[4月4週]軽井沢の里山で登山者原因の出火

[4/16~22の遭難関係ニュースから]
4月第4週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

この週も遭難発生は比較的少なかったですが、近郊低山で60代後半から70代の高齢者による重大事故(死亡・行方不明)が多く発生しています。転・滑落事故を防ぐことに重点をおいて、ルート選びや歩行技術をしっかりチェックする必要があると思います。

4/16(火)単独で百蔵山に登った男性(70代)が下山せず行方不明。登山口に車あり
4/16(火)北アルプス西穂独標で男性(73)が滑落負傷。県警ヘリが救助
4/17(水)八ヶ岳・赤岳で男性(69)が滑落負傷。県警ヘリが救助
4/21(日)古賀志山北方の斑根石山で単独登山の男性(67)が約100m滑落死亡
4/21(日)前日光・石裂山で男性(72)が数十メートル滑落負傷
4/21(日)北アルプス燕岳で合戦尾根を下山中の男性(57)が残雪でスリップし滑落負傷
4/22(月)単独で六甲山へ出かけた男性(71)が行方不明。4/23登山道近くの崖下で遺体発見

[2019/05/10追記]
4/17(水)南大菩薩・滝子山で女性(58)が滑落、右腕骨折の重傷
4/21(日)中央沿線・百蔵山で下山中の女性(59)が滑落、左脚を骨折して行動不能

●百蔵山(1003m):山梨県大月市にある山。稜線続きの扇山、権現山とともに郡内三山といい、昔から「中央線沿線」の山として1~2山組み合わせて登られてきました。ルート上および山頂から富士山や道志・御坂山塊のながめがいいです。

●斑根石山(559m):古賀志山の北方で、富士見峠をはさんで対する通称「559mピーク」で、正式名称が斑根石山(はんねいしやま)です。広く見れば古賀志山群の一峰といえます。北面は切れ落ちていて、うっかり転落すれば大事故になるようです。主要ルートからはわずかに離れていますが、ヒカゲツツジ(淡い横白色のツツジ、日本固有種)が多く見られる山ということです。

●石裂山(879m):「おざくさん」と読み、前日光高原の南端にある山。阿蘇山塊(栃木・足利・桐生周辺)に接する位置にあります。日光開祖の勝道上人が開いたと伝えられ、修験の山として古い歴史があります。ルートは整備されていますが、鎖や梯子が多く、踏み外すと危険です。

●六甲山(六甲最高峰 931m):六甲山は山系全体の名称ですが、山岳遭難では個々の発生場所が報道されず、単に「六甲山」とされる場合が多いです。私たちは詳細な発生場所を知りたいのですが、多くの場合、あらためて取材しないと判明しません。六甲山では年間50件ほどの山岳遭難があり、最も多いものは道迷い遭難です。4/22の事例は「新神戸駅から北に約2kmほどの登山道の崖下」で遺体が発見されました。そのとおりの場所は、摩耶山に至る天狗道上部となります。

軽井沢の里山で登山者原因の出火

浅間山の南斜面にある石尊山

4月19日12時40分ごろ、浅間山の寄生火山である石尊山の山頂付近で山火事が発生し、およそ3時間半後に鎮火されました。この火事で山頂から南側斜面にかけて下草や立木約2.25haが焼けましたが、ケガ人はいませんでした。
出火の原因は、単独登山の男性(55)がコーヒーのお湯をわかそうとして使用した、携帯用ガスコンロの火が周囲に燃え移ったということです。本人が消防に通報しました。
消火活動のために、県の防災ヘリと消防隊員、地元消防団のほか、県の依頼を受けた自衛隊所属のヘリ計5機が一時出動したそうです。
芽吹き前の樹木と枯れ草だけにおおわれた斜面は、いかに燃えやすいか容易に想像できます。そのような場所でコンロ類を使用しないことは、山で行動する者の常識として身につけなくてはいけないと思います。

[4月3週]長野県警が春山情報発表

[4/9~15の遭難関係ニュースから]
4月第3週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

この週も遭難発生は比較的少ないほうでした。スキー事故(バックカントリー含む)、雪山遭難事故、近郊日帰りエリアでの遭難事故が、それぞれ発生しています。

4/9(火)大川入山(長野県阿智村)で男性(74)が転倒負傷。県警ヘリが救助
4/9(火)立山・室堂平の山小屋で従業員男性(35)が胸・頭の痛みを訴え、県警ヘリで病院へ搬送される。肺水腫と診断され入院
4/10(水)権現山(山梨県上野原市)で遭難男性(69)が救助される。詳細不明
4/12(金)志賀高原横手山でスキー場区域外をスノーボードで滑走中の男性が道迷い遭難。県警ヘリが救助
4/12(金)単独で木曽駒ヶ岳に入山した男性(70)が行方不明。4/16黒川渓谷の雪渓で遺体発見
4/13(土)北アルプス小蓮華山でBCスキーの男性(62)が滑落負傷。県警ヘリが救助
4/14(日)別子銅山東平の山中で男性(60)が道迷い遭難。4/16防災ヘリが遺体発見、死因は脳挫傷

[2019/05/10追記]
4/14(日)西上州・荒船山艫岩の展望台に落ちたザックと、崖下に倒れた男性(41)の遺体発見、
4/14(日)南アルプス地蔵岳~御座石鉱泉間で夫婦+友人の3人が道迷い遭難、翌日無事救助

