[6/18~24の遭難関係ニュースから]
6月第4週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。
相変わらず山菜採り遭難が多く、登山の遭難は比較的軽度なものにとどまっています。その中で、低山での遭難が目につきました。6/18愛知県設楽町の低山で発生した滑落事故は、2m程度の滑落でしたが、肺挫傷で死亡しています。この遭難は、道迷いから沢を下降しての事故との推定もあります。6/21新潟・白根山での滑落事故も、道迷い~沢下降でのものでした。6/21中津川市付知町での滑落、6/23西会津大山祇神社での滑落も、本格的登山とは異なる状況下で起こっています。
6/18(火)戸隠山で男性(31)が登山中にバランスを崩し滑落負傷。県警ヘリが救助
6/18(火)長野県木島平村の山林内で山菜採り中の男女(81・71)が道に迷い行動不能。県警ヘリが救助
6/18(火)愛知県設楽町荒尾の山中で男性(66)が「背中を打って動けない」と通報。3H後近くの沢で発見、搬送後死亡
6/19(水)北アルプス栂池高原で女性(63)が山菜採り中に仲間とはぐれ、斜面で滑落し負傷。県警ヘリが救助
6/20(木)奥鬼怒・黒岩山で男性(72)が宿泊予定の日光沢温泉に到着せず、旅館が通報。6/22防災ヘリが救助
6/20(木)長野県須坂市米子の山林で男性(77)が山菜採り中に連絡不通、行方不明となる。6/22発見救助
6/21(金)白根山(新潟県三条市)で女性(70)が仲間からはぐれ道に迷ったうえ沢に滑落。6/22防災ヘリが発見救助
6/21(金)岐阜県中津川市付知町の渓谷で男性(56)が現地調査の仕事を終え渓谷沿いを下山中に10m滑落、多発外傷で死亡
6/22(土)蓼科山を下山中の男性(58)が転倒負傷。茅野署・諏訪広域消防が救助
6/23(日)大山祇神社参道を仲間10数人で登山中の男性(55)が斜面から30m滑落、右腕骨折など
6/23(日)北アルプス蓮華温泉付近の山中で姉妹(56・67)が山菜採り中道に迷いはぐれる。6/22妹は自力下山、姉は行方不明
[7/9追記]
6/22(土) 鳥海山鉾立ルート河原宿周辺の雪渓で男性(43)が道に迷う。通報約4時間後に県警ヘリが救助
6/23(日) 蔵王連峰五色岳~熊野岳間で女性(47・46)が道に迷い110番通報。中丸山の山中で引き返し中に発見救助
6/23(日) 黒部ダム中ノ谷付近で女性(77)が登山道から10m滑落、自力で戻れなくなる。警備隊員がロープで救助
6/24(月) 早池峰山小田越一合目付近で女性(69)が転倒し後頭部を打つ。レンジャーらが付添い下山後、病院へ搬送
[その他のニュース]
6/19(水)山梨県の1~5月の山岳遭難者数が過去最多ペースだそうです。1~5月の山岳遭難者数は53人で、過去最多だった2017年の同期数を7人上回っています。死亡者数11人も、過去最多の2017年12人に迫ります。遭対協関係者は「4~5月の春山で残雪が多く、技術や経験が不足している登山者が遭難するケースが多かった」と言っています。
6/22(土)<奈良県> 2018年の遭難発生数は53件、遭難者数69人、いずれも過去5年間で最多でした。死者9人、重傷9人、軽傷14人でした。ちなみに過去10年間では発生件数で最多、遭難者数で第2位(最多は2013年114人)でした。
6/22(土)南アルプスの県道南アルプス公園線で21日に落石があり、7:30より野呂川橋~奈良田(開運トンネル)感が通行止になりました。奈良田~広河原間バスも運休中です。復旧の見通しは未定。
6/24(月)富山県と富山県警は日本山岳ガイド協会と協定を結び、インターネットによる登山届システム「コンパス」が富山県でも利用可能になりました。外国人向けに6カ国語で対応可能だそうです。条例に基づく剱岳危険地区への登山届、努力義務になっている立山室堂地区への入山届も、コンパスで行うことができます。また、7月から登山ルート上に「スマート山岳道標」という装置を設置し、アプリを入れた端末(携帯電話)が通過すると記録されるシステムを運用開始する予定です。
気にかかった遭難事例
6月18日15時ごろ、愛知県設楽町荒尾の山中で男性(66)が「2mほど滑落して背中を打って動けない」と、本人から110番通報がありました。約3時間後、登山道から外れた沢で発見され、病院へ搬送後死亡が確認されました。死因は肺挫傷。
発見場所が登山道から外れた沢ということで、道迷いから沢を下降して滑落した可能性が考えられます。道迷いで非常に多いミスのパターンです。
報道では山名が書かれていませんが、住所近くにある山は岩古谷山(799m)です。登山口からの標高差300m弱、典型的な低山です。このような山でも道迷いや滑落死亡事故の危険性があることを、登山をする人はしっかりと学ぶ必要があります。
地元近いと思われる東海白樺山岳会のブログで、この遭難について論評がありました。また、このブログで、愛知県警設楽署が公開している「北設楽郡登山安全マップ」の存在を知りました。このような地域密着のデータは、登山者の意識に働きかけると思います。