2019GW期間の遭難データについて

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GW期間の山岳遭難は、史上最多レベルの多発状況がくり返されています

春の連休中(4/27~5/6)の山岳遭難発生状況まとめが、5月10日付で警察庁から発表されました。
10日間に全国で発生した山岳遭難は、(カッコ内は昨年、次の数字は増減)
発生件数  164件(165)- 1
遭難者数  207人(187)+20
 死亡    23人( 13)+10
 行方不明  1人( 8)- 7
 負傷    76人( 74)+ 2

こういう数字をどのように見るかですが、結論から言えば、昨年と同じような状況がくり返されたと考えていいと思います。特徴は次の点です。
(1)10日間の発生件数としては非常に多い
(2)死亡者比率(行方不明を含む)は11.6%で、比較的低い割合である
(3)高山の雪山登山だけでなく、低山や日帰り圏でも多発している
(4)(この点は今年だけの特徴かもしれませんが)山菜採り遭難も多い

さまざまな形態での登山、ハイキング、山菜採りなどのレジャーにおいて遭難事故が多発し、その中で、死亡事故ではない「軽い遭難」の占める率が高くなっています。GW期間のこのような遭難状況は、ここ5年間ぐらい同じように続いています。

昔は、このシーズンの遭難というのは、雪山登山で悪天候による気象遭難が集中的に発生したり、雪崩で複数の登山者がいっぺんに犠牲になる、などというのが典型的なものでした。しかし、そういう特別に危険な状況でなくても、ごく普通の条件下で行われる登山、ハイキング、BCスキー、山菜採りなどにおいて、登山史上最多レベルの遭難発生状況になっているのです。
言い換えると、春秋の軽登山中心のシーズン、夏山登山シーズンに続いて、雪山登山が加わる春山シーズンにおいても、いわば「大衆登山」を反映した遭難発生状況になってきているのだと思います。

[グラフの説明]
GW期間の山岳遭難は、2015年に最多となりました。それまでの数年間は、毎年最多記録が更新されてゆくセンセーショナルなものでした。
しかし、2015年から今年度までは状況が変わって、ほぼ横ばいになりました。
減少と言えるほどの変化はなく、微減または微増のレベルです。2015年以降は、10日前後で160件を超える、史上最多レベルの多発状況が、毎年くり返されていると言えます。