●大川入山(1908m):中央アルプス南端の恵那山から、さらに南方にある中級山岳です。治部坂峠から2時間強、あららぎスキー場から3時間で登れます。阿智村は地域振興策のひとつとして「阿智セブンサミット」を設定し、登山者を呼び込んでいます。セブンサミットとは、恵那山、富士見台高原、大川入山、蛇峠山、南沢山、高鳥屋山、網掛山で、それぞれPDFでガイド地図が作られています。地域主体でのルート整備や、遭難対策も課題となります。登山による地域おこしの事例として参考になります。

●権現山(1312m):山梨県上野原市と大月市にまたがり、奥多摩と南大菩薩の中間エリアにあります。稜線続きの扇山1138m、百蔵山1003mとともに、いわゆる「中央線沿線」の代表的な山として登られてきました。遭難要因としては道迷いが最も起こりやすいと思います。

●木曽駒ヶ岳黒川渓谷:木曽駒ヶ岳登頂後、中岳から下降するときに滑落すると黒川源流部へ流される位置関係になります。アイスバーンの状況であれば滑落の危険性は大きいと思われますが、中岳で滑落の危険を予測する人は少ないかもしれません。2/22にも中岳で黒川側への滑落事故が起こっています。また、2017年1月に行方不明になった男性(37)が、半年後の同年7月に、黒川上流で遺体で発見された事例があります。

●別子銅山東平:東平は「とうなる」と読みます。明治期に別子銅山が反映した時代の鉱山施設が保存されて、観光用に整備されている一帯です。遭難者は滑落しなければ生還できた可能性が高かったと思います。道迷い状態のときの最も重要な注意点は、転倒・滑落しないことと、低体温症を防ぐことの2つです。

長野県警が春山情報発表

長野県『春山情報 2019年版』の表紙

4月11日、長野県警が春山情報を発表しました。
例年よりも3~4月に降った積雪が多く残っていることから、雪山用の装備と、雪崩の警戒を呼びかけています。
県警は過去の遭難発生状況や危険箇所をまとめた冊子(4000部)を首都圏登山用具店で配るほか、ヤマップの山岳地図に危険箇所を表示します。春山情報の冊子は、長野県警山岳情報のサイトでもPDFデータで公開されています。
これから連休前までに、主要山岳県から各地域の春山情報が発表されます。その情報を収集し確認するような登山者は、遭難のリスクを低くすることができるでしょう。
それとは逆に、(初級者、ベテランどちらでも)現地情報や危険情報に無関心な人は、当然ながら遭難リスクの高い登山者だと思います。

[4月2週]岐阜県で山のグレーディング改訂

[4/2~8の遭難関係ニュースから]
4月第2週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

この週は遭難発生が少なく、報道などで把握できたのは3事例のみでした(4/19に3事例を追加しました)。スキー事故(バックカントリーではありません)が1件ありましたが、雪山遭難はありませんでした。春の山歩きシーズンとなり、都市圏近郊の日帰りエリアでの遭難事故が多くなってきています。

4/3(水)毛無山(長野県野沢温泉村)山林内で男性(37)がスノーボード滑走中に雪に埋没して負傷。脳挫傷など重傷の模様
4/3(水)本社ヶ丸から宝方面へ下山中の男性(72)が道迷い遭難。4/4防災ヘリが救助
4/6(土)古賀志山で女性(64)が斜面を50m滑落し負傷。防災ヘリが救助
4/6(土)南ア深南部・黒法師岳で男性(63)が下山中に道迷い遭難。4/7天竜署などが救助
4/7(日)西上州・毛無岩で女性(50)が斜面を100m滑落し重傷。4/8県警ヘリが救助
4/7(日)奥武蔵・日和田山の岩場で男性(58)が単独でクライミング中に転落し死亡

●本社ヶ丸(1630m):笹子川右岸の最高峰(ヤマケイオンライン)とあります。笹子川流域には高川山、滝子山、笹子雁ヶ腹摺山などがあって、高川山以外は行程が長く健脚向きです。昔の本社ヶ丸は秘峰で、山頂からは清八峠か鶴ヶ鳥屋山へ縦走するのが一般的でしたが、ある時期から山と高原地図などに宝方面(大幡川)や笹子方面(笹子川)へ下るルートが記載されるようになりました。この男性は宝方面へ下ろうとして迷ったようです。

●黒法師岳(2067m):報道では「地頭方の山林で救助された」とあります。黒法師岳の南西尾根から北面に迷い込んだと思われます。それなりに深い山中で迷っても、救助要請とともに現在位置情報を通報できれば、ヘリが飛べない場合でも1日以内で救助されるという事例になっています。

●古賀志山(583m):宇都宮市北西郊外にある低名山です。最高点の古賀志山のほか、東側ピーク(東陵見晴台)、西側ピーク(御岳546m)、さらに岩稜で西方につながる赤岩岳(536m)などが一体になった山群を古賀志山ということもあります。一般的な登山ルートは、北ルート(2.4km・1時間、初級)、南ルート(2.8km・1時間20分、初級)、東陵ルート(2.1km・1時間、初級)、滝ルート(2.3km・1時間20分、初級)、中尾根ルート(3.1km・2時間、上級)、赤岩岳ルート(2.3km・2時間、上級)ですが、ほかにも詳細なルートがある模様です。それだけ迷いやすいともいえ、初級者が岩場のある難ルートに迷い込む危険性のある山です。直近でも3/31(男性55、転倒重傷)、4/21(男性67、滑落死亡)と事故が多発しています。

