八ヶ岳・赤岳、横岳、硫黄岳 2019年2月18日

朝3時半に起きて、自炊室でラーメンを作って食べました。小屋内はまだ寝静まっています。私以外にはもう1組3人がすでに起きて出発準備をしていて、4時15分ごろに出ていきました。私は計画通り5時に出発しました。
行者小屋までは夜道(ライトが必要)、阿弥陀岳分岐でうす明るくなりライトがいらなくなりました。文三郎尾根を登っている途中で、赤岳西壁を登る2組5人が私を追い越して行きました。たぶん学生さんの合宿でしょう。
とんでもない快晴になりました。薄明の中から薄紅に色づいた北アルプスが姿を浮かべています。隣にある山脈のように近く見えます。八ヶ岳から北アルプスがこんなに近く見えるのは初めてです。
昨日登っているので、文三郎道の難所は気が楽でした。そして、私にとっては体力的な核心が文三郎道を登り切って赤岳山頂に立つまでと考えていました。あとは大きな標高差の登りはどこにもありません。

01:赤岳山頂から権現岳、南アルプス(右から仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、北岳)
02:赤岳山頂から富士山、茅ヶ岳

赤岳山頂で会った人は1人だけでした。皆さんこれから登ってくる時刻です。阿弥陀岳、権現岳、富士山、北・中央・南アルプス、乗鞍・御嶽、全部すばらしかったのですが、写真だけは撮って、ほとんど休まずに出発しました。

03:横岳二十三夜峰、東側を巻き上がる

地蔵ノ頭に来ると、青いアウターの人(けっこうオジサンでした)がいて、この人と前後しながら最後まで歩くことになりました。

04:日ノ岳のルンゼを登る(大雪なら雪崩も心配)
05:日ノ岳から赤岳が美しく見える

二十三夜峰は不安定そうなトレースが見えましたが、うまく弱点をつきながら登っていました。この次に日ノ岳のルンゼ登りがあります。何も難しくはないですが、雪崩への警戒心を持つ必要があると、いつも意識しています(自分以外に指摘する人はいません)。ここは横岳の第1の難所です。

06:鉾岳西面へ下る、最後の1段が悪かった
07:鉾岳のトラバース、ガイドパーティは赤岳方向へ進む

ルンゼから稜線へ登り、反対の西側へ鎖場を下ります。ここは鉾岳の西面を巻く所で、けっこう長いトラバースになります。西壁へ切れ落ちた急斜面の中ですが、雪が安定してついているので難しさはありませんでした。ここが第2の難所。

08:奥ノ院付近より富士山
09:横岳主峰の奥ノ院(赤岳方向へ向かうガイド?パーティ)

稜線へ戻ってしばらく平凡な(というか、普通に歩ける)箇所になり、三叉峰で杣添尾根を合わせます。さらに10分ほどで横岳最高点の奥ノ院に着きます。

10:奥ノ院北側の岩稜の一部、鎖が出ていて容易だった

奥ノ院の先に最後の難所があります。雪稜を下り、右(東側)へ階段を下ってバンドに立ち、岩稜を左(西側)へ越えて鎖場を下り、岩のバンド(ここも鎖)を伝い岩稜基部へ抜けます。雪が少ないからでしょう簡単でした。雪稜に設置された手すりが埋まり、岩稜の階段が埋まり、鎖場も埋まるほどの雪になれば、ここの難しさはまったく変わるはずです。

11:難所が終わり、硫黄岳へ向かう
12:硫黄岳頂上の青い空

難所がすべて終わり、すっきりした気分で硫黄岳へ向かいました。硫黄岳もまた個性的なピークです。阿弥陀岳、赤岳と、越えてきた横岳が、妙にナマナマしく見えていました。

[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正事項
本文P172上段21行目
「二十三夜峰の小さなハシゴを過ぎると、岩峰の基部を右へ回り込み・・・」
→ 「二十三夜峰の東側を巻き気味に登り、右へ回り込んで日ノ岳の・・・」
※横岳の最初のピークである二十三夜峰は、東側斜面を稜線近くまで巻き気味に登っていきますが、ルートのとり方が複雑です。やや足場の悪い箇所もあるので要注意です。

