4月30日(土)
先日はルートを間違えたので、もう一度姫ヶ岳へ向かった。安全な登山ルートを確認することと、ヤセ尾根の難所が本当に危険かどうか再検討したかった。
桜がだいぶ開花してきた吉田堤から林道へ。朝霧が立ち込めているが、日中は天気が回復する予定だ。日が昇って来ると青空がのぞき、新緑の木々が輝き始めた。10日あまりで山はすっかり春になった。あれほど多かった林道の残雪もすっかり消えていた。
林道は稜線の南側をずっと進み、標高250m付近で稜線に最も近づいている。このポイントで林道から右に分かれて山道に入る。林道は左にカーブしていて120m先が林道終点である。「姫ヶ岳西ルート」の登山口であるこの地点には、道標もテープも何もない。しかし尾根上に登ると明瞭な踏み跡があった。途中で沢に下る踏み跡が分かれ、左の林道から登って合流する踏み跡もある。尾根通しに行くと急斜面にはばまれ、一瞬、踏み跡が消えるが、開けた所を直登する。ここにピンクテープが2つと、「境界見出標50番」の標識があった。斜面にコシアブラの若木がたくさん出ていて、新芽の形がきれいなものだけ採った。
標高310m付近の平坦な尾根上に、ひときわ目立つ天然杉が立っている。続いて「境界見出標31番」は、先日ヤブ尾根から登って合流した所だ。登山口から約30分だった。
ここからイワウチワが多くなるが、先日はたくさん開いていた花がすべて終わっていた。続いて問題のヤセ尾根になる。「境界見出標25番」(以下「境界見出標」の部分省略)から最初のヤセ尾根は、数歩が悪いだけで終わった。左側は比較的新しい大きいガレが稜線近くまで崩れている。やはりこのあたりは、近年になって危険性が増したのではないだろうか。
2番目のヤセ尾根もやはり危険で、足元が滑って転倒すると谷底まで滑落してしまう。慎重に足場を決めながら登る必要がある。登り切ると「21番」の標識がある。
3番目の難所は「19番」から10~15mの登りになる。最後のピーク手前で左側にちょっと巻いて抜けた。風化した岩面に小石が載っていて怖かった。登り切ると「18番」になる。4番目の難所は一番悪かったように思えた。ここを登り切ると「15番」の標識がある。
まだ終わらない。5番目の難所はそれまでよりも楽に越えられ「10番」のピークへ。それほど悪くなかった。どうやら終わったか? 前方に大きいピークが見え、「9番」を過ぎると、また左側に比較的新しい急なガレが落ちている。左側の樹林が切れて姫ヶ岳が望まれた。
やはり十分に危険だと感じられ、ここの一連のヤセ尾根は難所といっていいと思う。初級レベルと思う人は、安易に踏み込まないほうがいいだろう。
ちょうど9時、「境界見出標1番」のP480に着いた。ここで北秋田市と上小阿仁村の境界稜線に合流する。ルートは左に90度曲がる(ピンクテープあり)。直進してしまいやすい迷いポイントだ。
P480から15分弱で植林地ルートの分岐に着いた。沢筋の雪はすっかり消えて、支尾根にトラバースしていく踏み跡が連続して見えるようになっていた。
この先で第2のP480のトラバースになり、稜線に戻った所で、大きい杉の切り株に「姫ヶ岳登山道」の標識があって、よい目印になっている。ここから5分ほどでもう一度「姫ヶ岳登山道」の標識があり、上小阿仁分岐である。下りで来たときに、少し右手の小さいピーク寄りに進むのが吉田方向、左にあるピンクテープへ行くのが上小阿仁方向である。大変迷いやすいポイントだ。
分岐から頂上までは25分ほど。10時23分、姫ヶ岳頂上に着いた。今日は青空に木々のきれいな新緑が映え、展望岩から見下ろす山々も新緑のモコモコが押し寄せている。すばらしい眺めだった。
下りは植林地ルートの分岐まで約50分。吉田林道まで1時間弱だった(さらに吉田堤まで約1時間)。植林地ルートの支尾根上を歩く区間は、明瞭に踏まれた安全な山道だった。支尾根から左側に外れて植林地に入る所は、両側にピンクテープが下がっている。植林地内は足元の踏み跡に注意しながら下る。最後に小沢を渡り、対岸に上がったら沢から離れるように進んで、上部に見える林道の切れ込みをめざす。沢につられて下流方向に進んでしまうと、沢筋に迷い込んで時間をロスしてしまう。
吉田堤から植林地ルートを通って往復するのが、積雪期も含めて姫ヶ岳の正規ルートだと思う。距離がけっこう長く、迷いやすい所も多いので、やさしい初級ルートとはいえないかもしれない。中級以上の人といっしょに登るようにしたい。