●毛無岩(1290m):西上州・荒船山の東方にある岩峰。尾根ルートと沢ルートがあって、沢ルートは難路で荒れている模様です。尾根ルートと主稜線上は岩場が多く、随所に転滑落危険箇所があるようです。岩場への危険意識をもって行かなくてはならないルートです。

4/28修正
(1)古賀志山中尾根ルート ×中級 → ○上級
(2)古賀志山「東稜」表記 ×東稜 → ○東陵
通常は「東稜」が正しいと思いますが、ネット情報は「東陵」がほとんどのため、とりあえずネットに合わせておきます(正しい表記が判明したら再度訂正します)。

岐阜県で山のグレーディング改訂

岐阜県「北アルプスピッチマップ」の一部
(グレードと色の対応は、A=緑、B=青、C=黄、D=赤、E=黒)

岐阜県で改訂された「山のグレーディング」が発表されました。
大きな変更点は、従来のグレード表(マトリックス表)、ルート一覧表に加えて、北アルプスの各ルートについて区間ごとに技術的難易度を評価した「北アルプスピッチマップ」が公開されたことです。このことから、各ルートのどの区間がどの程度難しいかを、直接的に把握できるようになっています。
最難グレードである「E」と評価されているのは2カ所です(カッコ内はルート定数)。
・南岳小屋-北穂高岳(11.0、逆コース10.1)
・涸沢岳-北穂高岳(6.6、逆コース6.0)
最難に次ぐ「D」と評価されているのは、意外に少なく次の2カ所です。
・槍平小屋-南岳小屋(18.9、逆コース7.8)
・西穂独標-西穂高岳(6.4、逆コース3.8)
そのほかの多くの区間は「B」と「C」に評価されています。

これまでインターネットの記録情報や、市販のガイドブック、雑誌記事などでも、グレードの評価は筆者によりまちまちでした。なかにはグレードの表現が甘すぎるものがあって、遭難事故のリスクを高める要因になっていた可能性があります。
今回、オフィシャルなグレード評価が示されたことにより、登山者各自の適正な登山計画作成に役立てられることが期待されるわけです。

なお、隣接県である長野県では、2016年版「信州山のグレーディング」で公開された102ルート(北アルプス以外のエリアも含みます)について、「ヤマレコ」のサイトでピッチごとに区切ったグレーディングを参照できます。
※本内容については『山と溪谷』2019年6月号でも掲載予定です。

[4月1週]川場スキー場の「ココヘリ」義務化について

[3/26~4/1の遭難関係ニュースから]
4月第1週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

遭難の少ない週になりました。新たに発生した山岳遭難は、3/31ロッテアライリゾートの行方不明事例だけです。この事例はスキーヤーによるもので、雪山登山やバックカントリーのものではありません。

≪川場スキー場の「ココヘリ」義務化について≫
●「ココヘリ」は、高精度な発信機(最長16kmとのことです)を登山者などが携帯して、その電波により位置を特定し、警察や消防に連絡するという位置通知システムです。
登山者やスキー場から受信装置設置者(提携航空会社など)に捜索依頼があると、受信装置を設置した捜索ヘリが出動し、依頼者の位置を特定して警察や消防に連絡します。また、群馬県警ヘリも専用受信機を導入していて、独自に位置特定することも可能なようです。
このように、「ココヘリ」を利用すると迅速な捜索・救助が可能になります。

●川場スキー場のリフトを利用して登り、スキー場トップから上州武尊山へ登る登山者などに対して、4月1日から「ココヘリ」発信機の携帯が義務付けられました。「ココヘリ」は自分で契約することもできますし、スキー場でレンタル(¥1000)することもできます。
これまでは、条例などで登山届提出を義務付けることが、いくつかの県で行われてきました。それにも賛否両論があります。
しかし、「ココヘリ」義務化ということは、登山届よりもはるかに大幅な登山規制といえます。規制が大きければ大きいほど、登山は個人の自由意思でできるものではなくなります。
「ここまでやるの・・・?」
「ここまで強制的なことをしないと、登山者は遭難を防げないの・・・?」
というのが、私の率直な感想でした。

●同じようなタイプの雪山ルートは、今後「ココヘリ」義務化の流れが起こってくるかもしれません。丸沼高原スキー場から日光白根山、天神平スキー場から谷川岳、中央アルプスロープウェイから木曽駒ヶ岳、五竜遠見スキー場から遠見尾根方面、八方尾根スキー場から唐松岳、栂池高原スキー場から白馬乗鞍岳・白馬岳、おもに初級者対象の多くの雪山ルートが該当します。
雪山ルートはこれから、入山規制がかかったスキー場経由のルートと、従来どおり自由に入山できるルートとに二分されていくかもしれません。