八ヶ岳・赤岳 2019年2月17日

01:行者小屋

美濃戸口で前夜泊し、朝6時に出発しました。コースタイム通りに歩いて、行者小屋発は10時になりました。早い人は登頂を終えて下山してくる時刻です。

02:地蔵尾根の難所の始まり
03:地蔵尾根中間部、雪の薄い箇所が悪い
04:地蔵尾根を下る登山者、ヘルメットの人がほとんど

地蔵尾根は赤岳への一般ルートの1つです。登るのは久しぶりでした。森林限界が遠く、なかなか着かないのできつかったです。森林限界地点に来るとたくさんの階段があって、まずは団体さんが降りてくるのをしばらく待ちました。混んでいるときは大変でしょう。
雪の急斜面と、鎖、階段、時おり岩にアイゼンをかませながら、50分ほどかけて地蔵尾根を登りました。バテていた影響もあったのか非常に悪く感じました。
地蔵尾根は過去に何度も登り降りしているはずですが、今回ほど危険だと感じたことは1度も記憶にありません。年齢と体力の衰えと言うしかないでしょう。

05:赤岳天望荘(営業中)と赤岳
06:赤岳主稜(バリエーションルート)最上部を登るクライマー
07:最高点の赤岳南峰

地蔵ノ頭から天望荘へ行き、西風を避け腰を下ろして休憩しました。それから最後の登りをひとがんばりで赤岳です。雪が少なく、アイゼンが岩をかんで登りにくかったです。
山頂から見る阿弥陀岳、権現岳は、個性のある姿をしていてすてきです。富士山も優美な姿を浮かべています。遠くの北アルプスは少し雲をまとっていました。

08:立場川本谷源頭部を下る

下りの文三郎道は、山頂から立場川本谷源頭の岩場を下っていき、ここが八ヶ岳で最も滑落事故の多発するポイントです。当然、細心の注意を払って下りました。しかし、地蔵尾根上部より悪くないと思いました。
源頭部を下り、右(西)にトラバースするのですが、足場の雪のバンドが狭くていやな感じのする箇所がありました。
赤岳~中岳を結ぶ主稜線に出ると難所は終わりです。ここから文三郎尾根に取り付いて下るのですが、ここも大雪のときには雪崩の危険性があると言われています。雪が少ない今は雪崩の心配はありません。

09:中山展望台から大同心、小同心の岩峰
10:中山展望台から赤岳西壁

行者小屋へ下り着き、赤岳鉱泉へ向かう途中で中山展望台へ立ち寄りました。中山乗越から6~7分、下り5分です。赤岳西壁、横岳西壁がすばらしいです。
この日は赤岳鉱泉に泊まりました。ツエルト泊も候補(ソロテントは持っていない)でしたが、体力に自信が持てないので無理しませんでした。

11:夕日に染まる大同心・小同心、赤岳鉱泉から

夕刻、部屋の女性が「すげえのが見える!」と知らせてくれ、みんな外に飛び出して、大同心が夕日を受けて妖しい色に染まるのを見物しました。噂の赤岳鉱泉のステーキ飯もいただきました。単独登山の人が同じテーブルに集まったので、少しお話もできました。単独での小屋泊まりも楽しめるなあ、と思いました。

[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正事項はありません

「コース外滑走」という言葉の問題性について

「コース外滑走」については、当ブログ1月30日の項「バックカントリー遭難始まる」で書きました。
「コース外滑走」という言葉は、調べてみると、私は2012年4月に『山と溪谷』誌で初めて使用しているようです。それ以来、今日まで使用してきました。情報の伝わり方はよくわからないのですが、最も初期の段階から使っていた可能性があります。つまり、『山と溪谷』誌に掲載した「コース外滑走」の記述から、各所に引用され伝わっていった可能性も考えられます。
「コース外滑走」の言葉は、特別な意図なしに私自身の考えに基づいて使っていたもので、どこかから引用したものではなかったと思います。もちろん、この言葉を使ったからといって、山スキーヤーが責められるとか、スキー場の責任問題になるとか、そういった意図は全くありません。

