荒井沢市民の森から北鎌倉

赤の番号は写真を撮った場所を示しています

(歩いた日=2019年6月21日)
横浜市栄区にある荒井沢市民の森と、鎌倉の散在ヶ池森林公園、六国見山森林公園を結んで歩きます。行程が里山散歩としてはやや長く、軽い1日のハイキングになります。時間があったら、北鎌倉の美しい寺社を訪ねてもいいでしょう。

港南台駅の駅前バスターミナル1番乗場から、「桂台中央」へ行くバスに乗ります。バス路線は桂台中央循環(港81/港82)、上之経由桂台中央行き(港83)、本郷車庫前経由桂台中央行き(港33)などたくさんあります。
「桂台中央」でバスを降りたら桂台小学校前の交差点のほうに進み、洗井沢川をめざして行きます。周辺一帯が環状4号の工事で変化していて、車道が一部地図とちがっている箇所があります。
10分ほどで洗井沢川に下りて橋を渡り、左折して車道に入ると畑が広がっています。畑の左側の昔の道路に沿って歩いて行きます。道路の歩行者用スペースが緑色に塗られていて、「洗井沢川せせらぎ緑道」に指定されています。
5分ほどで、左側の岩を掘り込んだ中に庚申塔などが置かれています。さらに5分ほどで、左の山のほうに大規模な露頭(崖)が見られます。地層がはっきりと見えます。昔クライミングで登られていたという情報がネットにありました。

(1)洗井沢川小川アメニティの小径

このあたりから車道の右側には、小川の流れに沿った「洗井沢川小川アメニティ」のコースが作られています。左側にライフコート栄があって、そこに「荒井沢市民の森」の看板がかかっています。
しばらくして炭焼き広場と極楽広場の分岐になります(道標あり)。左の極楽広場のほうに行きます。すぐに「横浜永久の杜(もり)」の墓地の門の前で左折します。
ライフコート栄の駐車場を右側に過ぎ、その先で車両進入禁止になり小さな畑があります。ここが荒井沢市民の森の入口ですが、看板などは何もありません。

極楽広場の先にあるカエル池

数分進むと極楽広場に着きます。ここに市民の森の看板と簡易トイレがあります。簡易トイレとはいえ男女別で掃除がゆきとどき、手洗い用の水が使えます。すぐ先にカエル池があります。湧き水らしく、けっこう水がきれいです。

(3)古い地層が見られる道。新生代第三紀に浅い海で堆積した交互層だそうです
(4)谷戸田に水を供給していた溜池跡の湿地。今はホタルが多く出ます

左側は田んぼになります。小さな流れを右にして歩道を歩いて行きます。田んぼが終わると湿地で、ここから奥がホタルの多い一帯です。歩道の右には砂岩・礫岩層とシルト岩層が交互に重なったという数百万年前の地層が見られます。このあたりには浸食されずに残った硬い岩盤があるようです。
湿地が行き止まりになって、階段で奥の稜線に上がります。その上で道なりに左折し、左側の斜面から木の階段で湿地帯に下ります。木道を歩いて行くと「谷戸田の池」の表示があります。昔の溜池が乾いて、今は湿地になっています。

この先で谷戸は終わり、突き当たって右に曲がります。「皆城山、炭焼き広場」の道標があります。沢を橋で渡り、階段をしばらく急登します。
10分ほど登るとササヤブの中に皆城山展望台の分岐があります。展望台はすぐに往復できます。北側の町の眺めが開け、みなとみらいや新横浜方面も見えます。
皆城山から戻ってササヤブの中を抜けると、稜線上の道になります。少し行くと三差路になって、「右・炭焼き広場、直進・鎌倉市境尾根道」とあります。市境尾根のほうへ行きます。

(5)北鎌倉への市境尾根を歩く。左の梢越しにゴルフ場が見えます

約5分でまた三差路になって道標があります。鎌倉、散在ヶ池へ行きます。途中で稜線の右側に畑が広がった所に出ます。左側はゴルフ場が木の間越しに見えます。
約10分でまた三差路に着き「右・本郷台、左・鎌倉方面」とあります。鎌倉方面のほうが細い山道ですが、そちらへ行きます。

(6)市境尾根からの下降ポイント。道標はこれしかなくルートミスの危険あり

すぐ先(2分ほど)で山道が左右に分かれています。ここは迷いやすく要注意です。
[右]稜線上を2~3分進むと小ピーク(標高約100m)で、左に90度曲がる踏み跡が分かれます。「鎌倉方面」と書いた小さい板が幹につけられています。左に行き、南向きの支尾根沿いに下ります。
[左]稜線の左側を巻いて、小ピークから下ってくる道と交差し、さらに白山神社方面へ続いています。散在ヶ池へ行くには交差ポイントで左折しなくてはなりませんが、そこに道標はありません。
雑木林の中を下り、10分ほどでバス道に下りると、右手に「今泉不動」のバス停が見えます。下りた地点の少し左から、右(南方向)に分岐する車道を行きます(道標あり)。100mで右側に散在ヶ池森林公園(通称・鎌倉湖)の北口があります。バス道から分かれて公園に入ります。

(7)「せせらぎの小径」の崖にイワタバコ咲く。愛犬とお散歩の人がいた

すぐに、散在ヶ池へ直接行く道と、右へ下りるせせらぎの小径とに分かれます。せっかくなのでせせらぎの小径を歩いてみましょう。きれいな流れと森の景色が見られます。水辺の岩壁にイワタバコが群生していました。

(8)散在ヶ池(さんざがいけ)、別名鎌倉湖とも呼ばれます

せせらぎの小径から登って車道に戻ると、そこが散在ヶ池になります。のんびり小径と馬の背の小径に分かれますが、のんびり小径を行きます。入口に管理事務所(地図などが入手できます)とトイレ、水飲み場があります。

(9)森林公園南口への分岐(上から下を見ています)。左は馬の背を下降する道

のんびり小径は前半で池が見下ろせ、途中にイワタバコの群落があります。森林には植栽した木もあって、いろいろな種類の木が見られるようです。後半は山腹の森をトラバースする山道を歩き、30分ほどで一番南側、馬の背の小径との合流点に着きます。南口出口の看板があり、ここを左へ行きます。右へ行くと馬の背の小径を下って戻ることになります。
続いてまた道標があって、右が「パノラマの小径」、左が「天園ハイキングコース400m」とあります。左へ行くと南口の出口になります。
南口には散在ヶ池森林公園の看板が立っています。車道に出たら右にゆるく下って行きます。50mほど行くと、頭上に送電線がある所で左に天園ハイキングコースが分かれます。左折してハイキングコースのほうへ行きます。100mほど直進してバス道路(バス停「半僧坊下」)へ出たら、右折して大船方面へ行きます。
しばらく200mほど進むと、メイン道路は右斜めに曲がり、左右から細い道路が合流しますがメイン道路をそのまま進みます。左右からいくつも道路が合流しますが、かまわずまっすぐに進みます。正面に見える山が六国見山です。400mぐらい歩いて突き当たったら右へ曲がります。100mほどで突き当たって十字路になりますが、左へ曲がります。あとはしばらく道なりに歩いていきます。
山に突き当たったら、山裾を取り巻く車道を左に曲がります。看板が立っていますが指示内容がよくわかりません。車道が左右に分かれて、右へ登っているほうへ入ります。左手に鎌倉アルプスがきれいに見えています。

(10)六国見山(ろっこくけんざん)登山口、小さな道標がありました

最後の人家の前で車道は終わり、右に登る細い山道があって、入口に小さい道標が一つ立っています。

(11)六国見山頂上にあった花。名前不明、葉っぱはアザミににている

山道に入ると鬱蒼とした森に囲まれます。散在ヶ池の森よりも古く幽すいな感じがします。わずか10分ほどで山頂に着きますが、展望のない森の中に三等三角点と私製の小さな表示板があるだけです。葉がアザミに似ている見たことのない花が、山頂周辺にだけいくつも咲いていました。