3/26(火)利尻山で遭難していた2人のうち、男性(24)が救助される
3/27(水)利尻山のもう1人の遭難男性(25)も救助される
3/27(水)鹿島槍ヶ岳で遭難していた2人のうち、男性(44)が3日ぶりに救助される。もう1人の男性(47)は4/5現在未救助
3/27(水)西丹沢で3/19以来行方不明になっていた男性(37)が9日ぶりに発見救助される。大石山から下山時に滑落して重傷を負ったうえ、道に迷っていた
3/31(日)ロッテアライリゾート(スキー場)で女性スキーヤー(56)が行方不明、4/1から捜索中

● 3/28(木)近畿大学と丸仁が、遭難時にドローンからの探索を容易にする再起反射材を使用したウェア「ライトセーバ」を企画開発。4月から楽天ショップで販売(1万8000円)

● 4/1(月)上州武尊山麓の川場スキー場で、バックカントリーへの入山者に対して新ルール開始。(1)「ココヘリ」発信機を携帯する(2)同スキー場専用の登山届を提出する

[3月4週]雪山の初級ルート、中~上級ルートで遭難多発

[3/19~25の遭難関係ニュースから]
3月第4週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

●遭難が多発しました。この1週間で少なくとも15件(遭難者数18人)の遭難が発生しています。21~24日の飛び石連休は、21日に低気圧が通過後寒気が南下して、22~24日はあまり天候が回復しませんでした。極端な悪天候とは予想されなかったために計画通り登山を決行した人も多く、悪天候下で滑落や道迷いなどの遭難事故が起こったものと思われます。

●黒斑山(19日)、武尊山(23日)、乗鞍岳(23日)、八方尾根(23日)などは初級雪山ルートですが、悪天候の条件下では、初級者には困難かつ危険なルートになってしまいます。

●谷川連峰(23日)、涸沢岳(24日)、鹿島槍ヶ岳(24日)、利尻山(25日)のような中~上級ルートでは、中級以上と思われる人の遭難が発生し、死亡事故も起こっています。

3/19(火)浅間山系黒斑山付近で男性(39)が道迷い遭難 *詳細不明
3/20(水)ネパール・アンナプルナエリアのマルディ・ヒマールをガイドグループでトレッキングしていた日本人男性(65)が、悪天候下で足を滑らせ約700m滑落死亡
3/22(金)奥武蔵・聖人岩でフリークライミング中の男性(73)が約11m転落死亡
3/23(土)谷川岳から平標山へ縦走していたと見られる男性(57)が遭難、3/25仙ノ倉山で遺体発見
3/23(土)川場スキー場から武尊山へ入山した夫婦(45・34)が下山せず行方不明となり、3/24スキー場トップから約500mの場所で発見救助。下山中に吹雪のため道に迷ったもの
3/23(土)八ヶ岳・西天狗岳から下山中の男性(36)が滑落負傷。県警ヘリが救助
3/23(土)南アルプス北岳山頂付近で3人パーティの女性(64)と単独登山の女性(32)がそれぞれ滑落し骨折など重傷。県警ヘリが救助
3/23(土)乗鞍岳で男性(29)が滑落負傷 *詳細不明
3/23(土)北アルプス八方尾根の丸山ケルン付近(標高2500m)で男女3人がそれぞれ滑落。女性(35)と男性(30)は軽傷を負い当日救助。男性(50)は200m滑落後斜面に雪穴を掘ってビバーク。3/25県警ヘリが救助
3/24(日)霧訪山(辰野町・塩尻市)を下山中の女性(69)が転倒し負傷 *詳細不明
3/24(日)北アルプス涸沢岳を2人で登山中の男性(58)が標高2700m付近から650m下の沢に滑落死亡
3/24(日)北アルプス鹿島槍ヶ岳で男性2人が滑落後バラバラになって遭難。3/25所属山岳会が警察に通報。その後男性(44)は連絡がとれ3/27救助、男性(47)は富山側に倒れ救助できないまま
3/25(月)利尻山山頂付近で男性2人が靴を紛失するなどで遭難。3/26男性(24)を道警救助隊が救助。靴を紛失した男性(25)は支援に向かった仲間の男性2人が発見し、3/27道警ヘリが救助

木曽駒ヶ岳 2019年3月25日

3月中にもう1回雪山へ行きたいが、1泊以上の日程だと週刊ヤマケイの投稿に間に合いません。日帰りルートで『雪山登山』掲載のものは、上州武尊山と木曽駒ヶ岳しか残っていませんでした。積雪量が多いのを確かめて木曽駒に行くことにしました。
前夜、菅ノ台駐車場で車中泊。駒ヶ根インターの近く(駒ヶ根駅側の最初の交差点)に新しいセブンイレブンができていて、夜中の買い物に便利でした。
千畳敷から木曽駒に登るには、車の進入規制がありますので、菅ノ台駐車場(バス停名は「菅の台バスセンター」)からバスに乗ります。バス+ロープウェイ+駐車場代でとてもコストが高いです。本音を言うと、日帰りでこのルートは行きたくありません。

01:千畳敷、宝剣岳、乗越浄土。真ん中へんに人が2人いる

翌朝、始発バス(8:15)に乗り、始発ロープウェイ(9:05)で千畳敷へ上がりました。
千畳敷では晴れ上がって山々が全部見えました。宝剣岳はすぐそこに見えます。乗越浄土へのルートは、宝剣の右側の鞍部へまっすぐに上がるのですが、本当に雪崩が危険なラインです。こんなルートに雪崩ビーコンも持たない初心者・初級者がたくさん登っているのですから、どこか大きな誤りを犯していると思えます。
今日は100%近い確率で雪崩はないと思いますが、心理的な意味で、ヤッケの下に雪崩ビーコンを装着してスイッチをONにしました。

