連休後半の山岳遭難状況

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[4/30~5/6の遭難関係ニュースから]
5月第1週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

連休後半はさすがに遭難発生が多く、マスコミ報道などから29件の遭難事例を把握しました。
北アルプス11件、南アルプス2件、中央アルプス1件、東北4件、関東甲信8件、近畿2件、その他1件でした。北アルプス、関東甲信、東北エリアが多くなっていますが、連休中はこのエリアに比較的多くの登山者が入山したことが推定されます。
前回、連休前半(4/27~29)の遭難事例18件を紹介しましたが、この期間(3日間だけですが)も後半と同様、北アルプス、関東甲信、北日本(北海道・東北)で遭難が多い傾向となっていました。

最近、警察庁から連休期間の山岳遭難まとめが発表されました。それによると、全国合計で164件(遭難者数207人)の遭難が発生したということです。
このブログで把握した47件は、全体の約29%(件数比率)となります。ただし、警察庁の統計(特に後半)のなかには相当数の山菜採り遭難が含まれているものと思います。

4/30(休/火)=通報日/中央アルプス檜尾岳で男性(41)が悪天候などで行動不能。5/2県警ヘリが救助
5/1(休/水)宮城県大和町の山林で、山菜採りの女性(72)が道迷い遭難。5/2県警ヘリが発見救助
5/1(休/水)太郎山(長野県上田市)で男性(72)が足を滑らせて転倒し負傷
5/1(休/水)渓流釣り目的で魚野川へ入渓した男性4人(45・33・29・29)が道迷い遭難。5/2無事救出
5/2(休/木)甑岳(山形県村山市)で男性(19)が疲労のため歩けず救助要請。5/3県警ヘリが救助
5/2(休/木)西上州・三笠山を下山中の男性(72)が行方不明となり、5/3木に引っかかった遺体発見
5/2(休/木)富士山山頂付近を下山中の男性(36)が300m滑落し左足首を負傷。5/3県警ヘリが救助
5/2(休/木)南アルプス甲斐駒ヶ岳で男性(64)がアイゼンを足に引っかけ10m転落、右脚打撲など
5/2(休/木)乗鞍岳山頂から下山中の男性(54)がバランスを崩し滑落負傷
5/3(祝/金)太平山(秋田市)で男子学生(20)が滑落負傷、救助に下りた2人も戻れず。5/4全員救助
5/3(祝/金)尾瀬・至仏山でガイド助手女性(65)が雪上を5m滑落し左肩脱臼。ビバーク後5/4通報
5/3(祝/金)=発見日/西上州・荒船山艫岩の150m崖下に倒れた男性を発見、のち死亡確認
5/3(祝/金)北アルプス白馬岳主稜を登山中の男性(59)が滑落し負傷。同行女性(57)ともに救助
5/3(祝/金)北アルプス奥穂ジャンダルムで中国人男性(26)が滑落し右膝に軽傷。5/4県警ヘリが救助
5/3(祝/金)北アルプス蝶ヶ岳で女性(50)がバランスを崩して転倒し負傷
5/3(祝/金)愛宕山(京都市右京区)で中国人男性(38)が道に迷い中国旅行社に救助要請。5/4救助
5/4(祝/土)会津駒ヶ岳滝沢登山道で心肺停止状態で倒れた男性(57)を発見、のち死亡確認
5/4(祝/土)丹沢・鍋割山南方で、雨を避けるため木の陰に移動した男性(45)が落雷を受け死亡
5/4(祝/土)北アルプス剱岳源次郎尾根で女性(44)が急斜面から500m下に滑落、多発外傷で死亡
5/4(祝/土)北アルプス剱岳を登山中の男性(34)が500m滑落、肋骨骨折など重傷
5/4(祝/土)=発見日/北アルプス樅沢岳で女性(46)が一時行方不明、長野県側数百m下で遺体発見
5/4(祝/土)北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根独標付近で女性(33)が滑落して右脚を骨折。県警ヘリが救助
5/4(祝/土)北アルプス槍沢ババ平で男性(43)が体調不良のため動けなくなる。県警ヘリが病院搬送
5/5(祝/日)鳥海山で女性2人(74・73)が何らかの理由で遭難し行動不能。5/6秋田県警ヘリが救助
5/5(祝/日)南アルプス甲斐駒ヶ岳で下山中の男性(70)が20m滑落し左脚骨折。県警ヘリが救助
5/5(祝/日)北アルプス剱岳早月尾根で下山中の女性2人が滑落し負傷(詳細不明)
5/5(祝/日)北アルプス蝶ヶ岳で下山中の男性(62)がバランスを崩して滑落負傷
5/5(祝/日)天ヶ岳(京都市左京区)で女性(77)ほか5人が道迷い遭難。通報40分後に発見救助
5/6(休/月)宮崎県高千穂町五ヶ所の山中で山菜採りの女性(82)が戻らず行方不明

気にかかった遭難事例―全国で散発的に発生

●4/30 中央アルプス檜尾岳
4月28日に千畳敷から空木岳をめざした男性(41)が、帰宅予定の29日に戻らず、家族が30日に警察に届け出ました。男性は5月2日午後に檜尾避難小屋にいるのを発見・救助されて、「衰弱して動けなくなった」と話したそうです。この事例はいわゆる“遭難騒ぎ”で、社会にめいわくをかけただけでした。

●5/2 甑岳(山形県村山市)
遭難男性(19)は何時に入山したか不明ですが、疲労のため途中で歩けなくなり、17時すぎに携帯電話で救助を求めました。翌朝6時すぎに県警ヘリが登山道で手を振る男性を発見・救助しました。男性は普段着のままで食料も持っていなかったそうです。傷害も発病もなく、道迷いでもなく、正規の登山道上にいるにもかかわらず“遭難”というのは、一般的な登山常識からは理解しにくいです。

●5/3 愛宕山(京都市右京区)
遭難者は中国人観光客の男性(38)でした。18時ごろスマートフォンのアプリを使って中国旅行会社に救助を要請し、同社から連絡を受けた東京在住の中国人女性が最寄りの警視庁立川署に連絡し、立川署から右京署に連絡が入ったのは23時25分でした。さらに、女性が遭難男性のスマホに連絡して位置確認したそうです。翌4日9時40分に救助されました。外国人登山者・観光客に日本の山の危険情報(滑落・道迷いなど)を伝達するのは緊急の課題だと思います。

●5/4 北アルプス樅沢岳
山頂付近にテントで泊まっていた男性が、同行者の女性(46)の姿が見えないため付近をさがしたところ、スリップしたような跡を発見したため、警察に通報しました。女性は山頂から長野県側に数百m下った斜面に意識不明で倒れており、その後死亡が確認されました。夜間~未明の間にテントから外に出て、何らかの原因により滑落したと推定されます。

●5/4 丹沢・鍋割山
一般ルートである後沢乗越ルートで、13時30分ごろ男性(45)が落雷を受けて死亡しました。雨が降ってきたため、同行の男性が雨具を用意している間、一人で木の陰に移動したところ落雷に遭ったそうです。詳しい状況はわかりませんが、落雷を受けた木などから人体へ雷撃が飛び移る「側撃雷」を受けたものと推定されます。樹林帯はむしろ安全と思っていたのではないでしょうか。本当に山はこわいです。