(12)稚児の墓の横に寄り添っていた大木

山道を進むと稚児の墓に着きます。相当古い石塚で、文字が全く読めなくなっていました(奈良時代のもののようです)。墓に寄り添って常緑広葉樹の大木が立っています。ここからは山道の整備が行き届いていて、鎌倉観光のエリアに入ったことが感じられます。

(13)展望台広場の小山へ登る道
(14)展望台広場から鎌倉方面、由比ヶ浜と海も見えました

稚児の墓から約80mで展望台のある広場に着きます。展望台に立つと鎌倉から西鎌倉の山や森、街並みが眺められます。展望台の下に道標があります。来た方向から反対側へ進むと、北口から大船へ行きます。

(15)南口へ下るルート、ササのトンネルをくぐる

南口(北鎌倉)は、展望台下で左に曲がって山道を下ります。すぐササがおおいかぶさった箇所を通ります。10分ほどであっけなく南口に下り着きます。
南口から車道へ出たら右へ行きます。280mほど進んで、突き当たったら右に曲がって、すぐ左に曲がります。道なりにゆるく下って行くと、広い道路に出る手前の左側に白い道標が立っていて、(下から見て)「右・北鎌倉駅方面、左・六国見山」となっています。この道標に従って北鎌倉方面へ行きます。(ここで、広い道路へ出てから左折すると、かなり遠回りになります)
左折した道は、途中から車の通れない歩道になって、その先で見晴らしのよい石の階段を下っていきます。降りると1車線の細い車道になります。道なりに下って行くと権兵衛踏切に着きますので、その手前で左に曲がります。

(16)北鎌倉駅へ行く線路の北側の道

線路に沿ったこの道は、素掘りのトンネルをくぐって北鎌倉駅の円覚寺側に着く雰囲気のある道でしたが、2019年3月現在、トンネルが通行止めになっています。そのため、権兵衛踏切か、もう一つ駅寄りの踏切から線路の反対側へ出て、鎌倉街道から駅へ行きます。

(17)明月院の青いアジサイ①
(18)明月院の青いアジサイ②

[アクセス] 行き:港南台駅(神奈中バス15分)桂台中央、または大船駅東口(神奈中バス16分)桂台中央/帰り:JR横須賀線北鎌倉駅
[参考時間] 「桂台中央」バス停(35分)荒井沢市民の森・極楽広場(35分)皆城山展望台(25分)市境尾根下降点(15分)散在ヶ池森林公園北口(<せせらぎの小径経由>20分)管理事務所(30分)南口(25分)六国見山登山口(10分)六国見山(15分)展望広場(10分)六国見山森林公園南口(25分)北鎌倉駅 計4時間5分
[追加情報]
・「桂台中央」バス停から市民の森への近道(約20分)がありますが、本格的な山道で、山歩きに慣れた人でないと勧められません。
・北鎌倉駅円覚寺側の素掘りトンネルは危険なため通行止め(2019年6月現在)。線路北側の歩道から駅構内には入れますが、駅外へは出られません。円覚寺、明月院などへ行きたい場合は、駅手前の踏切を渡って一度鎌倉街道へ出る必要があります。
・北鎌倉駅から円覚寺、東慶寺はすぐ、浄智寺は徒歩6分、明月院は12分、建長寺は20分です。

2018年度山岳遭難発生状況

6月13日付で警察庁から昨年(2018年)の山岳遭難統計が発表されました。

(1)全体数

図1 過去10年間の山岳遭難発生状況

遭難件数………………2661件(+78) 3.0%増
遭難者数………………3129人(+18) 0.6%減
死者・行方不明者数… 342人(-12) 3.4%減
死者・不明者の割合…10.9%
遭難件数・遭難者数は統計開始(1961年)以来で最も多くなりました。2015年以降、2500件超、3000人クラスの多発状況がずっと続いていましたが、2018年はさらに増加傾向が出てきています。遭難件数で3%増は、高い率だと思います。
一方、死亡者数(行方不明者を含む)の遭難者総数に占める割合は10.9%で、2016年に並んで史上最低となり、山岳遭難救助における救命率が高いことを示しています。しかし、救命率が約11%ということは、遭難してしまったら10人に1人以上の高い率で助からないことを意味します。登山をはじめ、山岳レジャーとは大変危険なものであるといえます。

(2)年齢層別状況

図2:年齢層別遭難者数(2015年・2018年)

10歳ごとに区切って遭難者数の分布を見ると、最多は70代、2番目に60代が多いですが、ほとんど同レベルで並びます。次いで50代、40代、30代の順になっています。
警察庁統計では、次の点が指摘されています。
・遭難者のうち、40歳以上が2457人、全体の78.5%を占める。
・遭難者のうち、60歳以上が1581人、全体の50.5%を占める。
・死者+不明者のうち、40歳以上が325人、全体の95.0%を占める。
・死者+不明者のうち、60歳以上が246人、全体の71.9%を占める。
しかし、遭難者数の大小は、登山人口の大小に対応していると考えられます。
遭難者数が多いからといって、その年齢層が「遭難しやすい年齢層」だとすることはできません。上記のデータを根拠に「高齢者が遭難を起こしやすい」と断定するのは、正確ではない考え方だと思います。
図2のグラフは、参考として3年前のデータを並べてあります。2015年(赤)と2018年(緑)とを比較すると、増加幅の大きいのが50代と70代、減少しているのが60代となっています。

図3 年齢層別遭難者数と比率の推移

(3)年齢層別状況の変化

もっと長期間にわたって年齢層別の変化を見たのが図3です。比率の推移(下のグラフ)を見ると、60代は大きく比率を下げ、50代も比率を下げています。逆にアップしているのが70代と40代です。
厳密に分けられるものではないですが、70代は国内で人口が最も多い年齢層(いわゆる団塊世代)に近く、40代はその子供の世代に近いと推測できます。
2018年は60代と70代の遭難者数がほぼ同数、同比率になりました。山岳遭難を抑止するには、この年齢層への遭難防止対策が重要になると思います。

(4)態様(原因)別状況

図4 態様(原因)別遭難者数(2018年)

「態様」とは警察庁統計にある用語で、遭難の形態をさしています。遭難原因と意味が重なる場合もあります。
図4のように、いろいろな遭難態様(原因)がありますが、内容の近い「転落」と「滑落」、「疲労」と「病気」を合わせて、次のようにまとめられます。カッコ内は前年度と比較した増減数です。
①転・滑落…… 644人(+ 20) 20.6%
②転倒………… 468人(- 1) 15.0%
③道迷い………1187人(- 65) 37.9%
④疲労・病気… 513人(+106) 16.4%
以上4種類の合計で、全体の約90%となります。
遭難原因で一番多いのは「道迷い」です。しかも、他の要因「滑落」「転倒」「疲労」「病気」も道迷い状況から引き起こされるケースがあり、それらは統計上「道迷い」ではなく、帰結となった態様のほうに分類されることが多いです。現代の山岳遭難において、「道迷い」は大きな引き金になっている、注意すべき遭難リスクといえます。
しかし、その「道迷い」にも、減少傾向が見られるようになってきました。地図を使える迷わない人、迷っても遭難以前でくい止められる人が増えているのではないでしょうか。

図5 態様(原因)別遭難者数と比率の推移

(5)態様(原因)別状況の変化

図5は13年間にわたる態様(原因)別遭難者数の推移です。遭難者全体が増加する中で、特に「道迷い」が大きく増加してきました。増加率はそれよりも鈍りますが、「転・滑落」「転倒」「病気」「疲労」も増えてきました。それに対して、その他の態様(落石、悪天候<落雷、鉄砲水を含む>、野生動物襲撃、雪崩)は増えていません。
何年も増加を続けてきた山岳遭難は、落石、悪天候、雪崩のような古典的遭難ではなく、上記①~④(なかでも「道迷い」)が増えてきたのでした。
図5下のグラフを見ると、2015年ごろから「道迷い」の比率が変動し、小幅ですが下降傾向が表れてきました。逆に「疲労」「病気」はわずかながら上昇傾向、「転・滑落」「転倒」はほとんど一定率を維持しています。
「道迷い」対策は、一種の流行現象とも見られるほど、登山教室や講習などが活発に行われてきました。今後は、「転倒」「転・滑落」「病気」「疲労」への対策も充実させてゆくことが重要ではないでしょうか。