1月30日の項に書いたように、「コース外滑走」とは、いわゆる山スキーとは別の形式で、スキー場コース外を滑走することをさして使ってきました。
私は山岳遭難を専門に扱ってきたライターです。ある時期から、山スキー(スノーボードも含みます)の遭難が非常に目立つようになり、加えてその何年後かに、明らかに山スキーではないスキーヤーがスキー場外で遭難し、救助されるという事例が多く見られるようになりました。
これは、新しい遭難発生のパターンでした。両事例は「山スキー系」か「一般スキーヤー」かでパターンが異なり、区別する必要があると考えられました。そのために、
(1)山岳遭難の1つである、バックカントリー遭難
(2)「コース外滑走」における遭難
を区分しようとしたのです。ただ、本来は各事例の個別調査によって(1)か(2)かを確定しなくてはなりませんが、それを実行できたわけではありません。多くの場合、「・・・であろう」と推定にとどまっていたのが実際です。

さて、過日、日本雪崩ネットワーク理事の出川あずさ氏より、「コース外滑走」の用語を使わないで欲しい、との申し入れがありました。私自身、古い時代の山スキー経験はあるものの、現代のバックカントリーや、スキー場事情に全く疎いことから、出川氏の申し入れの意図する点が当初はなかなか理解できませんでした。
しかし、長時間の電話でのご説明、その後のメールによるご説明、さらにウェブサイト資料なども参照して、「コース外滑走」という表現の何が問題なのか、おおよそ理解することができました。
したがって、今後、「コース外滑走」の用語は基本的に使用しないことになると思います。書くことの内容は変わりませんが、「コース外滑走」を使わない表現方法で書くことはできるでしょう。既掲載の記事は特に訂正することはしませんが、必要と考えれば、注記などを追加するかもしれません。

「コース外滑走」という表現の何が問題かは、長文になりますので、ここでは省きます。日本雪崩ネットワークのキャンペーン「ロープの向こう側」に要点がまとめられています。特に最後の「関連用語」に明快な説明があります。
今回、忍耐強く説明してくださった出川氏に感謝申し上げます。
また、私が『山と溪谷』2012年5月号で、初めて「コース外滑走」に関してとりあげたまとめ記事を、資料として載せておきます。興味ある方はご一読ください。

[2月2週]2月9~11日の連休に遭難が同時多発

[2/5~2/11の遭難関係ニュースから]
2月第2週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

●2月9~11日の3連休で多くの遭難事故がありました。なかでも中央アルプスで同時多発しました。積雪は少なかったものの、雪面が硬く氷化していたためではないかと報道されています。

●中央アルプスの宝剣岳、乗越浄土は、急峻なリッジや急斜面です。確実なピッケル・アイゼンワークが必要な所です。雪上登攀のギアは使用法を練習しておく必要がありますし、鋭利にしておくなど、ギアのコンディションにも注意していなくてはなりません。

●アイスクライミングの事故が2件ありました。アイスクライミングは、いっそう登攀技術面やギアへの配慮が重要なことは言うまでもありません。

●仙涯嶺で事故死された女性はトレイルランニングの第一人者でした。追悼のコメントが見られました。
「西田由香里さんの訃報に際して」
【追悼】強く、優しく、美しい山岳アスリート西田由香里

●2013年12月に起きた静岡市消防ヘリ二重事故で、死亡した男性遺族と市が、和解の方向で協議を進めていることが報じられました。(2/6 中日新聞)

