[9月4週]紅葉シーズンに入り、また遭難多発傾向

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[9/24~30の遭難関係ニュースから]
(遅くなりましたが)9月第4週の遭難まとめです。

北アルプスでの遭難事故がかなり多いです。3000m級のエリアでは紅葉が始まり、しだいに最盛期へと向かう時期です。そのためか、夏山シーズンに準じて遭難発生が多くなっています。よく目立つのは、「転倒して負傷」「疲れて歩けない」「体調を崩して行動不能」のような事例です。
9月末には首都圏の低山で遭難が続発しています。扇山、滝子山、不老山というような「やさしい山」で、道迷い遭難や滑落事故が起こっています。夏の暑さがなくなって、近場での山歩きが楽しめる季節になりましたが、登山者が移動するのにともなって、遭難事故の起こり方も変動していくようです。

9/24(火)北アルプス白馬大雪渓で男性(57)が下山中にスリップして転倒負傷。大町署・遭対協が救助
9/24(火)北アルプス焼岳で男性(64)が上高地へ向けて下山中に転倒して負傷。遭対協が救助
9/24(火)北アルプス・常念岳烏帽子沢で渓流釣りの男性(77)が日没のためビバーク後、疲労等により行動不能
9/24(火)屋久島淀川休憩所近くの沢から300m下流で、岩に挟まれた男性の遺体発見。年齢・身元不明
9/25(水)日光・小真名子山で男性(70)が知人に「山で迷った」とメールを送り不明。9/29民間捜索隊が発見救助
9/25(水)日光白根山中ツ曽根登山道で、男性(60)が国境平経由で下山中に道に迷い通報。県警ヘリが発見救助
9/25(水)北アルプス三俣蓮華岳を下山中の女性(67)が岩につまずき転倒、左手首骨折など。9/26防災ヘリが救助
9/25(水)北アルプス奥穂ロバの耳付近で男性(41)が50m滑落し右足骨折など。別の登山者が通報、県警ヘリが救助
9/25(水)西中国山地聖山の南西方で男性(76)が「道に迷った」と連絡後不明。9/27ボランティアが赤川谷で発見
9/25(水)広島県三原市で児童16人・先生4人が学校東側の山林で自然学習中オオスズメバチに襲われる。20人軽傷
9/26(木)苗場山で女性(70)が仲間と登山中、疲労と体調不良により行動不能。飯山署・遭対協が救助
9/26(木)北アルプス奥穂ザイテングラードで男性(70)が下山中に足を滑らせて滑落し負傷。県警ヘリが救助
9/26(木)宝満山(福岡県筑紫野市)で男性(68)が登山道を外れた脇道から足を踏み外し18m滑落。崖下で遺体発見
9/27(金)志賀高原裏志賀山で男性(69)が仲間と登山中、疲労により行動不能。県警ヘリが救助
9/27(金)戸隠連峰高妻山から下山中の男性(78)が、大洞沢で道に迷い行動不能。9/28長野中央署が救助
9/27(金)奥多摩・扇山から百蔵山へ縦走中の女性(29)がルートを外れて道に迷い12:05通報。防災ヘリが救助
9/27(金)北丹沢・椿荘キャンプ場付近で、遭難捜索ボランティアの男性(27)が捜索中に崖から転落し右腕・右手首骨折。9/29自力下山中を救助
9/27(金)北アルプス白馬岳で男性(65)が宿泊中の山小屋で何らかの疾患のため行動不能。県警ヘリが救助
9/27(金)北アルプス横尾谷で男性(77)が横尾に向けて下山中、体調不良により行動不能。県警救助隊が救助
9/28(土)磐梯山で男性(54)が下山途中に転倒して右足を骨折、歩けなくなる。県警ヘリが救助
9/28(土)長野市鬼無里日影の山中で男性(63)がクマに襲われて負傷
9/28(土)北アルプス前穂重太郎新道で男性(61)が下山中に足を踏み外して滑落負傷。県警・遭対協が救助
9/28(土)大菩薩・滝子山で女性2人(24・24)が夕方「道に迷った」と110番通報。2.5H後大月署が救助
9/29(日)道志・不老山(神奈川県上野原市)で男性(55)が下山途中に5m滑落して耳に軽いけが。防災ヘリが救助
9/29(日)奥多摩・浅川峠(山梨県大月市)で男性(46)が「道に迷った」と110番通報。県警ヘリが救助
9/30(月)北アルプス三俣山荘~雲ノ平間で男性(43)が岩で足を滑らせ転倒、右足首骨折。10/1県警ヘリが救助
9/30(月)北アルプス上高地で9/27ごろからホテルに宿泊していた男性(71)が9/30以降行方不明。家族が届け出る

気にかかった遭難事例

●ボランティア男性が遭難者発見
9月25日15時ごろ、広島県の高岳に1人で登った男性(76)が、親族に「登山ルートから外れてしまった。帰りが少し遅くなる」と電話連絡がありました。その30分後、登山仲間にも「道に迷った」と連絡して、その後連絡がとれなくなりました。登山仲間の男性は26日早朝から高岳周辺を捜しましたが見つからないため、8時50分に119番通報。この日、消防と山県署員が30人体制で捜索しましたが、発見できずに捜索を終了しました。
翌27日はボランティアも含む70人体制で、8時30分から捜索が開始されました。広島・島根両県の警察や消防、男性が所属している登山グループのメンバーも捜索に加わりました。9時45分ごろ、高岳と尾根続きの聖山から南西1kmの赤川谷で、遭難男性は発見されました。発見したのはボランティアで入っていた呉市の海上自衛隊員男性(34)でした。遭難男性が登山仲間に電話した際に話した峠の名前などの情報を元に聖山方面へ向かい、林道から沢へ入ると、男性が岩の上へ仰向けになっていたそうです。衰弱しているもののけがはなく、意識もはっきりしていました。携帯電話が圏外のため、林道に戻って10時15分に消防隊に伝えられました。最後の連絡から約43時間ぶりに救助された遭難者は、ヘリと救急車で病院へ運ばれました。

遭難者の男性は経験豊富なベテラン登山者のようですが、よく知っている山でも、ほんのちょっとしたきっかけで道迷いは起こっています。沢にいるときは焚火ができれば、発煙によって容易に位置を知らせることができます。非常用燃料、ライター、ツエルト(orレスキューシート)を、いつも持つようにするといいですね。