[6月4週]低山や観光に準ずるエリアでの滑落事故

[6/18~24の遭難関係ニュースから]
6月第4週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

相変わらず山菜採り遭難が多く、登山の遭難は比較的軽度なものにとどまっています。その中で、低山での遭難が目につきました。6/18愛知県設楽町の低山で発生した滑落事故は、2m程度の滑落でしたが、肺挫傷で死亡しています。この遭難は、道迷いから沢を下降しての事故との推定もあります。6/21新潟・白根山での滑落事故も、道迷い~沢下降でのものでした。6/21中津川市付知町での滑落、6/23西会津大山祇神社での滑落も、本格的登山とは異なる状況下で起こっています。

6/18(火)戸隠山で男性(31)が登山中にバランスを崩し滑落負傷。県警ヘリが救助
6/18(火)長野県木島平村の山林内で山菜採り中の男女(81・71)が道に迷い行動不能。県警ヘリが救助
6/18(火)愛知県設楽町荒尾の山中で男性(66)が「背中を打って動けない」と通報。3H後近くの沢で発見、搬送後死亡
6/19(水)北アルプス栂池高原で女性(63)が山菜採り中に仲間とはぐれ、斜面で滑落し負傷。県警ヘリが救助
6/20(木)奥鬼怒・黒岩山で男性(72)が宿泊予定の日光沢温泉に到着せず、旅館が通報。6/22防災ヘリが救助
6/20(木)長野県須坂市米子の山林で男性(77)が山菜採り中に連絡不通、行方不明となる。6/22発見救助
6/21(金)白根山(新潟県三条市)で女性(70)が仲間からはぐれ道に迷ったうえ沢に滑落。6/22防災ヘリが発見救助
6/21(金)岐阜県中津川市付知町の渓谷で男性(56)が現地調査の仕事を終え渓谷沿いを下山中に10m滑落、多発外傷で死亡
6/22(土)蓼科山を下山中の男性(58)が転倒負傷。茅野署・諏訪広域消防が救助
6/23(日)大山祇神社参道を仲間10数人で登山中の男性(55)が斜面から30m滑落、右腕骨折など
6/23(日)北アルプス蓮華温泉付近の山中で姉妹(56・67)が山菜採り中道に迷いはぐれる。6/22妹は自力下山、姉は行方不明

[7/9追記]
6/22(土) 鳥海山鉾立ルート河原宿周辺の雪渓で男性(43)が道に迷う。通報約4時間後に県警ヘリが救助
6/23(日) 蔵王連峰五色岳~熊野岳間で女性(47・46)が道に迷い110番通報。中丸山の山中で引き返し中に発見救助
6/23(日) 黒部ダム中ノ谷付近で女性(77)が登山道から10m滑落、自力で戻れなくなる。警備隊員がロープで救助
6/24(月) 早池峰山小田越一合目付近で女性(69)が転倒し後頭部を打つ。レンジャーらが付添い下山後、病院へ搬送

[その他のニュース]
6/19(水)山梨県の1~5月の山岳遭難者数が過去最多ペースだそうです。1~5月の山岳遭難者数は53人で、過去最多だった2017年の同期数を7人上回っています。死亡者数11人も、過去最多の2017年12人に迫ります。遭対協関係者は「4~5月の春山で残雪が多く、技術や経験が不足している登山者が遭難するケースが多かった」と言っています。

6/22(土)<奈良県> 2018年の遭難発生数は53件、遭難者数69人、いずれも過去5年間で最多でした。死者9人、重傷9人、軽傷14人でした。ちなみに過去10年間では発生件数で最多、遭難者数で第2位(最多は2013年114人)でした。

6/22(土)南アルプスの県道南アルプス公園線で21日に落石があり、7:30より野呂川橋~奈良田(開運トンネル)感が通行止になりました。奈良田~広河原間バスも運休中です。復旧の見通しは未定。

6/24(月)富山県と富山県警は日本山岳ガイド協会と協定を結び、インターネットによる登山届システム「コンパス」が富山県でも利用可能になりました。外国人向けに6カ国語で対応可能だそうです。条例に基づく剱岳危険地区への登山届、努力義務になっている立山室堂地区への入山届も、コンパスで行うことができます。また、7月から登山ルート上に「スマート山岳道標」という装置を設置し、アプリを入れた端末(携帯電話)が通過すると記録されるシステムを運用開始する予定です。

気にかかった遭難事例

6月18日15時ごろ、愛知県設楽町荒尾の山中で男性(66)が「2mほど滑落して背中を打って動けない」と、本人から110番通報がありました。約3時間後、登山道から外れた沢で発見され、病院へ搬送後死亡が確認されました。死因は肺挫傷。
発見場所が登山道から外れた沢ということで、道迷いから沢を下降して滑落した可能性が考えられます。道迷いで非常に多いミスのパターンです。
報道では山名が書かれていませんが、住所近くにある山は岩古谷山(799m)です。登山口からの標高差300m弱、典型的な低山です。このような山でも道迷いや滑落死亡事故の危険性があることを、登山をする人はしっかりと学ぶ必要があります。
地元近いと思われる東海白樺山岳会のブログで、この遭難について論評がありました。また、このブログで、愛知県警設楽署が公開している「北設楽郡登山安全マップ」の存在を知りました。このような地域密着のデータは、登山者の意識に働きかけると思います。

北設楽郡登山安全マップ(愛知県警設楽署公開)

[6月3週]危険度が高い深山での道迷い遭難

[6/11~17の遭難関係ニュースから]
6月第3週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

比較的遭難が多い状況が続いています。登山での遭難事例は、北アルプス(周辺も含む)で3件、足尾山塊の皇海山で2件、低山の遭難は南会津・二岐山の1件だけでした。山菜採り、タケノコ採りの遭難が、特に北海道で多発しているため、全体で山の遭難が多い印象になっています。
山菜採りでは、行方不明者(未発見)、死亡者も出ています。山菜採り、タケノコ採りのほうが、一般コースからの登山よりも、危険性が高いといってまちがいないでしょう。

6/11(火)北アルプス大天井岳で男性(66)が残雪状況を確認中にバランスを崩し滑落負傷。県警ヘリが救助
6/13(木)長野県高山村の山林で男性(70)が山菜採りのため単独で入山したまま行方不明。須坂署員などが捜索
6/13(木)志賀高原雑魚川で男性(56)が渓流釣り中に岩の上から転落し負傷。県警ヘリが救助
6/14(金)足尾・皇海山に向かった男性(59)が下山せず。6/15未明に家族が通報、捜索中
6/14(金)足尾・皇海山で男性(59)が道に迷い山中をさまよう中で転倒骨折。6/20発見、県警ヘリが救助
6/14(金)奥裾花・東山を下山中の男性(48)が道に迷い行動不能。県警ヘリが救助
6/15(土)北海道滝上町上紋峠付近で女性(75)がタケノコ採りで入山し行方不明。6/16頂上から1.5Hの所で遺体発見
6/15(土)北アルプス白馬鑓温泉から下山中の男性(37)が滑落負傷。大町署救助隊、県警ヘリが救助
6/17(月)南会津・二岐山で男性(70代)が仲間2人と別ルートで下山中に道に迷う。6/18携帯が通じ無事救助
6/17(月)長野県高山村の山林で男性(71)が山菜採りのため入山中、道に迷い行動不能。県警ヘリが救助

[7/9追記]
6/13(木)千歳山(山形市)善光寺岩付近で男性(88)が下山中に転倒し顔などを負傷。通りかかった男性が119番通報
6/14(金)北アルプス僧ヶ岳烏帽子尾根1550mで男性(32)が死亡しているのが発見される。死因は低体温症
6/15(土)朝日連峰祝瓶山荘の北30分地点で渓流釣りの男性(69)が下山中に倒れ意識不明となる。病院で死亡確認
6/17(月)富士周辺・本社ヶ丸で男性2人(74・72)が下山中に道に迷う。6/18県警ヘリが発見救助。1人が右脚に軽傷
6/17(月)南アルプス笹山で男性(82)がビバーク中に体調不良となり動けなくなる。県警ヘリが捜索し救助