2/6(水)北アルプス西穂高岳で男性(59)が登山道から500m滑落、2/7小鍋谷で遺体発見
2/9(土)岩手山近くの姥倉山でスキー滑走中の女性(36)が立木に衝突し左脚骨折
2/9(土)中央アルプス宝剣岳で男性(47)が滑落、2/10救助後に死亡確認
2/10(日)西上州・荒船山でアイスクライミングの男性(39)のロープが外れ15m滑落、腰の骨を折る
2/10(日)富士山山梨県側で6人グループから遅れた男性2人(75・66)が下山せず一時行方不明。翌日須走口五合目で救助
2/10(日)中央アルプス宝剣岳で女性(59)が滑落死亡
2/10(日)中央アルプス千畳敷の乗越浄土で男性(43)が50m滑落、右脚骨折のもよう
2/10(日)中央アルプス仙涯嶺で女性(44)が足を踏み外し岩場に滑落、2時間後に死亡
2/10(日)北アルプス焼岳で男性(28)が体調不良により行動不能。県警ヘリが救助
2/11(月)八ヶ岳・柳川南沢でアイスクライミングの男性(30)が負傷、遭対協が救助

大菩薩峠~嶺 2019年2月10日

高尾駅発始発の電車に乗ると、塩山駅6:40の始発バスに乗ることができます。次のバスは7:35ですが、これで日帰りするのはけっこう難しいです。
丸川峠の分岐に大きな無料駐車場があって、車がぎっしり停まっていました。車中泊するか、早朝着くようにすると、長い行程でも日帰りできます。しかし、現代の交通事情では電車・バス利用だと出発が遅くなり、日帰りは難しくなりました。

01:深くえぐれた道
02:ブナの大きな樹

千石茶屋の先から山道に入り、尾根を登っていきます。白く見えるのは雪ですが、積雪はほとんどありません。尾根に沿ってつけられた峠道だったのでしょうが、深くえぐれて沢のようになり、右側の側面に踏み跡が広がっています。古いミズナラの木や、ブナの大きく立派な木もあります。自然林の様子がよく残された、気持ちのよい道でした。

03:上日川峠近くの山道
04:勝縁荘前の古い碑

上日川峠が近づくと笹の下生えが多く雰囲気が変わりました。車道を横切ったりしてロッヂ長兵衛前に出ました。ここで休憩しました。
カラマツ林主体の林道を歩くと富士見山荘がありますが、老朽化して営業休止のもようです。林道は沢に下りて行って、雰囲気のある勝縁荘の前に出ます。ヤマレコ情報によると2015年5月に営業終了したもようです。山荘前に古い小さな石像と、創建者の顕彰碑がありました。

05:大菩薩峠(介山荘)下の道

樹林には針葉樹のモミ、ツガ類が混じって、さらに雰囲気のよくなった道を登って行きます。峠が近づくと笹原が多くなり、やがて介山荘の建物が見えてきました。山道はずっと緩やかな傾斜に作られていて、急登することのない楽な道でした。

06:南アルプス、甲斐駒ヶ岳から上河内岳まで
07:大菩薩嶺(雷岩)の方向

介山荘横から稜線へ出ると、まず大きな富士山が視界に飛び込んできます。富士山は何といっても主役で、コメントのしようがない存在感です。
そして南アルプスは……甲斐駒からほぼ南端近い上河内岳まで見えていました。これだけきれいに並ぶのは、登山歴の長い私も見た記憶がありません。大菩薩峠は第一級の展望台といえるでしょう。

08:針葉樹についた霧氷
09:富士山と大菩薩湖
10:雷岩

親不知ノ頭に登ると、富士山、南アルプス、八ヶ岳、奥秩父西方、さらに甲府盆地を眼下にする好展望です。賽ノ河原へ下り、登り返して霧氷におおわれたツガの森を抜けました。雷岩に登っていくと、また西~南方の展望がよくなってきます。大菩薩嶺の頂上は樹林に囲まれて無展望ですから、大菩薩嶺に近い雷岩は実質的な山頂のようなものです。

11:大菩薩嶺頂上

雷岩から樹林帯に入るとすぐに大菩薩嶺頂上で、2組4人の人が休んでいました。また、私の後から関西の団体さんも着きました。
大菩薩嶺周辺は針葉樹の森がきれいで、原生林の雰囲気がある所です。陽の届きにくい樹林帯の写真は難しいですが何点か収めました。
山道の雪は少ないですが、その下に氷が貼りついて滑りやすいです。効率よく楽に歩けるように、6本爪アイゼンを使って丸川峠へ下りました。

