部の荒川・赤石・聖岳までくっきりと見えるのはさすがです。
宝剣岳の写真が撮れる場所を探して近寄っていきました。結局、北稜の取付まで行きましたが、右側(宝剣沢)はさえぎるものが何もなくとても危険です。岩もあり、鎖が一部出ていて、ロープを使ってビレイしながら登るのはやりやすそうでした。前回来たときは宝剣岳にソロ(ビレイなし)で登りましたが、無謀といっていいぐらい危険だと思いました。今年の雪山シーズンでも、ここで複数の事故が起こっています。
もうきつい登りはなく、中岳へゆるやかに登り、頂上山荘(閉鎖中)へ下り、木曽駒へ登り返しますが、この登りは30分以内ですんでしまいます。写真を撮りながらゆっくりだったので、千畳敷を同時に出発した人たちはほとんど下りてしまいました。
正午前、木曽駒頂上に着いたころは、上空が曇ってしまいました。それでも展望はまだ広く、御嶽・乗鞍は大きく、北アルプスは笠ヶ岳と槍・穂高、鹿島槍・五龍も山の形からそれとわかります。遠く妙高・火打まで見えていました。
すっかり人の少なくなった山上をゆるゆると下り、乗越浄土から伊那前岳の方向へ行ってみました。宝剣岳などの迫力ある写真が撮れるかと期待しましたが、宝剣岳はそれなりに、横方向から見た空木・南駒ヶ岳もマアマアでした。
雪崩は一番の問題点ですが、そこさえクリアできれば、千畳敷から木曽駒ルートはピッケル・アイゼンを使った雪上歩行を体験できる、よいトレーニングルートです。日帰りはコストが高いですが、千畳敷ホテルに泊まる1泊2日で、1日は技術トレーニング、もう1日で木曽駒登頂をやればいいと思います。
[登るための注意点]
・長野県の条例で登山届提出が義務付けられていますが、現地に係員などがいるわけではなく、自発的に提出します。ロープウェイ千畳敷駅に提出ポストがあります。
・ロープウェイ往復料金に限り、モンベルクラブ会員、YAMAP会員など対象に割引があるようです(片道は適用されない)。割引対象や期間などは確認してください。
・雪崩の危険に関して情報掲示などはなく、すべて「自己責任」となっています。初級者には判断が難しいのが実情です。とにかく注意しましょう。
[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正事項
(1)アクセス:バス所要時間の短縮
「ロープウェイ行きバス約50分」× → 「ロープウェイ行きバス約42分」
(2)マイカー情報:バス所要時間の短縮
「バスに乗り換えて約40分で」× → 「バスに乗り換えて約30分で」