[8月4週]夏山終盤、遭難発生はほぼ通常なみに

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[8/20~26の遭難関係ニュースから]
8月第4週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

遭難発生数は、通常の週なみのレベルに近くなってきました。北アルプスでの遭難発生がかなり多く、南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳でも遭難がありました。8月20日の北アルプスで発生した3件は、どれも高齢登山者で低体温症を伴うものでした。8月26日に富士山で起きた落石死亡事故はマスコミで多数報じられました。

8/20(火)北アルプス七倉岳から蓮華岳へ登山中の男性(74・68)・女性(65)が疲労と体調不良により行動不能
8/20(火)北アルプス前穂吊尾根を奥穂へ登山中の男性(68)が疲労と体調不良により行動不能。常駐隊などが救助
8/20(火)北アルプス常念岳から蝶ヶ岳へ向けて登山中の男性(69)が疲労により行動不能。遭対協が救助
8/21(水)=通報日/8/19鳥海山秋田県側へ釣りで入山した男性(72)が行方不明。8/24登山口から700mの川で発見
8/21(水)鳥海山伏拝岳付近で女性(69)が仲間と別れて一人で散策中に転倒、左脚骨折の疑い。防災ヘリが救助
8/21(水)北アルプス八峰キレットを五竜岳に向けて登山中の男性(72)が視界不良のため道に迷う。常駐隊が救助
8/21(水)鬼ヶ城跡(鳥取県若桜町)で男性(68)が登山道から10m下に滑落し全身打撲など。ドクターヘリで搬送
8/22(木)中央アルプス西駒山荘から駒ヶ岳へ登山中の男性(73)が体調不良により行動不能。駒ヶ根署などが救助
8/22(木)祖母山で男性(40代)が10:00ごろ登山開始し、19:00「道に迷った」と通報。豊後大野署が救助
8/23(金)北アルプス黒部湖平ノ渡場付近で男性(23)の持つストックが急に縮んで転倒、30m滑落。県警ヘリが救助
8/24(土)巻機山米子沢で男性(61)が沢登り中に10m滑落して意識不明。3.5H後防災ヘリで搬送、死亡確認
8/24(土)富士山御殿場口六合目付近で女性(30)が下山中に転倒し頭に切り傷を負う。県警救助隊などが救助
8/24(土)北アルプス涸沢で家族5人で幕営中、男子(13)が体調不良を訴え行動不能。常駐隊が救助
8/25(日)雨飾山山頂付近で男性(34)が滑落して負傷。県警ヘリが救助
8/25(日)八ヶ岳権現岳~三ツ頭間で男性(38)が下山中に足を滑らせ転倒、右足首を脱臼骨折。防災ヘリが救助
8/25(日)南アルプス尾白川千ヶ淵で男性(18)が溺れ、助けに向かった男性(18)も溺れる。病院で死亡確認
8/25(日)=発見日/南アルプス北岳~間ノ岳で稜線から300m下に男性の遺体発見。死後数日、年齢不明。8/26収容
8/25(日)北アルプス白馬乗鞍岳で男性(62)が転倒して負傷。8/26大町署・常駐帯が救助
8/25(日)北アルプス西穂~奥穂で男性(53)が西穂から奥穂へ登山中、バランスを崩し滑落負傷。県警ヘリが救助
8/25(日)雨飾山山頂付近で下山中の男性(34)が滑落負傷。県警ヘリが救助
8/25(日)奥美濃・小津権現山で男性(45)が下山中に滑落し山頂の南東3kmの斜面で動けなくなる。県警ヘリが救助
8/25(日)若杉山(福岡県篠栗町)から宝満山へ至るルートに入山した男性(60代)が行方不明。8/26午後妻が通報
8/26(月)富士山須走・吉田ルート山頂直下200mで女性(29)が胸などに落石を受け死亡。付近は半日~1日通行止に
8/26(月)富士山富士宮口八合目衛生センターで女性(66)が下山中に転倒して足首を負傷。常駐隊などが救助
8/26(月)富士山宝永山付近で女性(61)が下山中に膝痛のため歩行困難になる。御殿場署が富士宮口五合目へ搬送
8/26(月)八ヶ岳赤岳の山小屋2700m付近で女性(66)が転倒して右足首を骨折。8/27県警ヘリが救助
8/26(月)北アルプス槍ヶ岳で男性(53)が転倒して負傷。県警ヘリが救助
8/26(月)北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根で男性(68)が道に迷い行動不能。県警ヘリが救助

[2019/09/18追記]
8/26(月)南アルプス尾白川渓谷で男性(43)が登山道から2m下の岩場に飛び降り腰・右足首骨折。県警ヘリが救助
8/26(月)京都・大津市境の音羽山を兄弟で登山中に、弟(11)がはぐれて迷う。発見した女性(34)が一緒に下山
8/26(月)三徳山(鳥取県三朝町)投入堂から下山中の男性(71)が湿った岩場で滑り転倒負傷。防災ヘリが救助

[その他のニュース]
●山梨県の遭難最多ペース
8/21=NHK山梨/山梨県の遭難多発がくり返し報じられています。2019年度、8月10日までに山梨県で起きた遭難は85件(前年同期比+14)、遭難者数は98人(同+7)、過去最多だった2017年をいずれも上回っています。また、死亡者数は16人で、前年同期より5人多くなっています。遭難者のうち、東京、神奈川など、県外から訪れた人が85%を占めるそうです。県警は「遭難は特に中高年に多く、疲労が蓄積して集中力が低下した下山中の滑落、転倒が多くなっているのではないか」と分析しています。

気にかかった遭難事例

●北アルプスの低体温症遭難
8/25=信濃毎日/長野県内で8月20日に発生した3件の遭難が、いずれも低体温症を伴ったものではないかと指摘されています。
(1)常念~蝶ヶ岳 標高約2600m 男性(69)が行動不能
(2)蓮華岳 標高約2700m 男女3人(74・68・65)が行動不能
(3)奥穂~前穂 標高約2900m 男性(68)が行動不能
遭難者はいずれも60代後半以上の高齢でした。救助時には衣類が濡れた状態で風を受け、動けなくなっていました。救助隊が同行しながら山小屋に避難すると、症状は回復したそうです。

この日、長野県内は前線や湿った空気の影響で、平地では昼前から夕方にかけて降水がありました。穂高岳山荘や針ノ木小屋によると、現地では朝方から雨が降り、昼過ぎには風が強まったということです。低温、濡れ、強風という3つの条件がそろったところに、防御行動をしないでいると、人間は簡単に低体温症になってしまうのです。

2019年8月20日9時の天気図
当日9:00の天気図。午後~夜に前線は少しずつ南下しました(出典:気象庁)

●富士山で落石により20代女性死亡
8月26日(月)、富士山吉田口・須走口ルートの山頂下約200m地点で、日本人の夫と登山中だったロシア人女性(29)が落石を胸などに受けました。女性は心肺停止状態となり、搬送中に心肺蘇生を受けましたが、死亡が確認されました。死因は外傷性心肺損傷ということです。今年の夏山遭難でおそらく報道が最も多かった事例となりました。

富士山では平均すると数年に1度の割合で、落石死亡事故が起こっていると思います。比較的落石の起こりやすい山なので、大量の登山者が登っている状況は危険なはずです。落石が起こりにくいように注意を払って環境整備が行われる必要があります。しかし、発生比率として落石事故は多いものではなく、富士山では高山病や心臓病などのほうが多く発生します。日本人・外国人を問わず、富士登山の危険性を正しく伝えてゆくことが大事だと思います。