[その他のニュース]
6/10(月)群馬県で「防災航空センター」が新設され、開所式が行われました。群馬県では昨年8月に防災ヘリ墜落事故が発生し、同ヘリの運航が中止されています。防災航空センターは、後継機導入後の運航・安全管理を担う施設だそうです。

6/13(木)警察庁が2018年の山岳遭難統計を発表しました。2018年に全国で発生した遭難は2661件、遭難者総数は3129人で、ともに統計開始以来最多となりました。遭難者の年齢層は60~70代が最も多くなっています。
※以下、カッコ内は前年比の増減数
<山梨県> 遭難件数145件(-16)、遭難者数175人(-5)、死者・不明者29人(-2)。件数・遭難者数は過去3番目に多くなりました。(山梨県では、ここ2~3年で遭難が大幅に増加しています)
<福島県> 遭難件数69件(+14)、遭難者数77人(+15)、死者・不明者10人(+1)。福島県では2018年に遭難が大幅に増えました。

●皇海山(すかいさん、2144m)
栃木・群馬県境のとても山深い位置にあります。メインの登山ルートも稜線に1本通っているだけで、低山のように入り組んだ枝道などはありません。このような山は、メインルートを外れて迷ったら、抜け出すのは本当に難しいです。6/9に事故があった鋸岳周辺は転・滑落の要注意箇所です。

●東山(1849m)
戸隠連峰の西側を流れる裾花川上流の右岸に、一直線に連なる山脈の中間点にある山です。奥裾花自然園から中西山を経て登山ルートがありますが、東山の手前で稜線が直角に曲がっていて、その曲がりを見過ごすと支尾根に引き込まれます。地形図を見ると末端は急斜面で岩記号が集中しています。遭難者はここに引き込まれたようです。ヤブが濃かったのかもしれません。

鎌倉中央公園から源氏山・大仏

赤丸の数字は写真の場所を示しています

(歩いた日=2019年6月17日)
鎌倉は観光地ですが、以前から代表的なハイキングコースとしても歩かれてきました。
里山公園として人気のある鎌倉中央公園から、源氏山公園と大仏とを結ぶ、緑豊かなハイキングコースを歩きます。桜の季節、アジサイの季節などは、楽しみが増すでしょう。

湘南モノレール・湘南町屋駅を出ると左に町屋駅前の交差点があります。そこを右へ入り登っていきます(駅前に中央公園案内図があります)。住宅地内のバス道路を歩き、「4番通り」の表示がある交差点を左折すると、中央公園の寺分(てらぶん)口に着きます。

(1)鎌倉中央公園、寺分口から広場方面
(2)あずまやのわきに咲いていたどくだみ

公園はとてもきれいに整備されています。寺分口から道なりに下っていくと、植物園を通って広場の所へ出ます。左右に通っているメイン道路を右へ向かいます。下池、湿性花園と休憩舎、管理棟の前を通って上池の右横を歩くと、右から清水塚口が合流します。
池が終わった所から左手の山のほうに向かいます。右側にトイレを過ぎ、登り切った所にゲートがあります。このゲートは午後5時45分で閉門されてしまいます。

(3)疎林広場

右に小さな作業広場(菌圃)があって、その先で土の道になって疎林広場へ下っていきます(道標あり)。広場を直進すると山を下る道になり、農業体験ゾーンに合流します。こちらのほうは里山環境が維持されているエリアです。耕作地、炭焼き、田んぼ、堰、周辺の山中に雑木林があります。

(4)山崎谷戸、市民が作っている田んぼ

休憩舎の前を右折して広場を通ると、田んぼが広がるきれいな里山風景になります。谷戸の奥の湿地帯へ進むと15分ほどで梶原口へ出られますが、戻って雑木林の森林散策路を歩いてみます。

(5)小段谷戸から梶原口へ上がる雑木林の歩道

田んぼの周囲の歩道を一周して、広場を少し戻り、左側の小さな谷戸から森林散策路へ入ります。こちらは雑木林の雰囲気を楽しめます。田んぼの奥から来るルートと梅林で合流して梶原口へ出ます。

梶原口には標識も何もありません。ただ木の階段を登って出てくるだけです。
公園内から出て右に向かいます。すぐ突き当たって道なりに左、右とカーブします。道の左側に森林を見ながら歩いて行きます。前方にも緑の山が見えています。斜めT字路に突き当たりますので左に行きます。さらにT字路に突き当たって右に行きます。
すぐまたT字路で左に行きます。今度は右側が森林になります。2車線の車道で車通りが激しくなります。しばらくまっすぐに行きます。
車道が左にカーブして下っていく所で、右側の岩に「銭洗弁財天」の道標がかかっています。そちらに(右に)曲がります。車道の左側には小さな手作りの道標があって「北鎌倉駅」と書いてあります。

(6)葛原岡神社から東方に見える山と森。森の中には神社やお寺がある
(7)日野俊基墓、メイン通路そばにあるが立ち寄る人は少ない

しばらくして源氏山公園の一角に出ます。すぐ近くに神社の建物が見え、葛原岡神社の正面に右横から合流します。神社前の休憩所付近から大平山方面の山が見える所があります。また、先ほどの合流点のすぐ近く(南側)に、神社で祀られている日野俊基のお墓があります。

車道をさらに進むと、分岐に「左頼朝像、右大仏」の道標があります。頼朝像(左)のほうへ行きます。右へ行くと大仏へのハイキングコースです(源氏山、銭洗弁財天を通らない)。
車道歩きですが、周囲は常緑広葉樹の立派な森で風格があります。車道がカーブする所に公園の入口がありますので、ここから源氏山を往復します。そのまま車道を行きますと銭洗弁財天のほうです。

(8)源氏山公園、化粧坂から登ってくる道

左に化粧坂(けわいざか)の切通しから登ってくるけわしい道が合流します。すぐ先で草原の上に頼朝像が鎮座していますが、権力を誇るかのように上から見据えた像でいやな感じです。
頼朝像の広場を過ぎるとスダジイの古木が左にあって、少し先の右側に大きなトイレがあります。そのまま左のほうにゆるやかに下っていき、右側に急な階段がありますので、それに入って登ると源氏山の頂上に着きます。

(9)源氏山山頂。訪れる人がとても少ないようです

頂上はだれのものかわからないお墓があって、後ろの木に「源氏山」と書いた小さな札がつけられています。北側だけ山の眺めが少し開けています。あまり人が立ち寄らないようです。下りは、頂上を直進して西側のほうに道が続いていますので、それを下ると先ほどのトイレの建物の前に出ます。

(10)銭洗弁財天

源氏山公園の車道入口まで戻り、左に急な坂を下ると、銭洗弁財天へ入るトンネルがあります。トンネルと鳥居をくぐって境内へ入ります。岩壁を掘り抜いて作られた珍しい神社です。境内は非常に狭く、いろんな所が雑然としていました。
境内の左奥の鳥居をくぐり石段を登って行きます。途中に道標がありますので「佐助神社」のほうへ左折します。

(11)佐助稲荷への道端にあった石段

細い道を通って住宅地に出ますが、そのまま直進して行きます。T字路に突き当たって、右を見ると赤い幟が立っていますので、そちらの佐助神社に行きます。左の電柱に「銭洗弁財天近道」のテープが貼ってありますが、佐助神社を示すものはありません。

(12)佐助稲荷神社の奥社(本社は立替工事中)

佐助神社の奥の院までは長い階段登りになります。奥の院を拝んだら、少し引き返した所に右へ上がっている分岐がありますので、そこから山の上へ登ります。この箇所は滑りやすい岩場を登ったりしますので、滑落の危険があると思い注意して登る必要があります。

