[11月]都市圏近郊エリアなどで遭難増加

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[11月1~30日の遭難関係ニュースから]
11月は全国で64件の遭難事例データが集まりました。前年11月と比較すると68%の大幅増加です。10月よりもさらに増加率が高くなりました。
シーズンオフになった高い山(日本アルプス、八ヶ岳)での遭難は少ないです。キノコ採りもシーズンがほぼ終わりました。首都圏近郊や、近畿圏近郊の、おもに低山エリアに多くの登山者が訪れ、そこで遭難増加を引き起こしたと思われます。

せっかく山に行ける気運が高まってきたのですが、遭難が多すぎると、またどこからか規制的な流れが出てきてしまうかもしれません。遭難を防ぐのは個々の登山者の責任です。

(日付の*印は、通報日、発見日、認知日などであることを示します)
11/1(日) 谷川・天神尾根で男性(67)が下山中にバランスを崩し転倒して顔面強打、頚椎損傷。防災ヘリが救助
11/1(日) 奥多摩・七ツ石山登山道で男性(73)が疲労のため歩けなくなり、同行者が通報。防災ヘリが救助
11/1(日) 天子山塊・竜ヶ岳で男性(20)が下山中に疲労のため動けなくなり、父が救助要請。富士吉田署が救助
11/1(日) 小笠山(静岡県袋井市)で男性2人(76・76)が「道に迷った」と袋井署に通報。11/2朝発見、無事救助
11/1(日) 越美・花房山の北西1300mで男性(79)が50m滑落して脇腹などに軽いケガ。2H後に防災ヘリが救助
11/1(日) 鈴鹿・鍋尻山で女性(81)が「鍋尻山に行く」と知人に伝え、山に向かったまま戻らず、行方不明
11/1(日) 鈴鹿・御在所岳一ノ谷新道で男性(74)が下山中に足を滑らせ5m滑落、頭などを打つ。防災ヘリが救助
11/1(日) 鈴鹿山脈(場所不明)で男性(34)が下山中に滑落負傷し、10:30通報。12:45三重県防災ヘリが救助
11/2(月) 富士山へ山梨県側から入山した男性(40)が、大沢崩れ付近で天候不良のため行動不能。富士宮署が救助
11/3(祝/火) 道志・高畑山で男性(43・11)が14:20に登頂後、下山を始めて道に迷ったため15:30通報。消防が救助
11/3(祝/火) 丹沢・不老山で女性2人(60代・50代)が下山中に道に迷い救助要請。御殿場署が発見救助
11/3(祝/火) 伊豆・天城山で男女(56・54)がハイキング中に道に迷い13:00通報。大仁署と消防ヘリが救助
11/3(祝/火)* 北アルプス・槍ヶ岳方面へ10/31に大町市から入山した男性(36)が行方不明。11/3所属山岳会が届出
11/3(祝/火) 鈴鹿・御在所岳へ10:00に入山した男性2人(21・19)が、下山途中三合目付近で道に迷い通報。四日市西署らが救助
11/3(祝/火) 大山元谷避難小屋付近を下山中に男性(40代)が数m下に滑落、右足首捻挫のもよう。1.5H後に警察が救助
11/4(水) 大崩山で男性(75)が下山中にはぐれて行方不明となり、20:40延岡署に通報。11/5自力下山
11/5(木) 奥秩父・黒平町から10:00に金峰山方面へ入山した男女(83・83)が道に迷う。11/6家族が通報、同日発見
11/5(木) 石鎚山系西黒森の北西300mで女性(67)が瓶ヶ森へ向かう途中で滑落したもよう。11/9発見、死亡確認
11/6(金) 奥秩父・瑞牆山の岩場でクライミング中の男性(26)が手を滑らせ3m落下、左足骨折。防災ヘリが救助搬送
11/7(土) 八甲田山麓で男性(78)がキノコ採りに入山したまま行方不明。11/8心肺停止で発見、死亡確認
11/7(土) 戸隠山で男性(59)が下山中、岩場で足を滑らせて滑落負傷。県警ヘリが救助
11/7(土) 台高・大杉谷七ツ釜で男性(61)が登山道から50m下の岩場に転落。11/8防災ヘリが救助、病院で死亡確認
11/8(日) 信越・独鈷山(長野県上田市)で男性(54)が下山中、バランスを崩して滑落負傷。県警ヘリが救助
11/8(日) 前日光・石裂山で男性(53)が加蘇山神社への途中で5m滑落、左腕・肋骨骨折など。防災ヘリが救助
11/8(日) 道志・高川山で男性(52)が下山中に転倒して右足骨折、痛みで歩けず通報。防災ヘリが救助搬送
11/8(日) 「新倉山(富士吉田市)に行く」と言って出かけた男性(73)が戻らず。11/16民間救助隊が山頂の西540mで遺体発見
11/8(日) 北アルプス・蝶ヶ岳の三股登山口からキノコ採りに入山した男性(87)が仲間からはぐれて道に迷う
11/8(日) 鈴鹿・藤川谷付近で男性(54)が下山中に滑落し骨折など負傷。11/9三重県防災ヘリが救助
11/8(日) 隠岐諸島・焼火山でツアー客の男性(83)が神社参拝中にはぐれて道に迷う。11/10発見、無事保護