02:乗越浄土へ登る人たち
03:サギダルの頭(バリエーションルートがある)
04:乗越浄土直下、傾斜の急なところ

トレースは何条にもついていますが、右側の岩稜末端をめざしてまっすぐに上がり、末端の真下あたりで一度止まって休憩しました。いちおう雪崩道の中心を外しました。ここまでは先頭でしたが、何人もの人が目の前を登っていきました。千畳敷に泊まって早朝出発したのか、下りてくる人も交差しました。
ポールをしまい、ピッケルに持ち替え、それから約30分で乗越浄土に出ました。最も危険な区間はこの30分間ということになります。

05:乗越浄土と和合山

南アルプスがきれいに見えますが、雪が少なく黒い部分が多いため迫力に欠けます。厳冬期の1~2月はもっとすばらしいでしょう。しかし、南部の荒川・赤石・聖岳までくっきりと見えるのはさすがです。

06:宝剣岳と北稜ルート(一般ルート)
07:宝剣岳、最上部の雪面が急峻

宝剣岳の写真が撮れる場所を探して近寄っていきました。結局、北稜の取付まで行きましたが、右側(宝剣沢)はさえぎるものが何もなくとても危険です。岩もあり、鎖が一部出ていて、ロープを使ってビレイしながら登るのはやりやすそうでした。前回来たときは宝剣岳にソロ(ビレイなし)で登りましたが、無謀といっていいぐらい危険だと思いました。今年の雪山シーズンでも、ここで複数の事故が起こっています。

08:中岳へ登る広い斜面。山は宝剣岳、右に空木岳、南駒ヶ岳
09:仙丈ヶ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳、手前は伊那前岳
10:木曽駒ヶ岳山頂

もうきつい登りはなく、中岳へゆるやかに登り、頂上山荘(閉鎖中)へ下り、木曽駒へ登り返しますが、この登りは30分以内ですんでしまいます。写真を撮りながらゆっくりだったので、千畳敷を同時に出発した人たちはほとんど下りてしまいました。

11:山頂から空木岳、南駒ヶ岳、右の三角ピークは三ノ沢岳
12:中岳方面へ下る人たち。背景の山は悪沢岳、荒川中岳・前岳、赤石岳、聖岳など
13:北アルプス方面、左の乗鞍岳から、笠ヶ岳、穂高・槍、鹿島槍・五龍、白馬岳まで
14:御嶽山が大きい
15:空木岳、南駒ヶ岳
16:山頂には祠がいくつか

正午前、木曽駒頂上に着いたころは、上空が曇ってしまいました。それでも展望はまだ広く、御嶽・乗鞍は大きく、北アルプスは笠ヶ岳と槍・穂高、鹿島槍・五龍も山の形からそれとわかります。遠く妙高・火打まで見えていました。

17:下る人(1)
18:下る人(2)
19:下る人(3)
20:凍結した道

すっかり人の少なくなった山上をゆるゆると下り、乗越浄土から伊那前岳の方向へ行ってみました。宝剣岳などの迫力ある写真が撮れるかと期待しましたが、宝剣岳はそれなりに、横方向から見た空木・南駒ヶ岳もマアマアでした。

21:和合山より中岳(左)、木曽駒ヶ岳(右)
22:伊那前岳方面、北御所谷に至る稜線
23:横から見た宝剣岳
24:再度、空木岳、南駒ヶ岳
25:再度、横から見た宝剣岳

雪崩は一番の問題点ですが、そこさえクリアできれば、千畳敷から木曽駒ルートはピッケル・アイゼンを使った雪上歩行を体験できる、よいトレーニングルートです。日帰りはコストが高いですが、千畳敷ホテルに泊まる1泊2日で、1日は技術トレーニング、もう1日で木曽駒登頂をやればいいと思います。

[登るための注意点]
・長野県の条例で登山届提出が義務付けられていますが、現地に係員などがいるわけではなく、自発的に提出します。ロープウェイ千畳敷駅に提出ポストがあります。
・ロープウェイ往復料金に限り、モンベルクラブ会員、YAMAP会員など対象に割引があるようです(片道は適用されない)。割引対象や期間などは確認してください。
・雪崩の危険に関して情報掲示などはなく、すべて「自己責任」となっています。初級者には判断が難しいのが実情です。とにかく注意しましょう。

[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正事項
(1)アクセス:バス所要時間の短縮
  「ロープウェイ行きバス約50分」× → 「ロープウェイ行きバス約42分」
(2)マイカー情報:バス所要時間の短縮
  「バスに乗り換えて約40分で」× → 「バスに乗り換えて約30分で」

[3月3週]低山の危険性を示す、行方不明・滑落死亡事例

[3/12~18の遭難関係ニュースから]
3月第3週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

今週も5件の遭難事例を把握できました。うちバックカントリー遭難は2件で、いずれも無事救助されています。低山エリアで滑落したと思われる死亡事故が起こっています。低山は私たちがイメージしている以上に、危険な状況が普通に存在しているものです。