(13)大仏へのハイキングコースに合流、ここまで少し迷いやすく要注意

5分ぐらい急登して山道に出ます。左は長谷集落へ下る道(集落から大仏へ行けます)、右へ行くと2分ほどでハイキングコースに合流します。

(14)コース途中で出会った立派な木①
(15)コース途中で出会った立派な木②

佐助神社からの歩道よりも広くて歩きやすく、緑の多い気持ちのよい山道になっています。途中の分岐に「カフェテラス樹(いつき)、この先50m」とありました。ここは左へ行きます。
左に有刺鉄線が張られた所に来ると残りわずかです。この付近から、下のほうに人家が見えるようになってきます。途中短い岩場があって、ロープなどが貼られています。1段下った所に道標が立ち「高徳院450m、長谷駅950m」とあります。
岩場が終わった所で沢沿いの山道に合流します。道標に従い左に行きます。
最後はかなり細い山道を通り抜けて階段のルートに合流します。右が大仏切通し150m、左が高徳院400m、長谷駅900mです。
大仏切通は約10分で往復できますが、あまり切通の形がわからないほどのものでがっかりするかもしれません。
ここから下って車道に合流すると、道標とハイキングコースを示すプレートがあります。大仏(高徳院)入口まで約5分、そこから長谷寺、江ノ電長谷駅までそれぞれ約10分です。

(16)山を降りてから大仏と長谷寺には行きました
(17)長谷寺のあじさいロードと人だかり
(18)長谷寺の境内から由比ヶ浜がきれいに見えます

[アクセス] 行き:大船駅(湘南モノレール4分)湘南町屋駅下車/帰り:長谷駅(江ノ電5分)鎌倉駅
※大船駅から路線バスで「丸山4番通り」「山の上ロータリー」へ、また長谷周辺から路線バスで鎌倉駅へ行くこともできます。
[参考時間] 湘南町屋駅(10分)鎌倉中央公園寺分口(30分)疎林広場(10分)農家風休憩舎(5分)田んぼ<1周10分>(20分)森林散策路経由梶原口(15分)銭洗弁財天分岐(10分)葛原岡神社(20分)源氏山(20分)銭洗弁財天(15分)佐助稲荷神社(5分)ハイキングコース(40分)ハイキングコース入口(15分)長谷駅 計3時間45分
※寺社参拝の時間は除きます。
[追加情報]
・中央公園の駐車場は予約制です。本コースはマイカー利用は向いていません。
・銭洗弁財天と佐助稲荷神社へ下りるのをやめて、源氏山公園(葛原岡神社)から直接ハイキングコースへ向かうのが正規ルートです。こちらのほうが静かなハイキングになります。

[6月2週]続々・山菜採り遭難多発のシーズン

[6/4~10の遭難関係ニュースから]
6月第2週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

前週と同じく、登山と山菜採り遭難がほぼ半々ずつ発生している状況でした。

6/7(金) 北アルプス白馬岳小雪渓で男性(59)が下山中に滑落負傷。大町署・遭対協が救助
6/8(土) 北海道滝上町の上紋峠付近で男性(78)がはぐれ行方不明。同行男性が警察に届出
6/8(土) =通報日/北海道蘭越町の山林で山菜採りの男女6人(40-80代)が遭難、4人無事救助、2人は捜索中
6/8(土) 浅間連峰前掛山を下山中の女性(66)が体調不良により行動不能。県警ヘリが救助
6/8(土) 北アルプス白馬岳の山小屋で女性(47)が体調不良になり行動不能。県警ヘリが救助
6/9(日) 北海道新十津川町の徳富ダム付近でタケノコ採りの男性(79)が行方不明。6/10発見、死亡確認
6/9(日) 鳥海山山麓でタケノコ採り中の夫婦(70・68)が道迷い遭難。6/10夫を遺体で発見、6/11妻が自力下山
6/9(日) 足尾・鋸山~皇海山間で先頭を歩いていた男性(68)の姿が見えなくなり行方不明。6/13登山道の130m下に滑落した遺体発見
6/10(月) 北アルプス唐松岳で女性(39)が滑落し負傷。県警救助隊が救助

[7/9追記]
6/5(水)白鷹山(山形県山辺町)で男児(10)が体験学習で石段を下山中に10m滑落、頭を打つ。消防などが担架搬送
6/9(日)北海道・上ノ国町で山菜採りの女性(67)が行方不明。18時前に警察官が声を聞き、防災ヘリが発見救助
6/9(日)川桁山(福島県猪苗代町)で男性2人(64・64)が道に迷い110番通報。県警・防災ヘリなどがに発見救助
6/9(日)越後・米山山頂付近で男性(69)が下山開始直後に足を滑らせ10m滑落。消防が出動するが無傷で救助
6/9(日)立山連峰浄土山2700mで女性(72)が雪の斜面を15m滑落し腰を骨折。山岳警備隊員が救助搬送

東北6県での山菜採り遭難多発について、産経新聞で報じられていました。6月3日現在での各県警まとめは以下のとおりで、6県合計で78件(遭難者数約90人)、死亡者数16人です。4~5月のほぼ2カ月間での発生ですから多発状況といえます。
青森 20件 3人死亡
秋田 21件 5人死亡
岩手  7件 ―
宮城  6件 2人死亡
福島  9件 3人死亡
山形 15件 3人死亡
北海道では6月6日現在で山菜採りの遭難者60人、そのうち死亡者6人となっています。死亡者数はすでに昨年1年間の死亡者数に並んでいるそうです。
これからタケノコ採りは本格的なシーズンとなりますから、引き続き遭難が心配されるところです。

[その他のニュース]
夏山シーズンのひと月前となり、いくつかの県で救助隊の訓練が行われたというニュースが報じられました。同時に、昨年度の遭難発生数など概況が発表されることが多いです。
<奈良県> 53件(69人)発生、死亡者9人。件数・人数は過去5年で最多、死亡者は平成12年の12人に次いで多い。
<石川県> 53件(54人)発生、死亡者6人、行方不明4人。60歳以上が76%(41人)を占めました。
<山梨県> 145件(175人)発生、死亡者25人(昨年より5人減)、行方不明4人(同3人増)。過去最多だった前年より減少したものの、過去3番目に多かったそうです。また、今年は5月末時点で45件発生しており、昨年の同時期を上回るペースということです。
<滋賀県> 85件(100人)発生し、死亡者10人、発生件数・人数・死亡者数ともに過去最多だったことが2月に発表されています。今年も1~5月で32件発生、死亡者6人、過去最悪ペースということです。

舞岡ふるさとの森~舞岡公園

(番号は写真を撮影した場所を示しています)

(歩いた日=2019年6月4日)
横浜市戸塚区南舞岡にある大きな緑地は、南北に細長く、北側が舞岡ふるさとの森、南側が舞岡公園です。舞岡公園では、谷戸の田んぼで市民の水田耕作体験、自然観察会など、さまざまな活動が行われています。舞岡ふるさと村は、舞岡ふるさとの森、舞岡公園と、周囲に広がる自然景観豊かな農業地域を含めて指定されています。
南北に細長い緑地は片道1時間ほどで歩けます。北から南へ尾根道を主に歩き、別ルートを南から北へ戻る周遊ルートを設定してみました。

(1)「ふるさとの森」北側に広がる田んぼ

市営地下鉄舞岡駅の1番出口を出て左に進み、道岐橋で舞岡川を渡ります。左が畑地になり、最初の左に曲がる分岐に入ります(道標あり)。すぐ左右に分かれるので、畑地に沿って右に曲がります。ここを直進するとすぐ山に入れますが、北側の田園風景を見て歩きたいために、少し遠回りします。
田んぼの風景を期待していましたが、半分ほどは畑に変わっていました。田んぼは田植えが終わったばかりでした。
400~500mで左折して、山のほうに向かいます。山裾の堰に架かった倉下橋を渡ったら道なりに左に曲がります。山裾と民家の間の道を行き、途中から右折して舞岡の森へ行きます(道標などあり)。

(2)森の尾根道を散歩する人

右は小さな畑地です。しばらく登ると山の稜線の道に合流します。右へ進んでゆるやかに登り、登り切った所で道なりに左に曲がります。左が竹林になり、山道沿いに篠竹が生えています。またゆるやかな登りになり、右側にあづま屋の休憩所があります。