12:森の表情
13:森の表情、森の中の道

[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正です
(1)本文上段13行目:「丸川峠の少し先に」→「丸川峠に」
(2)本文上段14行目:「すぐ手前のカーブ」→「ゲートを過ぎて次のカーブ」
(3)本文上段20行目:「林道に出たところが」→「2回目に林道に出たところが」
(4)マイカー情報:「ここから徒歩5分で通行止ゲート」→「ここから上日川峠方面は冬季車両通行止め」 ※通行止ゲートは分岐から徒歩5分ではなく、分岐自体に設置されています。
(5)アドバイス11行目以降全面書き替え:「冬季(12~4月中旬)の小屋は、介山荘のみ通年営業、ロッヂ長兵衛は土日と年末年始営業、福ちゃん荘は予約のみ営業。富士見山荘、勝縁荘は2019年現在休業中。
(6)問合せ先1行目:「観光交流課」→「観光商工課」
(7)同2行目:「山梨貸切自動車」→「山梨交通塩山営業所」
(8)同7行目:「富士見山荘+電話番号」→ 削除
(9)地図:通行止ゲートを丸川峠分岐近くに移動
(10)地図:富士見山荘、勝縁荘の小屋記号を「・」(地図上の地点を示す)に変更
※難易度「体力★」は小屋泊2日のものです。日帰りの場合は「体力★★」になります。
※『厳選・雪山登山ルート集』のP.040-041でも上記に対応した訂正があると思います。

[2月1週]甲斐駒と白馬乗鞍で雪山事故発生

[1/29~2/4の遭難関係ニュースから]
2月第1週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

●この週末は好天だったためか遭難は少なく、把握できた事例は2件のみでした。
甲斐駒ヶ岳の事故発生場所は報道されていませんが、標高2000mから推測すると黒戸尾根の通称「刃渡り」と思われます。4泊5日の予定で入山したそうです。仙丈ヶ岳~地蔵尾根へ縦走する計画だったのでしょうか。

●白馬乗鞍岳の雪崩発生場所は天狗原から上部の東斜面で、無雪期の登山ルートが通っている付近から幅約300mにわたって崩落したようです(日本雪崩ネットワークの速報が発表されています)。乗鞍岳や白馬岳方面へ登下降する際には、どうしても通らなくてはならない場所です。
しかし、天狗原の北端から比較的ゆるやかな尾根沿いに登るラインをとれば、雪崩のリスクをいくらか軽減できるのではないでしょうか。

●埋没者は、自力で脱出できた同行者が雪崩ビーコンとプローブにより位置を特定し、近くのスキーヤーも掘り出しに加わって、発生から25分で呼吸を確保したと報告されています。1次レスキューの重要性がよくわかります。

1/29(火)甲斐駒ヶ岳標高2000m付近の岩場で男性(27)が滑落重傷。1/30救助
2/2(土)白馬乗鞍岳で登行中の男性2人が雪崩を誘発して巻き込まれ、1人(30)が大腿骨骨折など重傷

[注]2/11追記
長野県警により2/3(日)に発生した2件の遭難事例が発表されました。
2/3(日)北アルプス唐松岳を下山中の男性(30)が悪天候のため道に迷い行動不能
2/3(日)栂池高原で、単独でバックカントリースキー中の男性(64)が道に迷い行動不能

雪崩の出た白馬乗鞍岳東斜面、普通に登り下りされている(3月下旬撮影)

[1月4週]バックカントリーの雪崩死亡事故2件発生

[1/22~28の遭難関係ニュースから]
1月第4週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

≪雪崩危険斜面を滑るのがバックカントリー?≫
●3件の死亡事故があって、どれもバックカントリー遭難事故でした。そのうち2件は雪崩によるもの、また2件は外国人グループの事例でした。