●讃岐山脈の一山である大滝山(946m)で死亡した男性(68)は、登山道から20m下の沢に倒れて発見されました。南アルプス山麓の赤薙ノ滝で死亡した男性(48)も、尾根付近から急斜面を滑落した可能性があるそうです。

●3/16八方尾根の滑落遭難は、前週3/9と近い場所で起こっているようです。長野県警が公開した写真を見ると、遭難者は八方沢の下部で救助されています。かなり長い距離を流されたのではないかと思います。

●3/17大山の遭難事例は、男性(53)が道をまちがえたうえ50m滑落したそうです。吹雪の中を下山中に起こったものでした。3/16~17は上空に寒気が入り大気の状態が不安定になっていました。登山は中止したほうがよかったでしょう。

●3/17大雪山バックカントリー遭難については、ビジターセンターのアドバイスをお聞きください。
旭岳ビジターセンター 3月19日 9:34(フェイスブックより)
『旭岳のコース外で遭難した方は、無事救助されました。
昨夜、捜索・発見・テントに収容した道警山岳救助隊の皆さんがようやく朝8時頃旭岳温泉に帰ってきたところです。ひと晩じゅうの救助活動、ほんとうにお疲れさまでした。
遭難した人は、夜が明けてからヘリで収容され、命に別状ありません。
姿見駅から歩いてコース外の新雪斜面に出て滑り、コースに帰ろうとしたが戻れず、はるか南西に下り、天人峡(忠別川)北岸の崖まで達していたそうです。(こうした経路の道迷い遭難は昔から多発しています。)
比較的穏やかな天候で昨夕ヘリが飛べ、スキーのトレースを発見できていたこと、そのトレースを辿った救助隊が遭難者と無事接触できたことが、今回の無事生還につながったものと思われます。
遭難者を発見した場所は、どの会社の携帯電話もまったく通じなかったそうで、所持していた携帯はすで電源が切れていたそうです。
雪のないシーズンも決して少なくはありませんが、雪のあるシーズンは道迷いが多発します。激しい風雪など悪天候で地図やコンパス、GPSを十分確認できないまま道を外れてしまうことも少なくありません。いかにしてロープウェイ駅など安全な場所に戻るか、常に想定しておきましょう。技術に応じて自分が踏み出して大丈夫な範囲を見極めましょう。
また、単独行は複数のメンバーよりも事故が多く、より深刻な事態になりやすいことを、いまいちど肝に銘じておきたいと思います。』

3/13(水)香川・徳島県境の大滝山に登った男性(68)が行方不明。3/15遺体で発見
3/16(土)北アルプス八方尾根で男性(42)がバックカントリー滑走中に滑落負傷。3/17県警ヘリが救助
3/17(日)大雪山系旭岳でバックカントリースキーをしていた50代男性が下山せず行方不明。3/19山麓駅の南南西3kmの山林で発見救助。ビーコン電波が発見の決め手となる
3/17(日)バードウォッチング目的で離山(山梨県北杜市)方面に入山した40代男性が下山せず行方不明。3/18赤薙ノ滝付近で遺体発見、滑落の可能性あり
3/17(日)大山に夫婦で登山中に1mほど前を歩いていた男性(53)が行方不明となるが、3/18山頂付近で無事救助。事故当時は吹雪でホワイトアウトの状態

[関連ニュース]
3/12(火)長野県警とモンベルが提携、全国のモンベル124店舗で山岳遭難防止の啓発を行う
3/13(水)宮城県警、日本山岳ガイド協会と協定を結び「コンパス」の運用を開始
3/14(木)神戸市とNTTドコモがICT(情報通信技術)を活用した事業提携協定を締結。六甲山系において遭難対策や救助活動への活用をめざす
3/14(木)茅野市、諏訪東京理科大学などと提携したドローンによる「山岳見守りシステム」の実証実験を北八ヶ岳坪庭で実施
3/18(月)長野県警、YAMAPと提携し登山道の危険箇所をスマホ地図上に表示する試みを開始

[3月2週]バックカントリー遭難3件、死亡事故が多い

[3/5~11の遭難関係ニュースから]
3月第2週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。把握できた遭難事故は5件でした。うちバックカントリーは3件で、死亡事故が多くなっています。

●3月8日の事故は日本雪崩ネットワークに調査速報が掲載されています。発生現場は乗鞍天狗原への登路となっている尾根のひとつ西側の沢、標高2050m地点でした。単独滑走の危険性とともに、滑走時にポールのリストバンドをしないこと(体が雪の中に引き込まれる)が勧められています。

●3月9日のボーダー滑落事故は、標高2300mというと「上ノ樺」付近の北面、八方沢源頭の斜面で発生したものと思います。死亡した48歳男性は数百メートル滑落、重傷の32歳男性は数十メートル滑落したそうです。事故は午前中に発生し、目撃者が12時20分に通報しました。数百メートル流されるとは、それほど雪質が危険なものだったのでしょうか。

八方沢源頭の斜面、上のピークは丸山(2019/2/24)

●南アルプスの大岩山は、日向山から鋸岳三ツ頭に至る長い稜線上にある山です。古い地図にはこの稜線に破線記号がついています。現在は廃道でしょう。フランス人とチュニジア人の2人が、なぜこのような無名のピークに登ろうとしたのでしょうか? 廃道ルートの登山(しかも雪山)が流行しているのでしょうか? 謎ですが、現代の山岳遭難を読み解くカギのひとつが隠されているような気がしています。

