[6月3週]危険度が高い深山での道迷い遭難

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[6/11~17の遭難関係ニュースから]
6月第3週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

比較的遭難が多い状況が続いています。登山での遭難事例は、北アルプス(周辺も含む)で3件、足尾山塊の皇海山で2件、低山の遭難は南会津・二岐山の1件だけでした。山菜採り、タケノコ採りの遭難が、特に北海道で多発しているため、全体で山の遭難が多い印象になっています。
山菜採りでは、行方不明者(未発見)、死亡者も出ています。山菜採り、タケノコ採りのほうが、一般コースからの登山よりも、危険性が高いといってまちがいないでしょう。

6/11(火)北アルプス大天井岳で男性(66)が残雪状況を確認中にバランスを崩し滑落負傷。県警ヘリが救助
6/13(木)長野県高山村の山林で男性(70)が山菜採りのため単独で入山したまま行方不明。須坂署員などが捜索
6/13(木)志賀高原雑魚川で男性(56)が渓流釣り中に岩の上から転落し負傷。県警ヘリが救助
6/14(金)足尾・皇海山に向かった男性(59)が下山せず。6/15未明に家族が通報、捜索中
6/14(金)足尾・皇海山で男性(59)が道に迷い山中をさまよう中で転倒骨折。6/20発見、県警ヘリが救助
6/14(金)奥裾花・東山を下山中の男性(48)が道に迷い行動不能。県警ヘリが救助
6/15(土)北海道滝上町上紋峠付近で女性(75)がタケノコ採りで入山し行方不明。6/16頂上から1.5Hの所で遺体発見
6/15(土)北アルプス白馬鑓温泉から下山中の男性(37)が滑落負傷。大町署救助隊、県警ヘリが救助
6/17(月)南会津・二岐山で男性(70代)が仲間2人と別ルートで下山中に道に迷う。6/18携帯が通じ無事救助
6/17(月)長野県高山村の山林で男性(71)が山菜採りのため入山中、道に迷い行動不能。県警ヘリが救助

[7/9追記]
6/13(木)千歳山(山形市)善光寺岩付近で男性(88)が下山中に転倒し顔などを負傷。通りかかった男性が119番通報
6/14(金)北アルプス僧ヶ岳烏帽子尾根1550mで男性(32)が死亡しているのが発見される。死因は低体温症
6/15(土)朝日連峰祝瓶山荘の北30分地点で渓流釣りの男性(69)が下山中に倒れ意識不明となる。病院で死亡確認
6/17(月)富士周辺・本社ヶ丸で男性2人(74・72)が下山中に道に迷う。6/18県警ヘリが発見救助。1人が右脚に軽傷
6/17(月)南アルプス笹山で男性(82)がビバーク中に体調不良となり動けなくなる。県警ヘリが捜索し救助

[その他のニュース]
6/10(月)群馬県で「防災航空センター」が新設され、開所式が行われました。群馬県では昨年8月に防災ヘリ墜落事故が発生し、同ヘリの運航が中止されています。防災航空センターは、後継機導入後の運航・安全管理を担う施設だそうです。

6/13(木)警察庁が2018年の山岳遭難統計を発表しました。2018年に全国で発生した遭難は2661件、遭難者総数は3129人で、ともに統計開始以来最多となりました。遭難者の年齢層は60~70代が最も多くなっています。
※以下、カッコ内は前年比の増減数
<山梨県> 遭難件数145件(-16)、遭難者数175人(-5)、死者・不明者29人(-2)。件数・遭難者数は過去3番目に多くなりました。(山梨県では、ここ2~3年で遭難が大幅に増加しています)
<福島県> 遭難件数69件(+14)、遭難者数77人(+15)、死者・不明者10人(+1)。福島県では2018年に遭難が大幅に増えました。

●皇海山(すかいさん、2144m)
栃木・群馬県境のとても山深い位置にあります。メインの登山ルートも稜線に1本通っているだけで、低山のように入り組んだ枝道などはありません。このような山は、メインルートを外れて迷ったら、抜け出すのは本当に難しいです。6/9に事故があった鋸岳周辺は転・滑落の要注意箇所です。

●東山(1849m)
戸隠連峰の西側を流れる裾花川上流の右岸に、一直線に連なる山脈の中間点にある山です。奥裾花自然園から中西山を経て登山ルートがありますが、東山の手前で稜線が直角に曲がっていて、その曲がりを見過ごすと支尾根に引き込まれます。地形図を見ると末端は急斜面で岩記号が集中しています。遭難者はここに引き込まれたようです。ヤブが濃かったのかもしれません。