[4月4週]軽井沢の里山で登山者原因の出火

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[4/16~22の遭難関係ニュースから]
4月第4週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

この週も遭難発生は比較的少なかったですが、近郊低山で60代後半から70代の高齢者による重大事故(死亡・行方不明)が多く発生しています。転・滑落事故を防ぐことに重点をおいて、ルート選びや歩行技術をしっかりチェックする必要があると思います。

4/16(火)単独で百蔵山に登った男性(70代)が下山せず行方不明。登山口に車あり
4/16(火)北アルプス西穂独標で男性(73)が滑落負傷。県警ヘリが救助
4/17(水)八ヶ岳・赤岳で男性(69)が滑落負傷。県警ヘリが救助
4/21(日)古賀志山北方の斑根石山で単独登山の男性(67)が約100m滑落死亡
4/21(日)前日光・石裂山で男性(72)が数十メートル滑落負傷
4/21(日)北アルプス燕岳で合戦尾根を下山中の男性(57)が残雪でスリップし滑落負傷
4/22(月)単独で六甲山へ出かけた男性(71)が行方不明。4/23登山道近くの崖下で遺体発見

[2019/05/10追記]
4/17(水)南大菩薩・滝子山で女性(58)が滑落、右腕骨折の重傷
4/21(日)中央沿線・百蔵山で下山中の女性(59)が滑落、左脚を骨折して行動不能

●百蔵山(1003m):山梨県大月市にある山。稜線続きの扇山、権現山とともに郡内三山といい、昔から「中央線沿線」の山として1~2山組み合わせて登られてきました。ルート上および山頂から富士山や道志・御坂山塊のながめがいいです。

●斑根石山(559m):古賀志山の北方で、富士見峠をはさんで対する通称「559mピーク」で、正式名称が斑根石山(はんねいしやま)です。広く見れば古賀志山群の一峰といえます。北面は切れ落ちていて、うっかり転落すれば大事故になるようです。主要ルートからはわずかに離れていますが、ヒカゲツツジ(淡い横白色のツツジ、日本固有種)が多く見られる山ということです。

●石裂山(879m):「おざくさん」と読み、前日光高原の南端にある山。阿蘇山塊(栃木・足利・桐生周辺)に接する位置にあります。日光開祖の勝道上人が開いたと伝えられ、修験の山として古い歴史があります。ルートは整備されていますが、鎖や梯子が多く、踏み外すと危険です。

●六甲山(六甲最高峰 931m):六甲山は山系全体の名称ですが、山岳遭難では個々の発生場所が報道されず、単に「六甲山」とされる場合が多いです。私たちは詳細な発生場所を知りたいのですが、多くの場合、あらためて取材しないと判明しません。六甲山では年間50件ほどの山岳遭難があり、最も多いものは道迷い遭難です。4/22の事例は「新神戸駅から北に約2kmほどの登山道の崖下」で遺体が発見されました。そのとおりの場所は、摩耶山に至る天狗道上部となります。

軽井沢の里山で登山者原因の出火

浅間山の南斜面にある石尊山

4月19日12時40分ごろ、浅間山の寄生火山である石尊山の山頂付近で山火事が発生し、およそ3時間半後に鎮火されました。この火事で山頂から南側斜面にかけて下草や立木約2.25haが焼けましたが、ケガ人はいませんでした。
出火の原因は、単独登山の男性(55)がコーヒーのお湯をわかそうとして使用した、携帯用ガスコンロの火が周囲に燃え移ったということです。本人が消防に通報しました。
消火活動のために、県の防災ヘリと消防隊員、地元消防団のほか、県の依頼を受けた自衛隊所属のヘリ計5機が一時出動したそうです。
芽吹き前の樹木と枯れ草だけにおおわれた斜面は、いかに燃えやすいか容易に想像できます。そのような場所でコンロ類を使用しないことは、山で行動する者の常識として身につけなくてはいけないと思います。