[8/27~9/2の遭難関係ニュースから]
8月第5週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。
夏休み最後の週、山岳遭難はかなり少なく、現在のところ把握された事例は10件ほどです。北アルプスでは4件の遭難があり、どれも高齢登山者によるものです。死亡事故が1件、行方不明事故が1件発生しています。停滞前線や寒気の影響で局地的な大雨もあり、全般に登山の天候には恵まれない週になりました。登山者が少なかったために、遭難発生も少なかったものと思われます。また、秋田県仙北市ではキノコ採りでの死亡事故が、長野県小谷村では地質調査作業中の転落死亡事故が起こっています。
9月上旬に長野県、富山県での夏山遭難のまとめが報道されています。長野県では昨年よりも減少、富山県では遭難増加となりました。詳しい内容は次回掲載します。
8/27(火)秋田県仙北市の山林で、8/18にキノコ採りで入山後行方不明になっていた男性(79)の遺体発見
8/27(火)北アルプス穂高連峰岳沢に向けてツアー登山中の男性(69)が滑落負傷。県警ヘリが救助
8/28(水)8/27北アルプス徳本峠へ向かった男性(79)が行方不明。松本署などが捜索中
8/28(水)白山で男性(30代)が下山せず行方不明。8/31左足首を骨折し間名古ノ頭付近で発見、防災ヘリが救助
8/29(木)北アルプス大天井岳で女性(74)が疲労・体調不良により行動不能。遭対協が救助
8/30(金)北アルプス穂高・奥又白谷で男性(71)が増水した沢を渡ろうとして流される。8/31300m下流で遺体発見
8/31(土)台高・大杉谷、桃の木山の家勤務の女性(38)が携帯電話の通じる場所に向かったまま戻らず不明。9/2午後無事発見、全身に打撲痕あり
9/1(日)近畿八幡山(滋賀県近江八幡市)で女性(29)が下山中、日没のため道に迷い行動不能。山頂150m下で救助
9/2(月)浦川砂防堰堤(長野県小谷村)で男性(53)が地質調査作業中に15m転落、川に流される。9/3遺体発見
9/2(月)南アルプス地蔵岳から薬師岳へ向かう途中、女性(76)がグループからはぐれ道に迷う。9/2早朝救助
[2019/09/18追記]
8/27(火)白山黒ボコ岩付近で登山中の女性(69)が足首を捻挫して行動不能。福井県防災ヘリが救助搬送
8/29(木)南アルプス聖岳で女性(67)が登山初日に低体温症を発症しツアー関係者が通報。8/29救助隊が救助
8/29(木)竜爪山(静岡市葵区)から道白山へ登山中の女性(39・39)が道に迷い16:15通報。消防ヘリが発見救助
8/31(土)大菩薩・小室川谷で沢登り中の男性(24)が手をかけた岩が崩れて滑落し、右足を負傷。防災ヘリが救助
8/31(土)富士山富士宮口元祖七合目下で男性(31)が下山中に転倒して足を負傷。県警・消防救助隊が付添い下山
9/1(日)南アルプス北岳大樺沢左俣ルートで男性(57)が下山中に持病の腰痛を発症し行動不能。県警ヘリが救助
[その他のニュース]
●岩殿山の鏡岩が一部崩落、メインルート通行止め
8/28=テレビ山梨/8月27日、岩殿山(山梨県大月市)の登山道に落石があると、登山者から連絡がありました。市で調べたところ、山頂直下にある鏡岩の一部が幅5m、高さ3mにわたって崩落し、流れ落ちた岩が登山道を塞いでいました。市は落石のあった強瀬ルートを通行止めにしました。27日0:00過ぎに神奈川県西部を震源として発生した地震が、崩落の原因と見ています。同ルート復旧のめどは立っていません。
●富士山吉田口の登山者1割減少
9/2=テレビ山梨/富士吉田市が吉田口登山道六合目で集計した登山者数は、7~8月の2カ月間で16万655人になりました。昨年の同期間よりも約1万9000人、率にして9.1%減少しました。山頂付近の石積みの崩落により登山道が一部通行止めの時期があったこと、お盆の時期に台風10号が接近したことなどが、減少の原因ではないかと、富士吉田市は分析しています。
気にかかった遭難事例
●奥又白沢で増水した沢に流され死亡
8月30日午後、奥又白谷の標高1900m付近を登っていた5人パーティのうち、先頭で沢を渡ろうとしていた男性(71)が流され、行方不明になりました。31日7:20ごろ、事故発生現場から約300m下流に倒れている男性が発見され、死亡が確認されました。
8月28~29日は九州北部で大雨が降り、長野県中部も停滞前線が横断していました。この間の雨で各地の沢は増水していたのでしょう。ふだんはごく細い流れや、涸れ沢であるものが、急な大雨によって増水し徒渉できなくなることは、森林限界以上のエリアが広大な山ではよく起こることです。涸沢へ行くのに、難路である奥又白谷を経由せず、より安全な横尾回りのルートで入山すればよかったと思います。