●1月25日の大毛無山南面で起きた雪崩事故は、滑走グループの1人が雪崩を誘発させ、幅30m、厚さ30~150cm、流下距離350m、やや大規模な(サイズ2.5)雪崩でした。3人は雪崩対策装備を持っていて自力捜索も行いましたが、別グループや、近くのスキー場パトロール隊も加わって捜索しました。発生から20分後に上半身が掘り出されましたが、病院で死亡が確認されました。

●1月26日の谷川岳熊穴沢で起きた雪崩事故は、詳しいことはあまりわかっていません。比較的小規模な(サイズ2)雪崩だったように思われますが、遭難者の埋没位置が深かった(250cm)ようです。そして、3人は雪崩ビーコンを持ってないためセルフレスキューができませんでした。2日後の28日、プローブによる捜索で発見されたそうです。

●筆者は30~40年前に山スキーをやっていましたが、現代のバックカントリーの感覚がよくわかりません。両事例とも地形図を見れば「雪崩がやばい!」と思われる場所で事故が起こっています。もっと雪崩の危険性が少ない場所を選んでルートをとるべきではないでしょうか? 本当に不思議です。

※以上の情報は日本雪崩ネットワークの事故調査速報にもとづいています。

1/22(火)富良野スキー場、スノーボードの男性4人(20~30代)が道迷い(コース外遭難)
1/22(火)日光白根山に入山した男性(52)が行方不明。1/24外山付近で発見救助
1/22(火)北アルプス八方尾根で、男性(19)が積雪のため行動不能(コース外遭難)
1/23(水)黒姫山で滑走中のデンマーク人男性(27)が転倒し雪に埋没、窒息死。仲間と13人でバックカントリーツアー中。
1/24(木)北アルプス唐松岳で単独登山の男性(45)が悪天候のため行動不能。1/25救助
1/25(金)大雪山系旭岳へ向かったオーストラリア人親子(男性45・10)が行方不明
1/25(金)ロッテアライリゾートから大毛無山南面を滑走中の外国人3人が雪崩に巻き込まれ、フランス人男性(49)が心肺停止、のち病院で死亡
1/26(土)谷川岳熊穴沢で雪崩が発生、スキー中の男性(29)が巻き込まれ死亡
1/26(土)苗場スキー場、男性(21)がコース外滑走中に道に迷う(コース外遭難)
1/26(土)妙高杉ノ原スキー場、滑走中のオーストラリア人男性(20)が戻れなくなる(コース外遭難)
1/27(日)八ヶ岳・広河原沢本谷でアイスクライミングの男性(62)が滑落重傷
1/28(月)日光・雲龍渓谷でアイスクライミングの男性(24)が氷が割れて滑落重傷

那須・茶臼岳 2019年2月3日

前夜は道の駅「友愛の森」で車中泊しました。ここから30分以内で登山口の大丸温泉駐車場に着きます。8時ぐらいに登山開始できれば安心です。
駐車場から茶臼岳南東尾根末端が大きく見えます。2年前、高校生の雪崩遭難事故があった場所です。

01:大丸温泉駐車場から茶臼岳、左に「天狗の鼻」が見える

出発は8時半になりました。ぞくぞくと登山者が登っていきます。今日は天候もよいので多くの人でにぎわうでしょう。赤城のときと同様、スタートからアイゼンをつけている人もいますが、少なくとも峠ノ茶屋の上部まではアイゼン不要です。
以前来たときは、厳しいラッセルと強風のため、峰ノ茶屋跡手前で敗退しました。そのときの苦労した記憶がありましたが、今回は30分ほどでかんたんに峠ノ茶屋の広場(雪が消えると大駐車場)に着きました。ミョウバン沢支流の小沢を渡って尾根に取り付き、ひと登りするともう森林限界です。朝日岳が右側に大きく見えてきて、アルペン的な雰囲気になってきます。

02:峠ノ茶屋上部から朝日岳が大きい

冬の季節風が吹くときは、この付近からすさまじい強風が吹き抜けて、峠に近づくほど強くなります。しかし、この日は春の陽気で、風はほとんどありませんでした。
峰ノ茶屋跡で大休止後、茶臼岳に向かいました。雪山技術の練習をしようと思い、アイゼンをつけて、ピッケルをきちんと持ちました。