(3)あずま屋近くの樹林

尾根上に続く道を進み、杉林を抜けると畑になって、一瞬展望が開けます。丹沢の大山や富士山が住宅地の向こうに見えます。
農地をすぎると道が分かれますが、メインと思われる右(稜線上を通っている)を行きます。桜の木がめだつ所です。まもなく車道に合流しますので右に行き、すぐ先で左に上がる道がありますので、車道から分かれて左に入ります。

(4)舞岡公園へのわかりにくい分岐、手前の細い道に入る

一車線もないような狭い車道を行くと、右にカーブする手前で細い山道が右に分かれますので、この道に入って舞岡公園へ向かいます。古い見えにくい道標がありますが、ヤブに半分くらい隠れてよく見えません。ここは間違えやすい箇所なので注意してください(間違えても森の外に出てしまうだけで、遭難することはありません)。
10~15分で「前田の丘」と表示された案内板が立っています。左にくぬぎ休憩所への道が分かれますが直進します。「前田の丘」は現在地ではなくくぬぎ休憩所のある場所のようです。混乱しやすいので注意してください。
数分で林道のような所に合流し、右へ「公園出口」の道標があります。進行方向には表示がありませんが、ここは直進します。すぐ先で左へ瓜久保へ下りる階段が分かれます。道標は右へ「三枚畑の森」とあります。直進するとまだ森を歩けるようですが、そのルートでは舞岡公園の田園地帯をパスしてしまうので、ここは左の瓜久保へ下ります。

(5)瓜久保池、「かっぱ池」の別名があるかもしれない
(6)瓜久保周辺のヤブっぽい樹林

すぐに瓜久保池へ着き、谷戸地形になって森の雰囲気が変わります。池のまわりを左へ行くと、狭い車道に合流し、左側に体験田んぼ、左右に荒々しい自然林が展開しています。
600mほどで、瓜久保の家とトイレがあります。自由に休憩できますし、室内に資料が展示されています。ひと休みするのに最適です。ここで公園地図を入手しましょう。

(7)舞岡公園への道、左に田んぼが広がる

瓜久保の家から外に出ると、舞岡川源流の大きな谷戸地形で、農家の耕作地になっています。車道を右に行き、田園風景を楽しみながら上流へ向かいます。左にさくらなみ池をすぎると北門があり、ここから中は保護区域で、決められた時間(夏19時、冬17時まで)しか入れません。

(8)北門の中にある情報館
(9)小谷戸の里の古民家
(10)耕作体験田んぼ

門を入ると情報館と水車小屋があり、いろいろな資料・情報が見られます。ここから左側は耕作体験田んぼがしばらく続き、途中、小谷戸の里への入口があります。古民家が移築展示され、管理事務所と、記念グッズの販売所があります。

(11)南門近くの樹林(南の丘)

体験田んぼをすぎると森林に入ってゆるやかに登り、南門に着きます。左側にさくら休憩所の広場があり、バス道のある県道に出ます。車道の反対側にも公園エリアが続いていますが、ここで一度公園を抜けて左折します。
県道をしばらく歩いて「京急ニュータウン」バス停をすぎ、南舞岡小学校手前の道を左に入ります。小さいグランドに突き当たったら左に曲がって、右の階段を下ります。ここから見渡す眺めは、公園の森を背景にした里山風景になっています。
(注)グランドを直進して突っ切ると旧東光寺薬師堂があるようですが未確認。

(12)喫茶室もあるかねこファーム

階段を下りて合流した車道を右に行き、最初に左に車道が分岐する所で左に入ります。この分岐にかねこファームの直売所と喫茶「あとりえ」(金・土・日営業)があります。農業体験イベントなどもやっているようです。
車道を上がっていくとすぐ左右に分かれますので、右に入ります(小さい道標あり)。その道は(おそらく金子さんの)お屋敷に通じていて、門の手前で左に上がる急坂の道に入ります。5分ほど急登すると舞岡公園に戻って合流します。道が4本分岐していますが、一番左はバス停へ、やや左の階段はもみじ広場上部へ行くと思われます。一番右は沢伝いにさくらなみ池へ下ります。
右から2番目のまっすぐに行く道へ入ります。森を抜けて左側がもみじ広場になり、もみじ休憩所のあるT字路に突き当たります。右に行きます。

(13)ばらの丸の丘

少し下るとまた広場があり、右の斜面にはおびただしい数の桜の木があります。「ばらの丸の丘」という所です。
尾根上の草原になっている道をゆるやかに下っていき、10分程度で舞岡の谷戸の一角に戻ってきます。「宮田保護区」の看板があり、右に行ってさくらなみ池と宮田池の間を通ります。

(14)アメニティの小道、ホタルが出そうな小川

谷戸の対岸へ行くと、小川に沿った小径「小川アメニティ」が作られています。ただ、谷戸の間はヤブっぽくて快適ではありません。「ホタルが出そうだ」などと期待しつつ歩きます。
やがて車道に合流し、小川の左側にアメニティの続きが作られています。自然の道ではないですが、石畳などで快適に歩けます。

(15)途中にあった小さな石塔

里山風景を眺めながら舞岡駅をめざします。駅まで30分ぐらいです。
歩き始め5分ぐらいの所に古い石塔があって、右側面に「寛政七乙卯九月吉日」、左側面に「上講中九人」とありました。途中、総合案内所「虹の家」、舞岡八幡宮、駅前にハム工房まいおか、舞岡や(直売所)があります。

[アクセス] 行き・帰り:横浜市営地下鉄・舞岡駅下車
[参考時間] 舞岡駅(20分)入山口(25分)あずま屋(20分)わかりにくい分岐・細い道(30分)瓜久保池(10分)瓜久保の家(35分)小谷戸の里(15分)南門(20分)もみじ休憩所(15分)さくらなみ池(15分)車道(35分)舞岡駅 計4時間
[追加情報]
・瓜久保の家、北門の情報館、虹の家で資料や地図を入手できます。
・かねこファームでは金土日のみ農産物直販、喫茶店があります(未確認)。
・舞岡駅近くにハム工房まいおか、舞岡や(農協経営直販)があります。
・ふるさとの森~公園の周辺でも、野菜など直販をやっている農家が何軒かある模様です。
[修正記録]
・2019/6/15 地図の一部訂正(瓜久保へ下りる道の位置など)

[6月1週]続・山菜採り遭難多発のシーズン

[5/28~6/3の遭難関係ニュースから]
6月第1週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

山菜採りの遭難が大変多くなっています。把握できた事例データのうち、山菜採りは5件、登山は6件でした。山菜採り遭難の発生地域は北海道、青森、秋田、新潟、長野などが多く、年齢層は60~80代と高いです。

5/28(火) 秋田県鹿角市の山林でタケノコ採りの女性(77)が行方不明。5/30遺体で発見
5/30(木) 北アルプス針ノ木岳で男性(66)が体調不良により行動不能。県警ヘリが救助
6/1(土) 青森県弘前市の山林で山菜採りの男性(80)が行方不明。6/2高さ15mの崖下で発見、死亡確認
6/1(土) 青森県十和田市の山林でタケノコ採りの男性(66)が行方不明。6/3車から500mの場所で発見、死亡確認
6/1(土) 南アルプス笊ヶ岳で男性(26)が道に迷い山中でビバーク。6/2登山口付近に自力下山
6/1(土) 高烏谷山(長野県伊那市)で男性(72)が「道に迷った」の電話を最後に行方不明
6/1(土) 中央アルプス千畳敷カールへ下山中の女性(59)が雪渓上で滑落負傷。県警ヘリが救助
6/2(日) 頸城駒ヶ岳で男性(72)が下山中に転落、頭を強く打って死亡。県警ヘリが収容
6/2(日) 松本市五常の山林で男性(75)が行方不明。6/3山林の沢で発見、のち死亡確認
6/2(日) 北アルプス白馬大雪渓を下山中の女性(32)が滑落負傷。県警ヘリが救助
6/2(日) 北アルプス白馬鑓ヶ岳から下山中の女性(35)が雪渓で滑落負傷。県警ヘリが救助
6/2(日) 北アルプス常念岳から三股登山口へ下山中の男性(51)が転倒負傷。県警ヘリが救助