11/8(日) 九重・高塚山で男性(66)が正規ルートを外れて道に迷い、14:10通報。熊本県防災ヘリが発見救助
11/10(火) 奥秩父前衛・白山(甲府市)で女性(61)が下山中に石段でつまずき転倒して右足骨折。防災ヘリが救助
11/10(火) 大菩薩峠から下山途中の男女(34・23)が18:00ごろ道に迷い、20:10通報。上野原署が救助
11/11(水) 御坂・神座山で男性(70代)が1人で登山に出かけたまま行方不明。家族や住民が捜索し11/28遺体発見
11/12(木) 榛名山系・水沢山西登山口から10:00入山した男性(73)が、下山中の11:50転倒して右足首を骨折
11/13(金) 道志・倉岳山で母娘(41・10)が下山中に日没となり、ライトがなくて行動不能。上野原署などが救助
11/14(土) 浅間連峰・黒斑山で女性2人(50・47)が下山中、仲間とはぐれ日没により行動不能。小諸署・遭対協が救助
11/14(土) 大菩薩山系へ石丸峠から入山した男女(48・44)と女児(5)が丸川峠から下山中道に迷う。日下部署が救助
11/14(土) 竜門岳(奈良県吉野町)で男性(72)が下山途中道に迷い18:53通報。翌朝自力下山、民家に助けを求める
11/15(日) 奥秩父・小袖乗越から2km地点で男性(63)がザックが木に引っ掛かって150m滑落、頭部骨折など重体
11/15(日) 奥秩父・小袖乗越から1km地点を下山中の男性(50)が疲労により足がもつれ30m滑落、脊髄損傷などの疑い
11/15(日) 道志・高川山で、女性(50)が転倒して左足骨折の大けが
11/15(日) 道志・高畑山で、女性2人(65・65)が下山中道に迷うが、無傷で救出される
11/15(日) 三ツ峠屏風岩で男性(49)がクライミング中に転落して病院へ搬送される。ケガなし
11/15(日) 山梨県北杜市の山林で猟友会7~8人で狩猟中、男性(54)が茂みから現れたクマに襲われ顔や右足にケガ
11/15(日) 近畿・南六甲の山道で女性(42)が岩登りの友人らを眺めていた際に足を滑らせ10m滑落、肋骨骨折など
11/15(日) 九州・比叡山で男性(72)がクライミング中に10m滑落して左足骨折など。2H後防災ヘリが救助
11/16(月) 近畿・阿瀬渓谷(兵庫県豊岡市)へ向かった男性(86)が戻らず。山道の崖下に倒れた遺体発見
11/17(火) 南アルプス周辺・井戸口山(浜松市天竜区)で女性(50代)が道に迷い救助要請。天竜署が発見救助
11/17(火) 鈴鹿・八風峠登山道で道迷いの男性(78)が救助され山岳警備隊員と下山中、20m下の岩場に滑落して死亡
11/18(水) 伊豆・天城山で男性(70代)が午前中、道に迷い救助要請。11/19深夜、大仁署員らが発見救助
11/18(水) 金剛山を登山中の男女(63・42)が、水越峠の道が通行止めのため迂回路を捜して道に迷う。深夜に自力下山
11/21(土) 奥秩父・飛竜山付近で女性(45)が木の根を踏んでバランスを崩し3m滑落、右足首捻挫。防災ヘリが救助
11/21(土) 中央アルプス・南木曽岳を下山中の男性(64)が、1600m付近で登山道から100m滑落死亡。県警ヘリが収容
11/21(土) 鈴鹿・御在所岳で女性2人(24・24)が13:00登山開始、17:00下り始めるが道がわからなくなる。11/22救助
11/21(土) 大峰・弥山登山道で男性(59)が15:30「これから下りる」と連絡するが帰宅せず。11/22自力下山中を発見
11/22(日) 奥秩父・雲取山で女性(46)が下山中、落ち葉で足を滑らせ2m滑落して右脚骨折。上野原署などが救助
11/22(日) 奥秩父・飛竜山で男性(53)が誤って登山道から20m滑落し胸・腰を骨折など。防災ヘリが救助搬送
11/22(日)* 北アルプス・大天井岳で男性(49)が中房温泉から入山後行方不明。11/24登山道の100m下で発見、死亡確認
11/23(祝/月) 南アルプス・尾白川渓谷不動滝へ男性(47)が13:00入山、下山中に道に迷い日没となる。北杜署が救助
11/23(祝/月) 阿蘇・根子岳天狗岩付近をロープで下降中の男性(56)が60m滑落して行方不明。11/24消防ヘリが発見、死亡確認
11/24(火) 南アルプス・七面山で男性(66)が下山途中に体調不良を訴え動けなくなる。南部署などが救助
11/29(日) 新潟県阿賀町の山中で男性(65)がSL撮影の目的で入山し、下山中に滑落したもよう。搬送先の病院で死亡
11/29(日) 天子ヶ岳山頂付近で男性(30代)が「道に迷い下山できない」と救助要請。捜索後、無事発見救助
11/30(月) 剣山山地・八面山で男性(60代)が下山中に道に迷ったと妻に連絡、20:55妻が通報。12/1防災ヘリで救助

