[4月2週]岐阜県で山のグレーディング改訂

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[4/2~8の遭難関係ニュースから]
4月第2週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

この週は遭難発生が少なく、報道などで把握できたのは3事例のみでした(4/19に3事例を追加しました)。スキー事故(バックカントリーではありません)が1件ありましたが、雪山遭難はありませんでした。春の山歩きシーズンとなり、都市圏近郊の日帰りエリアでの遭難事故が多くなってきています。

4/3(水)毛無山(長野県野沢温泉村)山林内で男性(37)がスノーボード滑走中に雪に埋没して負傷。脳挫傷など重傷の模様
4/3(水)本社ヶ丸から宝方面へ下山中の男性(72)が道迷い遭難。4/4防災ヘリが救助
4/6(土)古賀志山で女性(64)が斜面を50m滑落し負傷。防災ヘリが救助
4/6(土)南ア深南部・黒法師岳で男性(63)が下山中に道迷い遭難。4/7天竜署などが救助
4/7(日)西上州・毛無岩で女性(50)が斜面を100m滑落し重傷。4/8県警ヘリが救助
4/7(日)奥武蔵・日和田山の岩場で男性(58)が単独でクライミング中に転落し死亡

●本社ヶ丸(1630m):笹子川右岸の最高峰(ヤマケイオンライン)とあります。笹子川流域には高川山、滝子山、笹子雁ヶ腹摺山などがあって、高川山以外は行程が長く健脚向きです。昔の本社ヶ丸は秘峰で、山頂からは清八峠か鶴ヶ鳥屋山へ縦走するのが一般的でしたが、ある時期から山と高原地図などに宝方面(大幡川)や笹子方面(笹子川)へ下るルートが記載されるようになりました。この男性は宝方面へ下ろうとして迷ったようです。

●黒法師岳(2067m):報道では「地頭方の山林で救助された」とあります。黒法師岳の南西尾根から北面に迷い込んだと思われます。それなりに深い山中で迷っても、救助要請とともに現在位置情報を通報できれば、ヘリが飛べない場合でも1日以内で救助されるという事例になっています。

●古賀志山(583m):宇都宮市北西郊外にある低名山です。最高点の古賀志山のほか、東側ピーク(東陵見晴台)、西側ピーク(御岳546m)、さらに岩稜で西方につながる赤岩岳(536m)などが一体になった山群を古賀志山ということもあります。一般的な登山ルートは、北ルート(2.4km・1時間、初級)、南ルート(2.8km・1時間20分、初級)、東陵ルート(2.1km・1時間、初級)、滝ルート(2.3km・1時間20分、初級)、中尾根ルート(3.1km・2時間、上級)、赤岩岳ルート(2.3km・2時間、上級)ですが、ほかにも詳細なルートがある模様です。それだけ迷いやすいともいえ、初級者が岩場のある難ルートに迷い込む危険性のある山です。直近でも3/31(男性55、転倒重傷)、4/21(男性67、滑落死亡)と事故が多発しています。

●毛無岩(1290m):西上州・荒船山の東方にある岩峰。尾根ルートと沢ルートがあって、沢ルートは難路で荒れている模様です。尾根ルートと主稜線上は岩場が多く、随所に転滑落危険箇所があるようです。岩場への危険意識をもって行かなくてはならないルートです。

4/28修正
(1)古賀志山中尾根ルート ×中級 → ○上級
(2)古賀志山「東稜」表記 ×東稜 → ○東陵
通常は「東稜」が正しいと思いますが、ネット情報は「東陵」がほとんどのため、とりあえずネットに合わせておきます(正しい表記が判明したら再度訂正します)。

岐阜県で山のグレーディング改訂

岐阜県「北アルプスピッチマップ」の一部
(グレードと色の対応は、A=緑、B=青、C=黄、D=赤、E=黒)

岐阜県で改訂された「山のグレーディング」が発表されました。
大きな変更点は、従来のグレード表(マトリックス表)、ルート一覧表に加えて、北アルプスの各ルートについて区間ごとに技術的難易度を評価した「北アルプスピッチマップ」が公開されたことです。このことから、各ルートのどの区間がどの程度難しいかを、直接的に把握できるようになっています。
最難グレードである「E」と評価されているのは2カ所です(カッコ内はルート定数)。
・南岳小屋-北穂高岳(11.0、逆コース10.1)
・涸沢岳-北穂高岳(6.6、逆コース6.0)
最難に次ぐ「D」と評価されているのは、意外に少なく次の2カ所です。
・槍平小屋-南岳小屋(18.9、逆コース7.8)
・西穂独標-西穂高岳(6.4、逆コース3.8)
そのほかの多くの区間は「B」と「C」に評価されています。

これまでインターネットの記録情報や、市販のガイドブック、雑誌記事などでも、グレードの評価は筆者によりまちまちでした。なかにはグレードの表現が甘すぎるものがあって、遭難事故のリスクを高める要因になっていた可能性があります。
今回、オフィシャルなグレード評価が示されたことにより、登山者各自の適正な登山計画作成に役立てられることが期待されるわけです。

なお、隣接県である長野県では、2016年版「信州山のグレーディング」で公開された102ルート(北アルプス以外のエリアも含みます)について、「ヤマレコ」のサイトでピッチごとに区切ったグレーディングを参照できます。
※本内容については『山と溪谷』2019年6月号でも掲載予定です。