[5/7~13の遭難関係ニュースから]
5月第2週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。
連休明けの次の週末を中心に、全国で多くの山岳遭難が発生しました。山に出かけるのが楽しい季節になって、ハイキングや山菜採りが活発に行われているためと思われます。
5/9(木)秋田県藤里町の山林で山菜採りの男性(69)が滑落死亡。5/10林道から400m離れた沢で発見
5/9(木)宮城県鳴子温泉付近の山林で山菜採りの男性(77)が滑落死亡。5/11高さ60mの崖下で発見
5/10(金)足尾・庚申山で男性(80)が下山中に20m滑落、頭を強く打ち死亡
5/10(金)=発見日/富士山山梨側八合目付近で、単独の男性(49)がスノーボード装備のまま滑落死亡しているのが発見される。8~9日の入山予定
5/10(金)熊野古道でオーストラリア人女性(66)が幅80cmの山道から崖下に滑落死亡
5/12(日)=発見日/御坂・三ツ峠大滝付近で男性(29)が死亡しているのを発見収容
5/12(日)雨飾山で男性(45)が滑落負傷。県警救助隊などが救助
5/12(日)八ヶ岳周辺飯盛山で女性(59)が転倒負傷。消防署員が救助
5/12(日)鈴鹿・竹平峠~雨乞岳で男性(68)が道迷いの連絡後、行方不明。5/13発見救助
5/12(日)高島トレイル三国岳付近で男性(70)が下山せず行方不明
5/12(日)大崩山系五葉岳で女性(67)が下山中にはぐれて行方不明。5/14自力下山
5/12(日)国見山(熊本県山鹿市)で女性(72)が下山中にはぐれて行方不明。5/13発見救助
[6/10追記]
5/11(土)三ツ峠屏風岩でクライミング中の女性(56)が転落重傷
5/11(土)剱岳でバックカントリーの男性(62)がルートミス遭難、小窓付近2300mで救助
5/12(日)鳥海山でバックカントリー滑走中の女性(70)が転倒、右脚骨折。ヘリで救助
5/12(日)伊勢本街道・飼坂峠で男性(76)が道迷い遭難、2H後に無事救助
5/13(月)鈴鹿・御在所山で男性(78)が転倒骨折、防災ヘリが救助搬送
[その他のニュース]
5/8(水)長野県が連休中の山岳遭難発生状況を発表しました。18件21人発生(前年比3件増)、死亡・不明4人
5/10(金)警察庁が連休中の山岳遭難発生状況(全国合計)を発表しました。164件(前年比-1)、207人(同+20)、死亡・不明24人(同+3)。遭難者数は過去2番目に多かったそうです
5/10(金)西上州・烏帽子岳登山口駐車場でマイクロバスが崖下に転落し、登山客19人のうち乗車していた18人中14人が負傷しました。このバスは無許可営業のいわゆる「白バス」だった模様
5/13(月)熊野古道の死亡事故に対し田辺市は対策会議を開き、古道の安全性検証を行う方針を確認しました
気にかかった遭難事例
●5/10 熊野古道
10日12:25ごろ、熊野古道でオーストラリア人女性(66)が崖から転落したと、外国人観光客から消防に119番がありました。現場は「発心門王子」から南西約2.5km地点で、山道沿いの崖から約40m下の林中で女性は意識不明の状態で倒れ、搬送された病院で約4時間後に死亡しました。
滑落地点の山道は幅約80cmで未舗装、崖側に柵などは設置されていませんでした。
熊野古道の中心地である本宮町地区は、欧米やオーストラリアを中心に外国人客が多く、2018年には外国人宿泊客が2万4957人(2008年588人)と急増しているそうです。
田辺市は古道の安全性を再検証するため、山間部にある未舗装の山道を中心に現地調査を開始しました。5月中の調査終了を予定しています。
●5/12 高島トレイル・三国岳
三国岳付近に入山したとみられる男性(70)が下山せず行方不明になっています。警察・消防など約50人が捜索しましたが発見されず、15日に公的な捜索は打ち切りになりました。16日付「ヤマレコ質問箱」で情報提供が呼びかけられています。男性は大学ワンゲル出身のベテランでしたが、単独のうえ、登山届も提出されていませんでした。
遭難者情報は、https://www.yamareco.com/modules/plzXoo/index.php?action=detail&qid=5281
関連地図は、http://oginoyama.blog.fc2.com/blog-entry-680.html
●5/12 大崩山系・五葉岳
夫婦で登山していた女性(67)が下山中に夫(65)とはぐれて行方不明になりました。2人は正午すぎに下山を始め、女性は夫より先を歩いていましたが、夫が車を駐車していた大吹登山口に着いたとき女性の姿はありませんでした。しばらく捜し続けましたが見つからず、21:50に110番しました。
2日後の20:00ごろ、女性は延岡市上鹿川の民家まで自力下山したため無事が確認されました。下山地は山頂から約7km離れており、大吹登山口とは全く別の方向でした。2日間長い距離を迷い歩いたことが推測できます。生還できたことはすばらしいですが、道迷い遭難の最も危険なパターンにはまってしまった例と言えます。