03:峰ノ茶屋跡に建つ小屋(宿泊不可)
04:ピッケル、アイゼンで茶臼岳へ向かう

いつもの山歩きのような樹木の風景はありません。岩と雪、氷の風景は冷たく、無機質な感じがします。美しくはあっても気持ちが安らかにはなりません。
旧火口の一角に出て平坦になった稜線を少し歩くと、小さな鳥居のある最高点に着きました。雲が少し出始めましたが、会津方面以外は山々がよく見えました。西方に見える白い山は日光・尾瀬・越後方面でしょうか。北には三本槍岳と遠く純白の山脈が見えました。会越の山(守門岳、浅草岳)か、それとも飯豊連峰でしょうか。

05:茶臼岳山頂から見下ろした旧火口原
06:山頂から南西方の展望
07:山頂の登山者たち、バックは三本槍岳

眼下には旧火口原が不思議模様を描き、そのまわりを登山者がめぐっていました。私もそこを一周して峰ノ茶屋跡に戻りました。

08:旧火口跡を回るコース
09:雪原にできた氷雪の模様
10:下からも見える三角形の岩塔

時間があれば朝日岳を往復したかったですが、やめにしました。
朝日岳手前の剣ヶ峰は積雪期は直登するべきなのに、雪斜面をトラバースするトレースがあって、多くの人がそこを通過していました。あの人たちは、雪崩の危険がないことをちゃんと確認しているでしょうか?
那須で大きな雪崩事故があったのは2年前の3月下旬のことでした。あの事故の直後だったら、剣ヶ峰のトラバースルートを歩く人はいなかったでしょう。でも、2年前も今も、雪山の条件は何も変わってはいないのです。

11:剣ヶ峰のトラバースは、積雪期は雪崩チェックが必要
12:峰ノ茶屋跡から雄大な茶臼岳全景

[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正事項はありません

川苔山の雪山登山 2019年2月1日

川苔山北面の雪山登山ルート

関東地方に雪が降ったので、奥多摩の川苔山へ行きました。
神奈川方面から奥多摩は遠く、電車・バスで3時間ほどかかります。始発電車で向かい、奥多摩駅8時過ぎのバスに乗り、川乗橋バス停で降ります。女性2人と男性1人が川乗林道を歩いて行きました。私は遅れて出発し、さらに途中で写真をとるので(足も遅い)、この日は後から追いかける関係になりました。
最初は遠くの山に雪が見える程度でしたが、竜王橋からは雪景色になり、細倉橋から山道に入ると完全に雪道になりました。積雪10cmくらいです。

01:川苔谷上流、右上に登山道

道は谷を何回か渡り返して行きます。最初は右岸(上流から下流に向かって右側)つまり南面を行きますが、すぐに左岸つまり北面に渡ると、道に雪が斜めについたり、傾いた桟道を歩く箇所は緊張しました。
もう一度木橋を渡り、小さな尾根を越して、塩地谷と名前を変えた本流を渡りました。谷から山道へ登る所に危険表示の黄色い看板がありました。ここから百尋ノ滝入口を経て地図上の962mピーク西~南側を巻き上がって行く区間が危険箇所です。ここでは転落・滑落事故が多発していて、死亡事故も起こっています。

02:塩地谷徒渉点、ここから上部が危険地帯
03:危険表示の道(振り返ったところ)、右下は岩壁が谷底まで

昔(若かったころ)はまったく感じませんでしたが、この日は非常に緊張して通過しました。自分がベテランだから、登山の専門家だから、事故が起こらないという考え方は私にはありません。ベテランであれ専門家であれ、遭難事故の危険性はかならずあります。そういう現実を私は見てきました。
アイゼンはつけませんでした。アイゼンをすると足裏感覚が変わって失敗するような気がして怖かったのです(通常はアイゼンをしたほうが安全度が増すのは確実でしょう)。
962mピークを巻き上がって尾根上に乗り、それから横ヶ谷に沿う植林地の道になりました。最大の危険個所が終わったので心を解き放ちました。本当にうれしかったです。