[7/9追記]
5/31(金)御坂山塊王岳付近で男性(58)が下山中に足を滑らせ転倒、右足首を負傷。消防署員が救助搬送
6/1(土)奥秩父・乾徳山で女性(51)が下山中に足を滑らせ左足首捻挫。日下部署・消防が救助
6/1(土)立山連峰雄山2900m地点で男性(49)がうつ伏せに倒れているのを登山者が発見。県警ヘリで搬送後死亡確認
6/1(土)大峰・七面山北西2kmの山中で男性(47・45・45)が下山ルートを迷い遭難、6/2防災ヘリが発見救助
6/2(日)東北・安達太良山で男性(64)が体調を崩し行動不能。付近にいた登山者が通報し、防災ヘリが救助搬送
6/2(日)奥秩父・瑞牆山ダルマ岩で男性(32)がクライミング中に器具が外れ5m転落、腰の骨を折る。県警ヘリが搬送
6/2(日)阿瀬渓谷(兵庫県豊岡市)の山道に女性(78)が倒れ死亡しているのを発見される。約15m上に滑落の形跡あり

[その他のニュース]
5/28(火) 岐阜県、乗鞍岳の登山届提出を義務化
岐阜県は、12月から乗鞍岳で登山届提出を義務化する方針を決め、県議会に関係条例の改正案を提出します。義務化の対象範囲は想定火口域から4km以内で、うち1kmの範囲では、違反者に対して5万円以下の過料が課されます。乗鞍岳では気象庁が3月18日から噴火警戒レベルの運用を始めていました。

5/29(水) 山の突然死を防ぐ登山者検診
松本協立病院(松本市)では、5月から登山者検診を始めているそうです。検査項目は血液検査と心電図、呼吸機能検査、心肺運動負荷検査(CPX)など7項目。医師が検査結果を説明します。具体的な登山目標に対して、検査結果を踏まえて専門的なアドバイスをしてもらうこともできます。料金は基本コースが2万6400円、現在の検診日は水曜午後ですが、夏山シーズン中は金曜午後になります。検診を受けてから土日で登山を楽しむといった利用ができます。

気にかかった遭難事例

(おそらくは天狗岳からの下降時に)台杉の南西尾根に誤って入ってしまったものと推定されます

●京大芦生研究林で遺体発見
5月12日(日)に京都北山・三国岳方面に日帰り予定で出かけ、行方不明になっていた男性(70)が、5月27日、天狗岳(天狗峠)南面カズラ谷で捜索グループにより発見されました。南丹署は通報を受け、28日が悪天候だったため29日に遺体を収容して、DNA鑑定により身元が確認されました。
男性の遭難後、SNS(ヤマレコ)上で捜索情報が交換されていました。当日、三国岳頂上で男性と話した登山者によると、男性はオートバイで入山し、岩屋谷から三国岳に登りました。下山ルートは天狗岳(天狗峠)に行って滝谷方面に下ると言ったそうです。
発見場所から考察すると、天狗峠手前の「台杉」から誤って南西方向の尾根を下ったと推定されます。この尾根は、天狗峠分岐から921mピークへのルートと誤りやすいと言う人もいるようです。また、昨年の水害で北山一帯は土砂崩落や倒木が発生し、荒れているという情報があります。
発見された男性はうつぶせで、沢に顔が浸かった状態で倒れていたそうです。道に迷っている中で滑落したものと推定されます。

[5月4週]山菜採り遭難多発のシーズン

[5/21~27の遭難関係ニュースから]
5月第4週の山岳遭難まとめと、関連ニュースです。

この週は遭難が多発して、連休中(5月第1週)にも匹敵するほどの発生件数となっています。そのうち山菜採りの遭難については、把握できたものだけをリストにあげていますが、未発表を含めると、実際にはもっと多発しているものと思われます。
また、吾妻山で渓流釣りの遭難(5/25)が、和歌山県で山火事の消火作業中の転落事故(5/25)が、京都府で伐採作業者の遭難(5/26)がありました。
登山・ハイキングでの遭難事例は、高山・深山でのものよりも、広範囲な地域の低山で起こっているもののほうが多くなっています。登山としての困難度と遭難発生とが、かならずしも直接的に結びついていないという、現代の山岳遭難の特徴が表れています。

5/21(火) 漆沢ダム付近で山菜採りの男性(62)が行方不明。5/24滑落した状況で発見、死亡確認
5/22(水) 登別川付近で男性(80)がタケノコ採りから戻らず。5/23道警ヘリが滑落した遺体発見
5/22(水) 雲取山~飛竜山間で男性(62)が行方不明。5/27県警ヘリが急斜面に滑落した遺体発見
5/22(水) 烏帽子岳(鹿児島市)で男性(60代)が道に迷う。県警ヘリが救助
5/23(木) 太平山(秋田市)山頂の100m下で男女(70代)が疲労などで行動不能。防災ヘリが救助
5/23(木) 塩原・八方ヶ原で女性2人(79・77)が「道に迷った」と通報。県警ヘリなどが発見救助
5/23(木) 北アルプス燕岳で男女(45・40)が下山中に滑落負傷。遭対協隊員が救助
5/24(金) 朝日連峰・古寺山付近で男性(68)が下山途中道に迷う。県警ヘリと消防などが救助
5/24(金) 南アルプス中ノ尾根山で男性(83)が下山途中にルートを外れ迷う(発見されたか未確認)
5/24(金) 鈴鹿・雨乞岳へ男性(78)が日帰り登山に出かけて戻らず。5/25甲賀署員が沢で遺体発見
5/24(金) 大峰・大普賢岳で男性(65)が同行者と分かれて以降道に迷う。5/25朝、自力下山
5/25(土) 吾妻連峰で渓流釣りの男性(30)が足を痛めて動けなくなる。同行者が先に下山し通報
5/25(土) 北アルプス瀬戸蔵山で男性(24)が崖を下りていた際に滑落、頭・右足など骨折
5/25(土) 北アルプス鍬崎山北東1350m付近で男性(26)が下山途中にはぐれて行方不明
5/25(土) 北アルプス剱山荘で男性(65)が低血糖に伴う急性胃炎腹痛を発症、室堂派出所に通報
5/25(土) 北アルプス焼岳で男女(48・46)が道に迷い遭難。県警ヘリが救助
5/25(土) 北アルプス燕岳で女性(46)が転倒して負傷。安曇野署員が救助
5/25(土) 和歌山県かつらぎ町の山林で男性(48)が山林火災の消火作業中に急斜面から70m滑落。ヘリ搬送後、死亡確認
5/26(日) 会越・御神楽岳蝉ヶ平ルートで単独登山の男性(68)が行方不明。5/30山中の沢で遺体発見
5/26(日) 城山(長野県木曽町)で男性(70)が体調不良により行動不能。岐阜県防災ヘリで救助
5/26(日) 中西山(長野市)で女性(72)が体調不良により行動不能。県警ヘリが救助
5/26(日) 倉梯山(京都府舞鶴市)で男性(65)が竹伐採作業後に姿が見えなくなる。5/28行方不明を発表
5/27(月) 葉山(山形県村山市)で山菜採りの男性(63)が行方不明。5/29捜索開始、6/7遺体発見
5/27(月) 朝日連峰・葉山で男性(66)が愛染峠経由で下山しようとして道に迷う。県警ヘリが葉山山荘北西1800mの山中で発見
5/27(月) 南アルプス日向山の南西500mで男性(59)が30m滑落し多発外傷で死亡。5/28登山者が発見

[7/9追記]
5/27(月)南アルプス尾白川渓谷で下山中の女性(81)が登山道から10m転落、腰などを打つ。県警ヘリが救助

[その他のニュース]
5月18日「回転する道標」(これじゃあ、意味ないですね)の動画がツイッターに投稿され、話題になっていました。道標を設置した大江山トレイルクラブメンバーらが現地で確認したところ、方角を示した案内板を固定するボルトが緩み、案内板同士をつなぐ4つのツメ部分がすべて潰れて、案内板3枚が回る状態になっていました。何者かが強い力を加えた可能性があり、宮津署は器物損壊容疑も視野に調べているそうです。