[その他のニュース]
●多くの県やエリアで遭難急増
(1)福島県:10月に遭難発生が19件と急増、6月9-7月5-8月10-9月8から急上昇しました。秋の登山シーズンとともに登山者が増加したのが要因と見ています。
(2)六甲(神戸市):今年は9月末時点で山岳救助人数が83人、過去25年で最多となりました。年間合計で見ても、83人より多かったのは2018年89人、2019年93人だけで、今年のペースはこの2年を大きく上回るとのこと。
(3)鳥取県:10月~11月上旬で遭難が12件発生。2016年以降の同時期の発生数は1~4件なので、今年は遭難が非常に多くなっています。11月4日の初冠雪以降も多くの人が訪れているそうです。
(4)大山(神奈川県):11月19日時点で42件(昨年25件)、ここ10年間では最多となっています。とくに9月以降に27件が集中し、11月(19日まで)だけで13件にのぼっています。
このほか、埼玉、山梨でも、遭難急増が報告されています。

気にかかった遭難事例

●日没後に下り始めるって、なぜ?
11月21日、鈴鹿山系御在所岳で女性2人(24・24)が遭難しました。
2人はこの日13時ごろに登り始め、17時ごろ下り始めましたが、途中で道がわからなくなって110番通報しました。17時はすでに日没時刻を過ぎています。ロープウェイで下りられなかったのか、とも思います。
2人はライトなどの装備を持っていなかったため、警察は安全のため、動かずに一晩過ごすように指示したようです。そして、翌22日7時20分ごろ、六合目付近の登山道から離れた場所で、2人と連れていたペットの犬を発見、無事救助しました。
全般に計画性とか、危険への対応とかが、全く感じられない事例でした。お散歩のような感覚で入山したのでしょうか? このような人たちが、コロナリスクの少ないレジャーとして、登山、山歩きへの関心を高めてきているのかもしれません。