04:冬の百尋ノ滝
05:危険区域上部(振り返ったところ)、左に危険な斜面が落ちる

これから先、横ヶ谷源流は道迷いの多い所なのです。川苔山の東の肩へ至るまでのルートは複雑です。積雪は登山道をおおい隠していて、先に行った3人はルートを見つけるのに苦労しているでしょう。
地図上の1150m地点でトレースは進路を変え、対岸の斜面に取り付いて、60mほど登った所から植林地の中をトラバースしていました。明らかにルートを外していたので、私は引き返して、道標のある所から正しいルートの形跡を見つけて沢沿いに進みました。
しかし途中で、登山道の跡が完全にわからなくなりました。

06:火打石谷を渡り横ヶ谷上部へ
07:先行者のミス地点、正規ルートは木の右を進む

だいたいの位置はわかっていて、南方向へ進めば川苔山の稜線に出るという関係も確信できました。そこで、コンパスで目前の尾根が南へ延びていることを確かめ、そこを直登しました。私が登ったのは、正しいルートのひとつ西側の尾根でした。山頂の100mほど手前でトレースに合流しました。
先行していた3人は、狼平(1286mピーク)付近に出たと思われ、遠回りで川苔山に到達していたもようです。

08:川苔山直下に出た
09:山頂から西側の遠望、中央の円頂が天祖山、その右に芋ノ木ドッケと白岩山、左遠方に雲取山

時刻も遅くなり、早々に下山にかかりました。南側で陽の光を浴びる登山道にも、前夜からの雪がたくさんありました。奥多摩としては最上の雪山登山を楽しむことができました。

10:鳩ノ巣への下山もきれいな雪道
11:間伐地の雪風景

[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正です
(1) 地図中、花折戸尾根(本仁田山~鳩ノ巣)の破線記号を削除。
(2) 地図中、平石尾根(本仁田山~平石山~大沢)の破線記号を削除。
なお、難易度を「技術★★」としていますが、特にトレースのない状況ではルート判断が難しくなると思いますので注意してください。

12:鳩ノ巣集落の上にある「大根の山の神」

[1月3週]バックカントリー遭難始まる

[1/15~21の遭難関係ニュースから]
1月第3週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

●「バックカントリー遭難」(コース外遭難を含む)が増えてきました。管理されたスキーゲレンデの外に出て、自然の野山(バックカントリー)で、スキー、スノーボードで行動しているときに起こる遭難が「バックカントリー遭難」です。
(スノーシューハイクもバックカントリーの一部ですが、あまりにも雪山登山に近い行為ですので、ここでは雪山登山のほうに含めて考えることにします)

●バックカントリーのうち、「登る」「歩く」部分がほとんどないケースがあります。スキーゲレンデのリフト終点からスキーコース以外の山野に出て深雪滑走を楽しむものです。バックカントリーや雪山登山の知識・技術のないスキーヤーが行っているケースも多いです。このような行為は「コース外滑走」、遭難するものを「コース外遭難」と呼んでいます。

●バックカントリー遭難、コース外遭難は、近年、大変多発しています。外国人の遭難も多い点が大きな特徴です。これからが多発のシーズンとなります。

1/18(金)妙高市内のスキー場、50代男性がコース外滑走中に迷い遭難[注1]
1/19(土)大雪山旭岳ロープウェイ、60代男性が滑走中に現在地不明となり救助要請
1/19(土)十勝連峰三峰山で香港から訪れた男性2人(57・45)が装備不良のため遭難
1/20(日)斑尾山でバックカントリーツアーの外国人男性(30代)が立木に衝突し左脚骨折
1/21(月)北海道富良野スキー場、外国人男性2組7人がコース外に出て迷い救助要請

[注1]スキー場からの希望により、遭難発生場所は公開されませんでした。
[注2]この週の事例は5件ともバックカントリー遭難でした。妙高市内スキー場、大雪山旭岳ロープウェイ、富良野スキー場の3件はコース外遭難と考えられます。