3/5(火)長野県消防防災ヘリ墜落事故から2年、松本で追悼式が行われた
3/6(水)ナンガパルバットのママリールート(未踏)に挑んでいた登山家2人が、2/24以降行方不明になっていると報じられた
3/8(金)谷川岳の危険地区での登山が3/16から4/26まで禁止される
3/8(金)白馬乗鞍岳でバックカントリーの男性(40代)が雪崩を誘発し埋没。事故に気づいたガイドらが救助するが意識不明の重体
3/9(土)尾瀬・燧ヶ岳でバックカントリースキーの男性(44)が遭難し、3/10山頂付近で雪に埋もれた状態で発見、のち死亡確認。雪崩の可能性が高い
3/9(土)八方尾根でスノーボード滑走中の男性2人が標高2300m付近から滑落。男性(32)は右脚骨折などの重傷、男性(48)は全身を強く打ち死亡、3/10収容
3/10(日)南アルプス聖岳に単独で入山した男性(56)が下山せず、警察に届け出。3/11自力下山
3/10(日)南アルプス大岩山に登っていた外国人男性2人(30代、フランス人、チュニジア人)から「寒さと疲労で動けない」と連絡あり。3/11自力下山中を発見救助

[2019/03/21追記]
メッセージにてUさんよりご指摘いただきました。――南アルプス・大岩山に関して、地図には載っていないものの、日向山から大岩山~烏帽子岳~三ツ頭間は登山道として整備され、黒戸尾根と結んで周回できるようになっているそうです。

詳細な情報は、ネットにいくつもありました。
・尾白川流域をぐるっと囲むこの周回コースは、距離にして24-25km。一般の登山地図では三ッ頭から大岩山までの間はルートが書かれていませんが、実際にはよく整備されており、問題なく歩ける状態でした。
・甲斐駒ヶ岳に黒戸尾根から登って日向八丁尾根を下るワンデイ周回コース(中略)プチバリエーション志向の山屋の間では近年人気のルートのようです。
(以上「塾長の参考記録」2018年9月17日の項 https://juqcho.jp/climbing/2018/20180917.html)

トレランブームの影響を受けて、黒戸尾根~甲斐駒~烏帽子~大岩山~日向山の周回コースを1日で歩く(一部走る?)ことが挑戦されているようです。しかし、さすがに積雪期に1日では難しいと思うのですが……。
現在は登山行為の幅が拡大すると同時に、メディア上で多くの情報が拡散され、そこに年齢・性別・実力・経験もさまざまなタイプの登山者が関わるようになっています。そういう背景のもとで遭難事故多発の状況が起こっていることがわかりました。

日光白根山 2019年3月18日

01:山頂駅から白根山。中央が地獄薙の大ガレ

丸沼高原スキー場のロープウェイ山頂駅舎から外に出ると、3つのピークがある白根山が正面に見えます。中央に地獄薙の大きなガレが落ちています。

02:立派な鳥居をくぐって山道に入る
03:気持ちのよい森の中のトレース

立派な鳥居をくぐり、針葉樹の森のトレースに入ります。出発する人たちはスタートからアイゼンをつけていました。私はスノーシューでスタートしました。
雪のない時期にも歩いたことがあるルートで、樹林帯の雰囲気のよさは知っていました。しかし、今日はロープウェイの終発時刻である15時30分までに戻る必要があるので、のんびりと歩くことはできません。40分ほどで七色平分岐に着きましたが、写真だけ撮って先へ進みました。

04:トラバースの途中で、地獄薙と思われた場所

地獄薙のガレは雪におおわれていて気づかず通過しました。ずっとトラバース主体で登っていき、時おり樹間から遠くの山が見えました。樹林限界に近づいた所で、展望のよいポイントがあったので大休止にしました。七色平分岐から1時間でした。行動食をまとめて食べ、ポカリスエットを飲み、アイゼンをつけました。

05:森林限界から上部斜面、中央の雪のルンゼがルート
06:雪のルンゼを登る。ここから先行者は左へトラバースした

樹林限界に出ると、真上に特徴的な雪面が見えます。無雪期には浅いガレのルンゼなのでしょう。その時には気づきませんでしたが、夏道のジグザグの跡が写真に写っていました。先行者は雪面の右端を直登して、途中から南峰(左上のピーク)へトラバースしていました。私はトラバースせずに上部まで直上し、南峰の右側の鞍部にトラバースしました。前日までのトレースは風で消えているので、ここはルートを自分で決めて登らなくてはなりません。

07:山頂直下、白根権現の横から

長く感じますが、40分ほどの登りで上に出ると白根権現の祠がある南峰の一角です。目の前にある頂上へ、少し下って10数メートル登り返します。

08:山頂からの展望(1)男体山と中禅寺湖
09:山頂からの展望(2)五色沼と表日光連山(左から太郎山、女峰山、大真名子山)
10:山頂からの展望(3)真っ白な飯豊連峰
11:山頂からの展望(4)弥陀ヶ池と燧ヶ岳、右に奥只見、左に荒沢岳

