[5月第3週]屋久島で大雨により300人超が孤立

Pocket

[5/14~20の遭難関係ニュースから]
5月第3週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

雪山登山やバックカントリーはそろそろシーズンオフになりました。遭難で多いのは山菜採り遭難と、低山ないし中級山岳(1000~2000m程度の山)の日帰り登山での遭難です。
登山での遭難は、岩場や急斜面からの転落・滑落事故が多いです。道迷い中に滑落事故が起こることもあります。5/14御在所山、5/15古賀志山、5/16六甲、5/17京都北山、いずれも滑落事故でした。
六甲や京都北山の例は、単独登山で滑落して動けなくなると、発見が遅れるという厳しい事例です。
この週には、それ以外にも印象的な遭難事故がありました。

5/14(火)秋田市仁別の山林で山菜採りの男性(71)が滑落(推定)死亡。5/15遺体発見
5/14(火)鈴鹿・御在所山裏道登山道で女性(46)が滑落重傷。警察・消防が救助
5/15(水)古賀志山(宇都宮市)で男性(68)が滑落負傷
5/16(木)六甲山に出かけた男性(72)が戻らず行方不明。5/21山中の沢で遺体発見
5/17(金)青森県今別町の山林でタケノコ採りの男性(72)が行方不明。5/19自力下山
5/17(金)京都北山の廃村八丁方面へ入山した男性(40)が滑落して重傷を負い、動けなくなる。5/17家族が通報、5/19発見救助
5/17(金)ロシア・カムチャツカ半島のカーメニ火山で山岳ガイド澤田実さん(50)が滑落死
5/18(土)屋久島で大雨による県道の土砂崩れが複数箇所発生。登山者300人超が山中で一時孤立し下山できなくなる。自衛隊などが出動し、5/19夕方までに314人が無事下山
5/20(月)富士山山梨側八合目で男性(20代)が装備不良などの理由で動けなくなり救助要請。警察の救助隊が捜索中、連絡しないまま自力下山・帰宅(遭難騒ぎ)

気にかかった遭難事例

●澤田実さん、カーメニ火山で遭難死(5/17)
山岳ガイドの澤田実さんが、カムチャツカ半島のカーメニ火山(4575m)で滑落死亡しました。
カーメニ火山はカムチャツカで2番目に高く、国内外から多くの人が訪れるそうです。事故現場は標高約3900m、凍結した斜面から標高3600m付近まで滑落しました。ベースキャンプは標高3300mにありました。
澤田さんは未踏の東壁に挑む計画で、高度に体を慣らすため、簡単なルートから登山中でした。

山と溪谷社、2016年12月刊

澤田さんの著書は『体験的登山技術論』(ヤマケイ新書)があります。ビギナーには少し取り付きにくいかもしれませんが、登山が好きで少し経験ある人には参考になるでしょう。登山技術のことを書きながら、澤田さんの登山に対する姿勢や人柄まで伝わる本です。
澤田さんのような人も事故に遭ってしまうとは、山とはつくづく危険な世界なのだなと(それほどには見えず、だまされてしまうけど)再認識せずにいられません。

●屋久島で豪雨災害、登山者300人超が一時孤立(5/18)
18日に屋久島は、50年に1度という大雨になりました。
あの悪天候でも予定を変えずに(中止せずに)、300人以上もの人が登山に向かったのかと、正直なところ驚かされましたし、暗い気持ちになりました。あまりにも危険だからです。
テレビで男性ガイドの人が、午前中から午後2~3時までは普通の降りだった、中止できない程度の雨だった、あれで中止にしたら抗議される……という意味のことを言っていました。
大雨警報も、早朝の出発時にはまだ出ていなくて間に合わなかった、ということも。
しかし、結果的に多くの登山者が、命をおびやかされることになりました。
今回の経験から危機感をもち、反省点をとらえて修正してゆくのでなければ、いつか大きな事故が起こってしまう危険性が高いでしょう。
そういう視点から、これからの屋久島登山を注意して見てゆく必要があると思いました。

●富士山で20代男性の遭難騒ぎ(5/20)
男性は八合目で動けなくなってしまい、12:40富士吉田署に救助要請の連絡をしました。報道によれば「軽装備の登山のため、疲れて動けない」と言ったそうです。
警察は位置情報を確認するため、少し時間をおいて再度110番するように伝えました。
110番を県警本部で受けて、遭難者の位置を確認し、その場を動かないように要請しました。ところが男性は「体力が回復したので、自力で下山します」と主張して電話を切りました。
県警は男性が危険な状況にあると判断しましたが、雨の予報だったためヘリは出せず、救助隊が徒歩で現場へ向かいました。
それ以後、男性の電話は呼び出し音が鳴るだけでつながらなくなりました。救助隊は八合目付近の捜索を続けましたが男性を発見できずに、21:30で捜索を打ち切りました。
22:00に男性から電話連絡があり、男性は自力で山麓まで下山し、すでに自宅にいることがわかりました。

この男性は、遭難するとは、救助要請するとはどういうことかが理解できていなかったのでしょう。電話一本で、何人もの人が言わば危険をかえりみずに出動し、ヘリまで飛んでくれるのです。それだけ人の命が重いと考えて、多くの人が無償の行動をします。
そのような「遭難」に向かう行為の重さに対して、男性のとった行動はあまりにも軽すぎるものでした。
県警は男性にペナルティーは課さないですが、出頭してもらい指導を行うそうです。