気にかかった遭難事例

5月22日昼ごろ、北海道室蘭市の男性(80)は妻といっしょにタケノコ採りに入山しました。別々に行動してタケノコを採り、その後、男性は合流地点に戻りませんでした。妻は探しましたが見つからないため、夕方、室蘭署へ届け出ました。
23日早朝から警察・消防が捜索したところ、道警ヘリが男性を発見しました。急斜面下の沢近くで、下半身が水に浸かった状態で倒れていて、まもなく死亡が確認されました。
室蘭民報の報道によると、この事例では家族からの自発的な通報があったわけではなく、たまたま18:30ごろ巡回中の署員が山林付近で家族を発見して、遭難が発覚したそうです。
室蘭署は入山時の注意点として、①帰宅時間や行動予定を家族に伝える、②複数人での入山、③携帯電話やホイッスルを持つ、④日没時刻の把握、⑤迅速な通報 ―― をあげています。

山菜採り遭難が多発する季節に入っています。
山菜・キノコ採りの遭難は、登山での道迷い遭難と重なる部分が多いです。登山では道迷い遭難への対策がいろいろと言われていますが、山菜採り、キノコ採りでは、具体的なリスク対策はあまり行われず、提言もされていないのではないでしょうか。地図・コンパスを持参して使う、GPSを使う、というような方法は、山菜採りでは現実的ではありません。登山技術のない人にもできる対策を考えていく必要があるでしょう。

黒川からよこやまの道へ

(歩いた日=2019年5月23日)
小田急多摩線の黒川駅から西側、三沢川の源流一帯は、狭い範囲ですが1970年代以降の宅地開発を免れて、多摩丘陵の谷戸地形を残している所です。また、多摩ニュータウンの南の縁に当たる東京・神奈川の県境は、かつての多摩丘陵の稜線で、東京都多摩市では「よこやまの道」として歩道を整備しています。
黒川の里山と「よこやまの道」を結んで歩きます。

(1)野菜などを販売しているJA経営のセレサモス

黒川駅の南口を出て右へ行き、左折~右折して、小さな公園の周囲を回り、橋を渡ると鶴川街道に出ます。左へ行くと前方に森が見えて期待がふくらみます。左側にそば屋をすぎ、約250mで信号のあるT字路を右に曲がります。左側にセレサモスの駐車場、すぐ先に汁守神社へ登る階段があります。小さいですが掃除の行き届いた立派な神社です。

神社の横から直角に左に曲がります。左側は大規模なカキ(柿)の農園になっています。しばらく(約200m)行くと分岐がありますので左に入ります。黒川町の掲示板が立っています。帰りは右の道からここに戻ってきます。

(2)道端に咲いていたハナニラ

すぐ四差路がありますが直進し、右側は竹林のある山裾の道、左側は畑作地になります。400mほど進み、平地(谷戸の中央)に出て、十字路を右折します。ここの分岐には、明治大学黒川農場、市街化調整区域、黒川町内会の看板が立っています。

(3)毘沙門大堂前の石塔群
(4)放置された古い石塔、文字不明(調べればよかったが……)

右折してすぐ、毘沙門様への参道が右に分かれます。由来はわかりませんが、ヤブ道を5分入った上に、小さなお堂と古い石塔群がありました。その1つには「天明八年」(1788)とありました。下の車道近くの耕作放棄地にも崩れかけた石塔が放置されており、興味深いものがあります。史上有名な天明の飢饉は、天明4~8年(1784~88)に起こったとされています。

(5)収穫作業をする若い人

車道に戻り、70mほど進んだ分岐を左折して、ビニールハウスのほうへ行きます。(ここを直進しても、谷戸地形を通って「よこやまの道」へ出られます)一帯は大きな谷戸地形ですが、水田ではなく畑作地になっています。谷戸の右側を上流に歩き、左の畑作地が終わった所で車道が左にカーブしたら、直進して山のほうへ登って行きます。ここの分岐は左にカーブミラーがあって、右に「ごみ不法投棄禁止」の看板があります。

(6)荒れた感じのする雑木林

山に入ると、ちょっと荒々しい感じの雑木林が左右に見られます。荒れた感じなのは、人手による管理が十分には行き届いていないためでしょう。
ゆっくり歩いて10分ほどですが、自然林の風景を楽しみます。森の外に出ると「よこやまの道」の道標があります。大学の建物の裏手のようです。左は鎌倉往還に向かいます。右折するとすぐ山に入る踏み跡がありますが、車道を少し進んだ先にも入口があります。

(7)よこやまの道、給食センターのあたり

「よこやまの道」は、昔の多摩丘陵の稜線上を歩くようにつけられた歩道です。要所に解説板や道標が設置され、すぐ左側には車道がありますので、迷わず安心して歩けます。
そして、狭い範囲ではありますが、径路沿いの自然林が市民ボランティアによって保存・維持されているのもすばらしい点です。

(8)展望広場から丹沢方面、左手に続く森が「よこやまの道」付近と思われる

国士舘大学の裏側のあたりから北上すると、豊かな雑木林の歩道がしばらく続き、やがて左側の展望が開けてゆるやかに登り、展望広場に着きます。ここは「防人見返りの峠」の名称があります。丹沢、奥多摩方面や、多摩ニュータウンの一部が展望できます。

展望台の少し手前に戻り、右側へ回り込む歩道に入ります。右側の畑地が終わると、一度山すそへ下りて「もみじの広場」に出ます。建物の右側の歩道を進んで山に戻り、「瓜生黒川往還」の表示がある五差路(六差路?)に出ます。
黒川へ下るには、稜線をまたぎ越えて右斜め下への道を下ります。しかし「よこやまの道」をもう少し歩きたいので、ここから少し先まで往復してみることにします。

(9)「諏訪ヶ岳」、地形図では標高144.5m
(10)大きいコナラ群の樹影

一番左側の道をとると、すぐ三角点とベンチのある広場に出ます。三角点には小さく「諏訪ヶ岳」の標識が立っています。見上げると背の高いコナラの群れがすばらしいです。

(11)よこやまの道、常緑樹林の木立ち
(12)さくらの広場
(13)ヒメコブシの大木、花期には見事だと思われる

稜線上ないし、稜線のわずか右下を歩いて行きます。常緑樹林や雑木林が美しく維持され、歩道も歩きやすく、とても快適なコースになっています。「さくらの広場」には、桜の大木とともに、ヒメコブシの大木が1本あります。花の時期に来てみたいところです。

(14)瓜生黒川往還の分岐、よこやまから黒川へ至る古い道
(15)常緑樹の大木(クスノキと思われる)

先ほどの黒川への下り口まで戻り、左(東)方向へ下ります。左右の樹林地には、時おりかなりの大木も見られます。その後はしばらく尾根上の歩道を行き、右手は雑木林、人工林や竹林、左手に少し離れて宅地が見えています。

(16)子どもたちが遊ぶ海道ひだまり公園

広い車道に合流すると、左側に海道ひだまり公園があります。右側は低地の谷戸地形になります。その先の分岐では、右の谷戸へは下りず直進します。200mほど進んで三差路を左折すると、カキ農園のある汁守神社への道に合流します。

[アクセス] 行き+帰り:小田急多摩線黒川駅下車
[参考時間] 黒川駅(15分)セレサモス(25分)毘沙門大堂下(毘沙門大堂往復10分)(20分)谷戸を離れる車道分岐(10分)よこやまの道(25分)展望広場(10分)瓜生黒川往還分岐(5分)諏訪ヶ岳(15分)さくらの広場(20分)瓜生黒川往還分岐(20分)海道ひだまり公園(15分)黒川駅 計3時間10分
[追加情報]
・「多摩よこやまの道」の全行程は、唐木田配水所から多摩東公園近くの「丘の上広場」まで約10kmです。本コースはそのうち約2kmを歩いています。
・「さくらの広場」近くからはるひ野駅へ約10分で下りることができます。