快晴になり、すばらしい展望でした。近くの男体山や表日光連山が目を引きますが、反対側遠くには豪雪地である上越~奥利根~奥只見~会越の白い山々が輝いています。遠い一角に独立した白い船のように浮かんでいるのは飯豊連峰です。

12:白根山の北面、この斜面に下るまで40分ほどかかった

山頂でもあまり長休みせず、思い切って北面へ下りました。トレースは薄くなり、岩場のルートファインディングに神経を使いました。幸い雪が少ないため、所々に夏道を区切るロープが見えています。しかし、岩稜からルンゼに急下降する所では危険を感じて、ポールをしまいピッケルに持ち替えました。ここで頂上にいた2人(比較的若い人)が追い着き、先行して下っていきました。私が北面へ降りたので追いかけてきたのでしょうか? 最初から北面へ下る予定だったとは思えません。
ルンゼへ入る初めの4~5mが少し危険ですが、滑落しても下で傾斜がゆるむので止まりそうです。それよりも、ここは雪崩地形なので、積雪の多いときには注意が必要でしょう。
ルンゼを下って右側の斜面に抜けると、あとは普通の雪の斜面でした。いつしかトレースは消えて、ラッセルになってしまいました。スノーシューに替えてのんびりと下り(急いでも疲れて続きません)、先行の彼らに追いつくことはありませんでした。

13:賽の磧(かわら)付近の樹林帯

七色平分岐で彼らは左折していましたが、別のトレースがあったので、私は右折して賽の磧(かわら)方面をめざしました。こちらは正規ルートから外れたり戻ったりしている迷いトレースでした。どうにか賽の磧まで下り、登り返してゴンドラ山頂駅に出たのは15時25分という、ギリギリの状況になってしまいました。

青線が予定していた北面の下山ルート(おおむね地形図の破線記号)、赤線が実際に歩いたトラックの記録。外れている箇所があるが、どうにか山頂駅に戻ることができた

[登るための注意点]
・ロープウェイは8:30~15:30運行(悪天候などで変更の場合もある)。乗車券はICカードで往復料金¥2000+保証料¥1000を支払います。
・乗車券購入時にインフォメーションで登山届を提出する必要があります。
・インターネットなどで登山届の手続きをしている場合は、その内容を印刷したものを提出できます。書類をあらかじめ用意したほうがいいでしょう。
・ロープウェイ最終に乗れなかった場合はスキー場内を徒歩で下りますが、往復料金は返金されません。
・下山後インフォメーションでICカードを返却すると¥1000を返金します。

[注]『入門&ガイド 雪山登山』の訂正事項
(1)アクセス:ロープウェイ運行時刻が変更されています。
  「2011年は8:30~16:00」× → 「2019年は8:30~15:30」
(2)追加情報:
  「下に見えるスキー場を約1時間下ってスキー場下へ」×
    →「南側の斜面を登り返して山頂駅へ約25分」

[3月1週]2月後半以降、乗鞍岳で遭難連続

[2/26~3/4の遭難関係ニュースから]
3月第1週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。(1週間遅れになってしまいました)

●2月後半以降、乗鞍岳で滑落遭難が連続発生しています。2/19男性(47)、2/24男性(54)、2/25男性(34)、2/26男性(42)、3/2男性(50)=スキー滑走、すべて転・滑落で死亡事故はなく、けがの程度は不明です。
2/25と3/2の事例については、長野県警から遭難現場の写真が公開されていて参考になります。転倒後長距離にわたってアイスバーンの上を流されていることが推測されます。
乗鞍岳は北アルプスの中で初級ルートに位置づけられますが、3000m級の標高と強風帯にあるため、雪面が硬く氷化している状況が予想されます。確実なピッケル・アイゼン技術が重要です。

●2月27日に滑落事故があった円山は、札幌市中央区にある標高225mの低山です。登山というより、市民の行楽の場となっている場所です。

●3月1日の志賀高原旭山は、琵琶池西岸にある標高1524mの山で、車道の登山口から約50分で登れます。スノーシューハイクの山として注目されているようです。

●北アルプスの稗田山は、白馬コルチナスキー場のトップにある山ですが、今シーズン遭難が何度か発生しています。コルチナスキー場ではコース間の樹林帯エリアをパウダー滑走のできる「自己責任エリア」として開放しています。このためスキー場の「管理区域外」を滑走することが活発に行われているものと推測されます。

2/26(火)乗鞍岳剣ヶ峰から下山中の男性(42)が滑落負傷。県警ヘリが救助
2/27(水)円山(札幌市)を下山中の女性(40代)が滑落負傷。消防ヘリが救助
3/1(金)志賀高原旭山に単独で入山した男性(44)が道迷い遭難。3/2自力下山
3/2(土)富士周辺熊森山に単独で入山した女性(66)が戻らず行方不明。3/4自力下山
3/2(土)北アルプス稗田山でスノーボード滑走していた女性(37)が崖から転落負傷。スキー場隊員が救助
3/2(土)乗鞍岳でスキー滑走中の男性(50)が滑落負傷。県警ヘリが救助
3/3(日)谷川連峰白毛門山を下山中の男性(70)が50m滑落し死亡。事故当時は視界不良、男性は登山経験50年
3/3(日)八ヶ岳・天狗岳で男性(26)が道迷い遭難。3/4自力下山